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【物語紀行】――主役も悪役も、役割を辞めたがっている。  作者: Taku
第1章 幕間③:『あなたは、誰派。』― 今日の席はどこ? ―「読者参加型」観測者適性判定

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幕間 第1話『はじまりは、いつもの質問から』

【冒頭】

この作品は『物語紀行』の幕間企画です。

本編の合間に、カノジョとカレシが中継セクターで読者と遊ぶ——そんな位置付けです。

独立短編としても置かれています。

どちらから入っても同じです。

あなたは、今日の誰派?

答えを急がなくていい——遊びですから。

全五話。解答見本は物語の最後にあります。

―――――――――――――


第1話『はじまりは、いつもの質問から』


中継セクター。

今日も変わらず、時空の狭間のさらに外側。


カノジョがラムネを片手に、壁に向かって話しかけている。カレシは手帳を開き、観測記録の準備をしている。雇い主はソファでコーヒーを飲んで脱力中。


カノジョ「ねえ。あなたは、自分がどんな人間だと思う?」


「優しい?」


「賢い?」


「勇気がある?」


「それとも――」


「わからない?」


彼女は少し間を置いて、笑う。


カノジョ「じゃあ、ちょっとだけ試してみようか」


カレシ「何を始める気ですか」


カノジョ「診断。『あなたは、誰派。』ってやつ」


カレシ「……意味がわかりません」


カノジョ「読者が自分がどのキャラに近いか、知りたいんでしょ。雇い主が言ってたよ。『たまには読者と遊べ』って」


雇い主「……言ってない」


カノジョ「言ってた」


雇い主「言ってない」


カノジョ「言ったことにしておいて」


雇い主「…………」


カレシ「では、診断の定義を確認します」


彼は手帳に一枚の図を描く。そこには二軸のマップがある。


· 横軸:動く(選択・行動) ↔ 留まる(観察・保留)

· 縦軸:感じる(共感・直感) ↔ 測る(分析・検証)


カレシ「このマップ上で、あなたの傾向がどこに位置するかを見ます。あなたが『誰』であるかではなく、『どの席に近いか』を示すものです」


カノジョ「要するに『自分がどのキャラに近いか』が分かるってことね」


カレシ「……簡略化しすぎです」


カノジョ「いいの。さあ、最初の質問。行ってみよう!」


カノジョは壁に向き直り、ラムネを一つ口に放り込む。


カノジョ「考えすぎず、最初に浮かんだものを選んでね」


「回答は、Q1:A/Q2:B/Q3:C みたいにチェックしてくれると嬉しいな」


「もちろん、答えたくない問題は飛ばしちゃってね。だって、――遊びだから。」


カレシ「……それでは診断として成立しません」


カノジョ「いいの。遊びたいの」


カレシは深いため息をついた。


カレシ「では、第一問です」




【Q1|仕事を辞めたい友人】


友人から突然、


「実は昨日から仕事を辞めたいと思っている」


と言われました。


あなたなら?


A:まず理由を聞く

B:辞めてもいいんじゃない?

C:もう少し続けてから考えたら?

D:それだけでは判断できない


直感で、ひとつ。




カノジョ「これ、結構難しいよね。私はBかな。『辞めてもいいんじゃない?』って言っちゃうタイプ」


カレシ「あなたのその判断は、大抵の場合、その場の感覚です」


カノジョ「それがいいんだよ」




【Q2|間違いと事情】


目の前で、誰かが明らかに間違ったことをしている。


でも、その人には「そうするしかなかった事情」がありそうです。


あなたなら?


A:止める

B:事情を聞く

C:しばらく見守る

D:記録しておく


考えすぎず、最初に浮かんだものを。




カノジョ「これはね、私なら事情を聞くかな。話を聞かないと、何が正しいか分からないし」


カレシ「私は記録しておく、です。後で検証するためには、まず事実を押さえる必要があります」


カノジョ「カレシらしいね」




【Q3|正しさと対立】


あなたは、「自分が正しい」と思っていることで、誰かと対立したことがありますか?


A:ある

B:ない

C:わからない




カノジョ「ある、でしょ。だって、人間だったら絶対あるよ。それで揉めることもあるけど、それも含めて物語だからね」


カレシ「……あなたは、いつもそうやって物事を語りますね」


カノジョ「それが私の席だからね」




カレシが手帳を閉じる。


カレシ「Q1〜Q3の回答を記録しました。ただし、まだ分析には十分なデータが揃っていません」


カノジョ「つまり、まだ決まってないってことね」


カノジョは壁に向き直り、手を振る。


カノジョ「次回も続くよ。もっと深い質問、用意してるからね。――来たら面白いと思うよ。たぶん。」


雇い主「……それで集まるのか?」


カノジョ「いいの。次、行ってみよう!」

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