第十一話 蒼空のレガリア
守護騎士の剣が振り下ろされる。
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轟音。
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石畳が砕け散った。
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「うおっ!?」
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アークは横へ飛ぶ。
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一瞬遅れていたら終わっていた。
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笑えない威力だった。
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「アーク!」
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アイリスの声が響く。
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「大丈夫だ!」
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そう返したものの余裕はない。
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相手が大きすぎる。
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しかも速い。
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守護騎士は再び剣を振り上げる。
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「グレン!」
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「分かってる!」
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グレンが前へ飛び出した。
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大剣を振るう。
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鋼と石がぶつかる。
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激しい火花。
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だが。
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守護騎士は止まらない。
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「硬いな……!」
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グレンが顔をしかめる。
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まともに通っていない。
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フィンも側面へ回る。
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短剣で足を狙う。
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しかし。
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ガキン!
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「いてぇ!?」
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短剣が弾かれた。
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完全に岩だった。
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「どうしろってんだ!」
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フィンが叫ぶ。
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セレスも必死に観察している。
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その時だった。
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「胸!」
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セレスが叫ぶ。
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全員の視線が集まる。
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守護騎士の胸部。
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そこだけ蒼い光が集まっていた。
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「核です!」
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「たぶんあそこ!」
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「たぶん!?」
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「たぶんです!」
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研究者らしい回答だった。
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だが。
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他に手段はない。
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グレンが剣を構える。
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「アーク!」
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「分かってる!」
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二人が同時に動く。
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グレンが正面から斬りかかる。
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守護騎士の注意が向く。
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その隙。
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アークが走る。
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全力で。
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守護騎士の脇を抜ける。
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核へ向かって。
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だが。
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届かない。
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あと少し。
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その距離が遠い。
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その時。
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祭壇の結晶が輝いた。
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蒼い光。
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広間全体を包む。
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アークの身体を光が覆う。
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熱い。
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胸の奥が燃えるようだった。
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頭の中へ声が流れ込む。
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『継承条件確認』
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『適合者確認』
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『第一レガリア起動』
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何が起きている。
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理解する前に。
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蒼い光がアークの右手へ集まる。
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そして。
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剣が変わった。
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古い剣ではない。
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蒼い紋様が刻まれた美しい長剣。
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まるで空そのものを鍛え上げたような刀身。
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広間に風が吹く。
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アイリスが息を呑む。
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「蒼空の……」
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その名を知っていた。
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当然だった。
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ずっと前から。
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誰よりも。
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「レガリア」
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アークは無意識に剣を握る。
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すると分かった。
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どう振るえばいいか。
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どう戦えばいいか。
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まるで昔から使っていたように。
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守護騎士が迫る。
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だが。
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恐怖はなかった。
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アークは踏み込む。
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一閃。
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蒼い光が走る。
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守護騎士の胸部。
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核へ。
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真っ直ぐ。
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剣が届く。
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そして。
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バキンッ――
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蒼い核が砕けた。
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守護騎士の動きが止まる。
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数秒。
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沈黙。
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やがて。
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巨大な身体が崩れ落ちた。
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轟音。
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広間が揺れる。
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戦いは終わった。
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誰も言葉を発せなかった。
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アーク自身でさえ。
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ただ。
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手の中の剣だけが静かに輝いている。
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その時。
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遺跡の奥から拍手が聞こえた。
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パン。
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パン。
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パン。
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ゆっくりと。
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不気味なほど静かに。
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全員が振り向く。
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そこに立っていたのは。
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白銀の髪。
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黒いコート。
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金色の瞳。
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ヴァイスだった。
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「予想以上だ」
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静かな声。
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しかしその瞳は。
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アークではなく。
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蒼空のレガリアを見ていた。
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「ようやく見つけた」
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その言葉と共に。
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ヴァイスの背後から黒い魔法陣が浮かび上がる。
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そして。
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数人の黒衣の者たちが姿を現した。
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エクリプス。
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アークたちの前に。
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ついに姿を現した。




