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蒼空のレガリア  作者:
1章 蒼空の継承者編
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12/31

第十一話 蒼空のレガリア

 守護騎士の剣が振り下ろされる。


 ⸻


 轟音。


 ⸻


 石畳が砕け散った。


 ⸻


「うおっ!?」


 ⸻


 アークは横へ飛ぶ。


 ⸻


 一瞬遅れていたら終わっていた。


 ⸻


 笑えない威力だった。


 ⸻


「アーク!」


 ⸻


 アイリスの声が響く。


 ⸻


「大丈夫だ!」


 ⸻


 そう返したものの余裕はない。


 ⸻


 相手が大きすぎる。


 ⸻


 しかも速い。


 ⸻


 守護騎士は再び剣を振り上げる。


 ⸻


「グレン!」


 ⸻


「分かってる!」


 ⸻


 グレンが前へ飛び出した。


 ⸻


 大剣を振るう。


 ⸻


 鋼と石がぶつかる。


 ⸻


 激しい火花。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 守護騎士は止まらない。


 ⸻


「硬いな……!」


 ⸻


 グレンが顔をしかめる。


 ⸻


 まともに通っていない。


 ⸻


 フィンも側面へ回る。


 ⸻


 短剣で足を狙う。


 ⸻


 しかし。


 ⸻


 ガキン!


 ⸻


「いてぇ!?」


 ⸻


 短剣が弾かれた。


 ⸻


 完全に岩だった。


 ⸻


「どうしろってんだ!」


 ⸻


 フィンが叫ぶ。


 ⸻


 セレスも必死に観察している。


 ⸻


 その時だった。


 ⸻


「胸!」


 ⸻


 セレスが叫ぶ。


 ⸻


 全員の視線が集まる。


 ⸻


 守護騎士の胸部。


 ⸻


 そこだけ蒼い光が集まっていた。


 ⸻


「核です!」


 ⸻


「たぶんあそこ!」


 ⸻


「たぶん!?」


 ⸻


「たぶんです!」


 ⸻


 研究者らしい回答だった。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 他に手段はない。


 ⸻


 グレンが剣を構える。


 ⸻


「アーク!」


 ⸻


「分かってる!」


 ⸻


 二人が同時に動く。


 ⸻


 グレンが正面から斬りかかる。


 ⸻


 守護騎士の注意が向く。


 ⸻


 その隙。


 ⸻


 アークが走る。


 ⸻


 全力で。


 ⸻


 守護騎士の脇を抜ける。


 ⸻


 核へ向かって。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 届かない。


 ⸻


 あと少し。


 ⸻


 その距離が遠い。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 祭壇の結晶が輝いた。


 ⸻


 蒼い光。


 ⸻


 広間全体を包む。


 ⸻


 アークの身体を光が覆う。


 ⸻


 熱い。


 ⸻


 胸の奥が燃えるようだった。


 ⸻


 頭の中へ声が流れ込む。


 ⸻


『継承条件確認』


 ⸻


『適合者確認』


 ⸻


『第一レガリア起動』


 ⸻


 何が起きている。


 ⸻


 理解する前に。


 ⸻


 蒼い光がアークの右手へ集まる。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 剣が変わった。


 ⸻


 古い剣ではない。


 ⸻


 蒼い紋様が刻まれた美しい長剣。


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 まるで空そのものを鍛え上げたような刀身。


 ⸻


 広間に風が吹く。


 ⸻


 アイリスが息を呑む。


 ⸻


「蒼空の……」


 ⸻


 その名を知っていた。


 ⸻


 当然だった。


 ⸻


 ずっと前から。


 ⸻


 誰よりも。


 ⸻


「レガリア」


 ⸻


 アークは無意識に剣を握る。


 ⸻


 すると分かった。


 ⸻


 どう振るえばいいか。


 ⸻


 どう戦えばいいか。


 ⸻


 まるで昔から使っていたように。


 ⸻


 守護騎士が迫る。


 ⸻


 だが。


 ⸻


 恐怖はなかった。


 ⸻


 アークは踏み込む。


 ⸻


 一閃。


 ⸻


 蒼い光が走る。


 ⸻


 守護騎士の胸部。


 ⸻


 核へ。


 ⸻


 真っ直ぐ。


 ⸻


 剣が届く。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 バキンッ――


 ⸻


 蒼い核が砕けた。


 ⸻


 守護騎士の動きが止まる。


 ⸻


 数秒。


 ⸻


 沈黙。


 ⸻


 やがて。


 ⸻


 巨大な身体が崩れ落ちた。


 ⸻


 轟音。


 ⸻


 広間が揺れる。


 ⸻


 戦いは終わった。


 ⸻


 誰も言葉を発せなかった。


 ⸻


 アーク自身でさえ。


 ⸻


 ただ。


 ⸻


 手の中の剣だけが静かに輝いている。


 ⸻


 その時。


 ⸻


 遺跡の奥から拍手が聞こえた。


 ⸻


 パン。


 ⸻


 パン。


 ⸻


 パン。


 ⸻


 ゆっくりと。


 ⸻


 不気味なほど静かに。


 ⸻


 全員が振り向く。


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 そこに立っていたのは。


 ⸻


 白銀の髪。


 ⸻


 黒いコート。


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 金色の瞳。


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 ヴァイスだった。


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「予想以上だ」


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 静かな声。


 ⸻


 しかしその瞳は。


 ⸻


 アークではなく。


 ⸻


 蒼空のレガリアを見ていた。


 ⸻


「ようやく見つけた」


 ⸻


 その言葉と共に。


 ⸻


 ヴァイスの背後から黒い魔法陣が浮かび上がる。


 ⸻


 そして。


 ⸻


 数人の黒衣の者たちが姿を現した。


 ⸻


 エクリプス。


 ⸻


 アークたちの前に。


 ⸻


 ついに姿を現した。

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