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蒼空のレガリア  作者:
1章 蒼空の継承者編
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29/31

第二十八話 黒竜グラドス

 黒炎が迫る。


 ⸻


 圧倒的な熱量。


 ⸻


 圧倒的な破壊力。


 ⸻


 アークは本能で理解した。


 ⸻


 受ければ終わる。


 ⸻


 空港ごと消し飛ぶ。


 ⸻


「アーク!」


 ⸻


 アイリスの叫び。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 逃げる暇はない。


 ⸻


 間に合わない。


 ⸻


 その瞬間。


 ⸻


 蒼空のレガリアが輝いた。


 ⸻


 蒼い風。


 ⸻


 眩い光。


 ⸻


 剣から無数の風が吹き上がる。


 ⸻


 アーク自身も驚いていた。


 ⸻


 こんな力は知らない。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 身体が勝手に動く。


 ⸻


 記憶が導く。


 ⸻


『空を裂け』


 ⸻


 誰かの声。


 ⸻


 アルトだった。


 ⸻


 アークは剣を振る。


 ⸻


 蒼い斬撃。


 ⸻


 巨大な風の壁が生まれる。


 ⸻


 黒炎と衝突。


 ⸻


 轟音。


 ⸻


 空港全体が揺れる。


 ⸻


 爆風。


 ⸻


 視界が白く染まる。


 ⸻


 数秒。


 ⸻


 誰も何も見えない。


 ⸻


 やがて。


 ⸻


 煙が晴れる。


 ⸻


 アークは立っていた。


 ⸻


 風の壁も消えている。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 黒炎も消えていた。


 ⸻


 相殺。


 ⸻


 完全ではない。


 ⸻


 それでも防いだ。


 ⸻


 空港を守った。


 ⸻


 周囲が静まり返る。


 ⸻


 兵士たちも。


 ⸻


 学者たちも。


 ⸻


 誰もがアークを見ていた。


 ⸻


 グラドスが低く笑う。


 ⸻


「良い」


 ⸻


 その声には本当に感心したような響きがあった。


 ⸻


「やはり継承したか」


 ⸻


 アークは息を整える。


 ⸻


 まだ手が震えていた。


 ⸻


 今のは偶然に近い。


 ⸻


 次もできる保証はない。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 ヴァイスが前へ出る。


 ⸻


 黒い剣を抜く。


 ⸻


「遊びは終わりだ」


 ⸻


 グラドスの黄金の瞳が細くなる。


 ⸻


「ノクトの継承者か」


 ⸻


 ヴァイスは何も答えない。


 ⸻


 ただ。


 ⸻


 剣を構える。


 ⸻


 次の瞬間。


 ⸻


 消えた。


 ⸻


 誰も反応できない速度。


 ⸻


 アークでさえ見失う。


 ⸻


 黒い閃光。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 グラドスの首元に斬撃が走る。


 ⸻


 ギィン!!


 ⸻


 金属音。


 ⸻


 鱗が砕ける。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 浅い。


 ⸻


「硬いな」


 ⸻


 ヴァイスが初めて不満そうな声を出す。


 ⸻


 グラドスは笑う。


 ⸻


「当然だ」


 ⸻


 巨大な尾が振り抜かれる。


 ⸻


 ヴァイスが吹き飛ぶ。


 ⸻


 いや。


 ⸻


 避けた。


 ⸻


 空中で体勢を変える。


 ⸻


 そのまま着地。


 ⸻


 無傷。


 ⸻


 二人とも化け物だった。


 ⸻


 フィンが呟く。


 ⸻


「人間やめてる」


 ⸻


「同感です」


 ⸻


 セレスも頷く。


 ⸻


 その時だった。


 ⸻


 星記のレガリアが輝く。


 ⸻


 セレスの周囲に文字が浮かぶ。


 ⸻


 彼女は目を閉じる。


 ⸻


 知識が流れ込んでくる。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 ある情報を掴んだ。


 ⸻


「核!」


 ⸻


 全員が振り向く。


 ⸻


「胸じゃない!」


 ⸻


「額です!」


 ⸻


 グラドスの額。


 ⸻


 ネフィリムの紋章。


 ⸻


 そこが核。


 ⸻


 ヴァイスが目を細める。


 ⸻


「なるほど」


 ⸻


 グラドスは笑った。


 ⸻


「面白い娘だ」


 ⸻


 正解らしい。


 ⸻


 アークは剣を握る。


 ⸻


 核。


 ⸻


 なら狙うしかない。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 高い。


 ⸻


 巨大すぎる。


 ⸻


 届かない。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 アイリスが前へ出た。


 ⸻


 全員が驚く。


 ⸻


 彼女は戦えないはずだ。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 アイリスの瞳が蒼く輝いていた。


 ⸻


 創世の力。


 ⸻


 眠っていた力が少しずつ目覚めている。


 ⸻


「アーク」


 ⸻


 静かな声。


 ⸻


「信じて」


 ⸻


 何を。


 ⸻


 そう聞く前に。


 ⸻


 アイリスは両手を合わせる。


 ⸻


 蒼い光。


 ⸻


 優しい光。


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 世界そのものが応えるような力。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 アークの背中に翼が現れた。


 ⸻


 蒼い翼。


 ⸻


 風でできた翼。


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 全員が固まる。


 ⸻


 アーク本人が一番固まる。


 ⸻


「え?」


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 フィンが叫ぶ。


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「生えたぁぁぁ!?」


 ⸻


 至極まともな反応だった。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 今はそれどころではない。


 ⸻


 グラドスが初めて驚いた顔をする。


 ⸻


「創世の力か」


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 アイリスは息を切らしている。


 ⸻


 まだ完全には使えない。


 ⸻


 長く持たない。


 ⸻


 だから。


 ⸻


 アークは理解した。


 ⸻


 今しかない。


 ⸻


 蒼い翼が羽ばたく。


 ⸻


 身体が浮く。


 ⸻


 空へ。


 ⸻


 黒竜の額へ向かって。


 ⸻


 グラドスが笑う。


 ⸻


「来い」


 ⸻


 黄金の瞳が輝く。


 ⸻


「アーク」


 ⸻


 その声と共に。


 ⸻


 空中決戦が始まった。

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