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蒼空のレガリア  作者:
1章 蒼空の継承者編
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31/31

第三十話 蒼空の継承者

 空が蒼く染まる。


 ⸻


 アークは飛んでいた。


 ⸻


 誰よりも速く。


 ⸻


 誰よりも高く。


 ⸻


 蒼い翼が風を裂く。


 ⸻


 黒竜グラドスの額。


 ⸻


 露出した核へ一直線。


 ⸻


 時間が遅く感じた。


 ⸻


 下では仲間たちが見上げている。


 ⸻


 アイリス。


 ⸻


 セレス。


 ⸻


 フィン。


 ⸻


 グレン。


 ⸻


 リリア。


 ⸻


 ヴァイス。


 ⸻


 全員が託していた。


 ⸻


 この一撃に。


 ⸻


 グラドスも気付く。


 ⸻


 黄金の瞳が細くなる。


 ⸻


「見事だ」


 ⸻


 その声は静かだった。


 ⸻


 もはや敵を見る目ではない。


 ⸻


 試練を越えた者を見る目。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 黒炎が放たれる。


 ⸻


 巨大な奔流。


 ⸻


 世界を焼き尽くす黒。


 ⸻


 アークは止まらない。


 ⸻


 蒼空のレガリアが輝く。


 ⸻


 風が集まる。


 ⸻


 翼がさらに大きく広がる。


 ⸻


 その瞬間。


 ⸻


 蒼い光が剣へ収束した。


 ⸻


 風。


 ⸻


 空。


 ⸻


 希望。


 ⸻


 全てが刃へ集まる。


 ⸻


 アークは叫ぶ。


 ⸻


「うおおおおおおっ!!」


 ⸻


 黒炎と蒼光が衝突する。


 ⸻


 轟音。


 ⸻


 空が揺れる。


 ⸻


 雲が吹き飛ぶ。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 蒼い光が黒炎を切り裂いた。


 ⸻


 真っ直ぐ。


 ⸻


 核へ。


 ⸻


 グラドスは逃げない。


 ⸻


 避けない。


 ⸻


 ただ静かに見つめる。


 ⸻


「そうか」


 ⸻


 小さな声。


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 誰にも聞こえないほど。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 アークの剣が核へ届く。


 ⸻


 一閃。


 ⸻


 赤い核が砕け散った。


 ⸻


 世界が白く染まる。


 ⸻


 轟音。


 ⸻


 黒竜の身体が光に包まれる。


 ⸻


 巨大な翼が崩れていく。


 ⸻


 黒い鱗が粒子へ変わる。


 ⸻


 誰も動けない。


 ⸻


 ただ見守る。


 ⸻


 やがて。


 ⸻


 グラドスは落下し始めた。


 ⸻


 ゆっくりと。


 ⸻


 静かに。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 最後にアークを見る。


 ⸻


 黄金の瞳。


 ⸻


 そこには敵意はなかった。


 ⸻


「アーク」


 ⸻


 初めて。


 ⸻


 その名を呼んだ。


 ⸻


 はっきりと。


 ⸻


「未来を」


 ⸻


 言葉は途中で消える。


 ⸻


 身体が光になる。


 ⸻


 風に溶ける。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 黒竜グラドスは消滅した。


 ⸻


 静寂。


 ⸻


 空港を覆っていた魔獣たちも次々と消えていく。


 ⸻


 黒竜を核としていたらしい。


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 戦いは終わった。


 ⸻


 アークは空から落ちる。


 ⸻


「うわぁぁぁぁ!?」


 ⸻


 締まらなかった。


 ⸻


 蒼い翼も消えている。


 ⸻


 完全に自由落下。


 ⸻


 フィンが叫ぶ。


 ⸻


「最後だけ格好悪い!」


 ⸻


「うるさい!」


 ⸻


 その時。


 ⸻


 蒼い光。


 ⸻


 アイリスだった。


 ⸻


 創世の力がアークを包む。


 ⸻


 落下速度が緩む。


 ⸻


 ふわりと着地。


 ⸻


 無事だった。


 ⸻


 全員が安堵する。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 セレスが突然走り寄る。


 ⸻


「すごいです!」


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「勝ちました!」


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 かなり興奮している。


 ⸻


 フィンも笑う。


 ⸻


 グレンも珍しく口元を緩めていた。


 ⸻


 アイリスも。


 ⸻


 心から笑っていた。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 ヴァイスだけは空を見ていた。


 ⸻


 遠く。


 ⸻


 黒い雲の向こう。


 ⸻


 その先を。


 ⸻


 アークが近付く。


 ⸻


「どうした」


 ⸻


 ヴァイスは少し黙った。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 静かに言った。


 ⸻


「マルクトの目的は達成されつつある」


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 楽観はない。


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 ただ事実だけ。


 ⸻


「二つのレガリアが目覚めた」


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 蒼空。


 ⸻


 星記。


 ⸻


 確かに。


 ⸻


 それはマルクトの計画通りでもある。


 ⸻


 勝った。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 敵も進んでいる。


 ⸻


 その現実が重くのしかかる。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 空船の汽笛が鳴る。


 ⸻


 クロノス地方行き。


 ⸻


 出航の時間だった。


 ⸻


 第三のレガリア。


 ⸻


 永刻のレガリア。


 ⸻


 新たな継承者。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 千年前に隠されたもう一つの真実。


 ⸻


 旅は次の章へ進む。

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