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蒼空のレガリア  作者:
1章 蒼空の継承者編
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28/31

第二十七話 黒竜襲撃

 空港全体に警報が鳴り響く。


 ⸻


「敵襲!」


 ⸻


「防衛部隊は配置につけ!」


 ⸻


 兵士たちが慌ただしく動き始める。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 誰の目にも分かった。


 ⸻


 間に合わない。


 ⸻


 黒い群れの数が多すぎる。


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 空が埋まっていた。


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 魔獣。


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 飛竜。


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 黒翼獣。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 中央にいる巨大な黒竜。


 ⸻


 明らかに別格だった。


 ⸻


「マルクトの本気か……」


 ⸻


 ヴァイスが低く呟く。


 ⸻


 アークは蒼空のレガリアを握る。


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 嫌な予感がしていた。


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 いや。


 ⸻


 嫌な予感ではない。


 ⸻


 確信だった。


 ⸻


 ここで何かが起きる。


 ⸻


 大きな何かが。


 ⸻


 その時だった。


 ⸻


 黒竜が咆哮する。


 ⸻


 空気が震える。


 ⸻


 雲が裂ける。


 ⸻


 衝撃波だけで空港の窓ガラスが砕け散った。


 ⸻


「うわっ!?」


 ⸻


 フィンが耳を塞ぐ。


 ⸻


 セレスも顔をしかめる。


 ⸻


 強い。


 ⸻


 今までの敵とは比較にならない。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 アイリスが小さく呟いた。


 ⸻


「グラドス……」


 ⸻


 アークが振り向く。


 ⸻


「知ってるのか?」


 ⸻


 アイリスの顔色が悪い。


 ⸻


 まるで悪夢を見ているようだった。


 ⸻


「千年前……」


 ⸻


「ネフィリム軍の将だった」


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 沈黙。


 ⸻


 全員が黒竜を見る。


 ⸻


 つまり。


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 ただの魔獣ではない。


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 千年前から存在する怪物。


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 ありえない。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 もう今さらだった。


 ⸻


 レガリアも。


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 創世の巫女も。


 ⸻


 全部ありえない。


 ⸻


 今さら否定しても意味はない。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 黒竜が降下を始める。


 ⸻


 一直線。


 ⸻


 狙いは空港。


 ⸻


 正確には。


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 アークたちだった。


 ⸻


「来るぞ!」


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 グレンが叫ぶ。


 ⸻


 全員が動く。


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 黒竜が着地する。


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 轟音。


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 石畳が砕ける。


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 衝撃波で周囲の建物が揺れる。


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 そして。


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 金色の瞳が開いた。


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 巨大な竜。


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 漆黒の鱗。


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 無数の傷跡。


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 その姿はまるで災害だった。


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「人間」


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 低い声が響く。


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 アークたちは固まる。


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 喋った。


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 竜が。


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 グラドスはアークを見る。


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 そして。


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 蒼空のレガリアを見る。


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「アルト」


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 アークは眉をひそめる。


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 まただ。


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 誰も彼も。


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 アルト。


 ⸻


 アルト。


 ⸻


 アルト。


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 胸の奥が少しだけ苛立つ。


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 だから。


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 アークははっきりと言った。


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「違う」


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 グラドスが目を細める。


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「ほう」


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「俺はアークだ」


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 静寂。


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 数秒。


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 やがて。


 ⸻


 黒竜は笑った。


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 まるで面白いものを見たように。


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「なるほど」


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 その言葉に。


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 ヴァイスが少しだけ口元を緩めた。


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 リリアも笑っている。


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 アイリスの表情も柔らかくなった。


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 アーク本人だけが理由を分かっていない。


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 グラドスは翼を広げる。


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 巨大な影が落ちる。


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 そして。


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「ならば試してやろう」


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 黄金の瞳が光る。


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「アーク」


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 名前を呼ばれた。


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 初めて。


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 アルトではなく。


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 アークとして。


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 その瞬間。


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 黒竜の口元へ膨大な魔力が集まる。


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 黒い炎。


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 圧縮された破壊。


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 空気が震える。


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 フィンが叫ぶ。


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「絶対ヤバい!」


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 誰が見てもヤバかった。


 ⸻


 次の瞬間。


 ⸻


 黒炎のブレスが放たれる。


 ⸻


 空港そのものを飲み込むほどの規模で。


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 アークは剣を構える。


 ⸻


 蒼空のレガリアが輝く。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 第三のレガリア争奪戦は。


 ⸻


 予想を遥かに超える強敵との戦いから始まった。

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