表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼空のレガリア  作者:
1章 蒼空の継承者編
PR
30/31

第二十九話 蒼空の翼

 風が唸る。


 ⸻


 アークは空を飛んでいた。


 ⸻


 正確には。


 ⸻


 飛ばされているに近い。


 ⸻


「うおおおお!?」


 ⸻


 完全に初体験だった。


 ⸻


 蒼い翼は勝手に動く。


 ⸻


 だが本人は慣れていない。


 ⸻


 ぐらぐら揺れる。


 ⸻


 落ちそうになる。


 ⸻


 フィンが下から叫ぶ。


 ⸻


「頑張れー!」


 ⸻


「応援しかできないのか!」


 ⸻


「できない!」


 ⸻


 正直だった。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 グラドスが笑う。


 ⸻


「未熟」


 ⸻


 巨大な翼が羽ばたく。


 ⸻


 暴風。


 ⸻


 アークの身体が吹き飛ばされる。


 ⸻


「うわっ!」


 ⸻


 体勢が崩れる。


 ⸻


 危険だった。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 次の瞬間。


 ⸻


 蒼空のレガリアが光る。


 ⸻


 翼が反応する。


 ⸻


 風が集まる。


 ⸻


 自然と身体が安定する。


 ⸻


 まるで。


 ⸻


 飛び方を教えられているようだった。


 ⸻


『空を信じろ』


 ⸻


 また声が聞こえる。


 ⸻


 アルト。


 ⸻


 アークは歯を食いしばる。


 ⸻


 違う。


 ⸻


 俺はアークだ。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 力は借りる。


 ⸻


 今は。


 ⸻


 守るために。


 ⸻


 蒼い翼が大きく広がる。


 ⸻


 今度は自分の意思で飛ぶ。


 ⸻


 グラドスへ一直線。


 ⸻


 黒竜の瞳が細くなる。


 ⸻


「良い」


 ⸻


 本当に楽しそうだった。


 ⸻


 まるで試験官だ。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 地上。


 ⸻


 セレスが再び星記のレガリアを開く。


 ⸻


 無数の文字。


 ⸻


 無数の記録。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 一つの記述を見つけた。


 ⸻


「アーク!」


 ⸻


 声を張り上げる。


 ⸻


「額の核は一度しか開かない!」


 ⸻


 アークが振り向く。


 ⸻


「何!?」


 ⸻


「大技の直後です!」


 ⸻


 つまり。


 ⸻


 今は閉じている。


 ⸻


 無理に攻撃しても届かない。


 ⸻


 ヴァイスも理解する。


 ⸻


「なら誘うしかない」


 ⸻


 黒い剣を構える。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 グラドスが彼を見る。


 ⸻


 そして笑った。


 ⸻


「来るか」


 ⸻


 ヴァイスは答えない。


 ⸻


 消える。


 ⸻


 再び黒い閃光。


 ⸻


 今度は空中。


 ⸻


 連続斬撃。


 ⸻


 黒竜の鱗へ雨のように叩き込まれる。


 ⸻


 火花。


 ⸻


 衝撃。


 ⸻


 轟音。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 グラドスも負けていない。


 ⸻


 巨大な爪が振るわれる。


 ⸻


 ヴァイスが回避。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 完全には避けきれない。


 ⸻


 肩が裂ける。


 ⸻


 血が舞う。


 ⸻


「ヴァイス!」


 ⸻


 リリアが叫ぶ。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 本人は平然としていた。


 ⸻


 むしろ。


 ⸻


 笑っている。


 ⸻


 珍しく。


 ⸻


 本当に少しだけ。


 ⸻


「そうだ」


 ⸻


 ヴァイスが呟く。


 ⸻


「それでいい」


 ⸻


 グラドスが怒る。


 ⸻


 挑発だった。


 ⸻


 完全に。


 ⸻


 黄金の瞳が光る。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 膨大な魔力が集まる。


 ⸻


 黒炎。


 ⸻


 再び。


 ⸻


 さっきよりも大きい。


 ⸻


 空そのものを焼き尽くしそうな規模。


 ⸻


 ヴァイスが叫ぶ。


 ⸻


「今だ!」


 ⸻


 グラドスの額。


 ⸻


 紋章が開く。


 ⸻


 核が露出する。


 ⸻


 赤く。


 ⸻


 脈動するように。


 ⸻


 アークは翼を広げる。


 ⸻


 風が集まる。


 ⸻


 蒼空のレガリアが輝く。


 ⸻


 胸が熱い。


 ⸻


 身体中に力が巡る。


 ⸻


 その瞬間。


 ⸻


 また記憶が流れ込む。


 ⸻


 千年前。


 ⸻


 同じ空。


 ⸻


 同じ敵。


 ⸻


 アルトが飛んでいる。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 最後に言った。


 ⸻


『未来を頼む』


 ⸻


 アークは目を閉じる。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 開く。


 ⸻


「任せろ」


 ⸻


 それはアルトへの返事だった。


 ⸻


 継承者としてではない。


 ⸻


 アークとして。


 ⸻


 蒼い翼が加速する。


 ⸻


 限界まで。


 ⸻


 風が吠える。


 ⸻


 黒竜の額。


 ⸻


 核へ向かって。


 ⸻


 最後の一撃が放たれようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ