表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼空のレガリア  作者:
1章 蒼空の継承者編
PR
19/31

第十八話 星記のレガリア

「来い」


 ⸻


 ヴァイスはそれだけ言った。


 ⸻


 説明はない。


 ⸻


 相変わらずだった。


 ⸻


「だから説明しろ!」


 ⸻


 アークが叫ぶ。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 ヴァイスは振り返らない。


 ⸻


「説明している時間はない」


 ⸻


「毎回それだな!」


 ⸻


 フィンも突っ込む。


 ⸻


 リリアが申し訳なさそうな顔をした。


 ⸻


「ごめんね」


 ⸻


「本当にごめん」


 ⸻


 仲間も苦労しているらしい。


 ⸻


 その時だった。


 ⸻


 黒翼獣が広場へ降下する。


 ⸻


 轟音。


 ⸻


 石畳が砕ける。


 ⸻


 衛兵たちが吹き飛ばされた。


 ⸻


「まずい!」


 ⸻


 グレンが前へ出る。


 ⸻


 大剣を構える。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 黒翼獣はグレンではなく。


 ⸻


 アイリスを見ていた。


 ⸻


 真っ直ぐ。


 ⸻


 獲物を見るように。


 ⸻


 アイリスの顔色が変わる。


 ⸻


「っ……!」


 ⸻


 黒翼獣が咆哮する。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 突撃。


 ⸻


 アークは反射的に飛び出した。


 ⸻


「アイリス!」


 ⸻


 蒼空のレガリアを抜く。


 ⸻


 蒼い光。


 ⸻


 風が巻き起こる。


 ⸻


 黒翼獣の爪と剣がぶつかる。


 ⸻


 衝撃。


 ⸻


 アークは数メートル押し込まれた。


 ⸻


 重い。


 ⸻


 圧倒的な力。


 ⸻


「くそっ!」


 ⸻


 だが。


 ⸻


 負けるわけにはいかない。


 ⸻


 後ろには仲間がいる。


 ⸻


 アイリスがいる。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 ヴァイスが動いた。


 ⸻


 黒い剣が閃く。


 ⸻


 一撃。


 ⸻


 黒翼獣の片翼が切り裂かれる。


 ⸻


 さらに。


 ⸻


 グレンが踏み込む。


 ⸻


 大剣が叩き込まれる。


 ⸻


 フィンが側面へ回る。


 ⸻


 セレスが魔導術を放つ。


 ⸻


 初めてだった。


 ⸻


 全員が同時に戦うのは。


 ⸻


 黒翼獣は押され始める。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 最後。


 ⸻


 アークが飛び込んだ。


 ⸻


 蒼空のレガリアが輝く。


 ⸻


 一閃。


 ⸻


 黒翼獣の核が砕けた。


 ⸻


 魔獣は崩れ落ちる。


 ⸻


 静寂。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 終わりではなかった。


 ⸻


 ヴァイスは時計塔の方向を見る。


 ⸻


「遅い」


 ⸻


 その声は焦っていた。


 ⸻


 アークは気付く。


 ⸻


 この男。


 ⸻


 本当に急いでいる。


 ⸻


 理由は分からない。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 嘘ではない。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 セレスティア中央。


 ⸻


 巨大な光が空へ伸びた。


 ⸻


 白い柱。


 ⸻


 天まで届きそうな光。


 ⸻


 街中の人々が見上げる。


 ⸻


 セレスが顔色を変えた。


 ⸻


「まさか……!」


 ⸻


 アルドも息を呑む。


 ⸻


「封印が……」


 ⸻


 誰もが理解した。


 ⸻


 何かが起きている。


 ⸻


 最悪の形で。


 ⸻


 ヴァイスが剣を握る。


 ⸻


 金色の瞳が細められる。


 ⸻


「間に合わなかったか」


 ⸻


 その言葉が終わる。


 ⸻


 次の瞬間。


 ⸻


 光の柱の中心から。


 ⸻


 無数の文字が空へ広がった。


 ⸻


 古代文字。


 ⸻


 巨大な魔法陣。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 その中央に。


 ⸻


 ひとつの本が浮かび上がる。


 ⸻


 蒼く輝く本。


 ⸻


 神秘的な光。


 ⸻


 セレスが震える声で呟く。


 ⸻


「星記のレガリア……」


 ⸻


 第二のレガリア。


 ⸻


 ついに姿を現した。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 同時に。


 ⸻


 別の存在も現れる。


 ⸻


 光の中から。


 ⸻


 黒いローブを纏った老人が歩み出る。


 ⸻


 長い白髪。


 ⸻


 細い身体。


 ⸻


 異様な瞳。


 ⸻


 アークは見覚えがあった。


 ⸻


 リベルタ地下。


 ⸻


 セレスティア襲撃。


 ⸻


 全ての裏にいた男。


 ⸻


 マルクト。


 ⸻


 ネフィリム教団の教祖。


 ⸻


 ついに。


 ⸻


 黒幕が姿を現した。


 ⸻


「ようやく辿り着きました」


 ⸻


 老人は微笑む。


 ⸻


 その視線は。


 ⸻


 星記のレガリア。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 アイリスへ向いていた。


 ⸻


 まるで。


 ⸻


 ずっと探していたものを見つけたように。


 ⸻


 アイリスの顔から血の気が引く。


 ⸻


 マルクトは笑った。


 ⸻


「お久しぶりです」


 ⸻


 その言葉に。


 ⸻


 アークたちは凍り付く。


 ⸻


 お久しぶり。


 ⸻


 初対面ではない。


 ⸻


 つまり。


 ⸻


 マルクトはアイリスを知っている。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 アイリスもまた。


 ⸻


 彼を知っている。


 ⸻


 隠されていた真実が。


 ⸻


 少しずつ姿を見せ始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ