第十三話 旅立ち
エクリプスが去った後。
しばらく誰も喋らなかった。
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情報が多すぎる。
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レガリア。
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ネフィリム。
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エクリプス。
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継承者。
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世界を救う覚悟。
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理解できる方がおかしい。
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最初に口を開いたのはフィンだった。
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「帰るか」
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全員が振り向く。
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「いや、疲れた」
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正直だった。
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アークも少し同意した。
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遺跡に来たと思ったら。
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巨大な騎士と戦って。
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伝説の剣みたいなものを手に入れて。
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謎の組織に会った。
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一日で起きる出来事ではない。
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グレンがため息を吐く。
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「今日は戻る」
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その判断に異論はなかった。
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リベルタへ戻る。
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夕暮れ。
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街にはいつもの活気が戻っていた。
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だが。
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アークたちの世界はもう変わってしまった。
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宿へ戻る。
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夕食を食べる。
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フィンは相変わらずよく食べる。
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セレスは遺跡の資料を書き続けている。
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グレンは酒を飲んでいる。
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いつも通りのようで。
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少しだけ違う夜だった。
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アークは部屋の窓を開けた。
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リベルタの夜景が見える。
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無数の灯り。
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遠くを飛ぶ空船。
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綺麗だった。
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「眠れない?」
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声が聞こえた。
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振り向く。
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アイリスだった。
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銀色の髪が月明かりを受けて輝いている。
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アークは苦笑した。
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「少しな」
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「私も」
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二人は窓際へ並ぶ。
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しばらく無言。
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不思議と気まずくはなかった。
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風が吹く。
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静かな時間だった。
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やがて。
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アイリスが口を開く。
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「怖くないの?」
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「何が」
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「これから」
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アークは少し考える。
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怖い。
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もちろん怖い。
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分からないことだらけだ。
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でも。
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「怖いよ」
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正直に答える。
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アイリスは少し驚いた顔をした。
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「でも」
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アークは空を見る。
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星が綺麗だった。
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「知らないままの方が嫌だ」
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その言葉に。
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アイリスは小さく笑う。
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「アークらしい」
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「そうか?」
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「うん」
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優しい笑顔だった。
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しかし。
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その瞳の奥には。
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まだ不安が残っていた。
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アークは気付いていた。
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何かを隠している。
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何かを知っている。
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でも。
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今は聞かなかった。
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いつか話してくれる。
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そんな気がしたから。
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翌朝。
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アークたちはギルドへ向かった。
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大きな建物。
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冒険者たちが行き交う。
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リベルタ最大のギルド。
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その受付前で。
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セレスが立ち止まる。
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「目的地が決まりました」
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全員が振り向く。
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彼女は地図を広げた。
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そして。
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一つの場所を指差す。
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セレスティア
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天空学術都市。
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知識と歴史の都。
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セレスの故郷。
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「第二のレガリアについて調べるならここです」
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「確実なのか?」
グレンが聞く。
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セレスは頷く。
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「少なくとも手掛かりはあります」
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それだけで十分だった。
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立ち止まっている意味はない。
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ヴァイスも言っていた。
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時間がない。
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なら。
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進むしかない。
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アークは地図を見る。
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セレスティア。
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まだ見ぬ都市。
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まだ見ぬ仲間。
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まだ見ぬ真実。
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胸が少し高鳴る。
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怖さと。
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期待。
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その両方だった。
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こうして。
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アークたちは新たな目的地を定める。
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天空学術都市セレスティア。
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そこには。
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第二のレガリア。
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そして。
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千年前の英雄たちに関する最初の真実が待っている。




