第二十二話 七つのレガリア
マルクトが消えた後も。
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誰も動けなかった。
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戦いは終わった。
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だが。
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何も解決していない。
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むしろ。
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謎は増えるばかりだった。
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「順調って何だよ……」
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フィンが呟く。
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その疑問は全員同じだった。
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蒼空のレガリア。
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星記のレガリア。
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そして。
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マルクトの目的。
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全てが繋がっている。
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しかし。
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まだ答えが見えない。
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その時。
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ヴァイスが振り返る。
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「説明する」
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全員が固まった。
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アークも固まった。
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リリアまで固まった。
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「え?」
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リリアが聞き返す。
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「説明するの?」
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「する」
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「熱でもある?」
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「失礼だな」
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初めて少しだけ空気が和らいだ。
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だが。
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ヴァイスの表情は真剣だった。
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「これ以上隠しても意味がない」
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そう言って歩き出す。
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アークたちも続く。
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戦いで壊れた広場。
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その一角。
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比較的静かな場所。
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そこで。
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ヴァイスは口を開いた。
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「レガリアは七つある」
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その言葉に。
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セレスが持つ本。
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アークの剣。
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二人の視線が向く。
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「蒼空」
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「星記」
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「永刻」
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「命脈」
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「深淵」
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「天耀」
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そして。
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「創世」
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七つ。
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それが世界を支える力。
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アルカディアの根幹だった。
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セレスが聞く。
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「全部集めるとどうなるんですか」
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ヴァイスは少しだけ黙った。
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答えたくないように。
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しかし。
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やがて口を開く。
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「創世のレガリアが目覚める」
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アイリスの肩が震える。
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アークは気付く。
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だが今は何も言わない。
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ヴァイスは続けた。
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「それがマルクトの目的だ」
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「ネフィリム復活のためか」
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グレンが言う。
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ヴァイスは頷く。
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「正確には封印解除だ」
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「封印?」
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「千年前」
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ヴァイスの視線が空へ向く。
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「ネフィリムは完全には滅んでいない」
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静かな声だった。
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だが。
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その内容は重い。
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「創世のレガリアが封印している」
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その瞬間。
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アイリスが目を閉じる。
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苦しそうに。
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まるで知っている話を聞くように。
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セレスが気付く。
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「アイリス……?」
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アイリスは何も言わない。
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その代わり。
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ヴァイスがアークを見る。
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「お前も気付いているだろう」
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「何を」
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「夢だ」
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アークの表情が変わる。
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「最近増えているはずだ」
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図星だった。
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夢。
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記憶。
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幻。
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日に日に鮮明になっている。
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ヴァイスは静かに言う。
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「それは始まりだ」
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「アルトの記憶が目覚めている」
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再びその名前。
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アルト。
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千年前の英雄。
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アークは拳を握る。
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そして。
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はっきりと言った。
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「俺はアルトじゃない」
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沈黙。
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数秒。
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ヴァイスは小さく笑った。
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本当に少しだけ。
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「知っている」
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意外な答えだった。
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「俺もノクトじゃない」
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その言葉に。
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アークは初めてヴァイスを理解した気がした。
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似ている。
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この男も。
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自分と同じだ。
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過去を背負っている。
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だが。
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過去そのものではない。
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その時。
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アルドが歩いてくる。
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長い沈黙の後。
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賢者は決意したように言った。
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「見せなければならないな」
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全員が振り向く。
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「何をですか」
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セレスが聞く。
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アルドは答える。
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「真実だ」
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そして。
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「セレスティア最深部へ来なさい」
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その言葉に。
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ヴァイスの目が細くなる。
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どうやら知っているらしい。
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アルドは続ける。
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「そこには千年前から守られてきた記録がある」
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「黎明の五英雄」
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「天裂の災厄」
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「そして」
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視線がアイリスへ向く。
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「創世のレガリアについての記録も」
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その瞬間。
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アイリスの顔から血の気が引いた。
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隠し続けてきた真実。
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それが。
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ついに明かされようとしていた。




