幕間 第1話『はじまりは、いつもの質問から』
【冒頭】
この作品は『物語紀行』の幕間企画です。
本編の合間に、カノジョとカレシが中継セクターで読者と遊ぶ——そんな位置付けです。
独立短編としても置かれています。
どちらから入っても同じです。
あなたは、今日の誰派?
答えを急がなくていい——遊びですから。
全五話。解答見本は物語の最後にあります。
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第1話『はじまりは、いつもの質問から』
中継セクター。
今日も変わらず、時空の狭間のさらに外側。
カノジョがラムネを片手に、壁に向かって話しかけている。カレシは手帳を開き、観測記録の準備をしている。雇い主はソファでコーヒーを飲んで脱力中。
カノジョ「ねえ。あなたは、自分がどんな人間だと思う?」
「優しい?」
「賢い?」
「勇気がある?」
「それとも――」
「わからない?」
彼女は少し間を置いて、笑う。
カノジョ「じゃあ、ちょっとだけ試してみようか」
カレシ「何を始める気ですか」
カノジョ「診断。『あなたは、誰派。』ってやつ」
カレシ「……意味がわかりません」
カノジョ「読者が自分がどのキャラに近いか、知りたいんでしょ。雇い主が言ってたよ。『たまには読者と遊べ』って」
雇い主「……言ってない」
カノジョ「言ってた」
雇い主「言ってない」
カノジョ「言ったことにしておいて」
雇い主「…………」
カレシ「では、診断の定義を確認します」
彼は手帳に一枚の図を描く。そこには二軸のマップがある。
· 横軸:動く(選択・行動) ↔ 留まる(観察・保留)
· 縦軸:感じる(共感・直感) ↔ 測る(分析・検証)
カレシ「このマップ上で、あなたの傾向がどこに位置するかを見ます。あなたが『誰』であるかではなく、『どの席に近いか』を示すものです」
カノジョ「要するに『自分がどのキャラに近いか』が分かるってことね」
カレシ「……簡略化しすぎです」
カノジョ「いいの。さあ、最初の質問。行ってみよう!」
カノジョは壁に向き直り、ラムネを一つ口に放り込む。
カノジョ「考えすぎず、最初に浮かんだものを選んでね」
「回答は、Q1:A/Q2:B/Q3:C みたいにチェックしてくれると嬉しいな」
「もちろん、答えたくない問題は飛ばしちゃってね。だって、――遊びだから。」
カレシ「……それでは診断として成立しません」
カノジョ「いいの。遊びたいの」
カレシは深いため息をついた。
カレシ「では、第一問です」
【Q1|仕事を辞めたい友人】
友人から突然、
「実は昨日から仕事を辞めたいと思っている」
と言われました。
あなたなら?
A:まず理由を聞く
B:辞めてもいいんじゃない?
C:もう少し続けてから考えたら?
D:それだけでは判断できない
直感で、ひとつ。
カノジョ「これ、結構難しいよね。私はBかな。『辞めてもいいんじゃない?』って言っちゃうタイプ」
カレシ「あなたのその判断は、大抵の場合、その場の感覚です」
カノジョ「それがいいんだよ」
【Q2|間違いと事情】
目の前で、誰かが明らかに間違ったことをしている。
でも、その人には「そうするしかなかった事情」がありそうです。
あなたなら?
A:止める
B:事情を聞く
C:しばらく見守る
D:記録しておく
考えすぎず、最初に浮かんだものを。
カノジョ「これはね、私なら事情を聞くかな。話を聞かないと、何が正しいか分からないし」
カレシ「私は記録しておく、です。後で検証するためには、まず事実を押さえる必要があります」
カノジョ「カレシらしいね」
【Q3|正しさと対立】
あなたは、「自分が正しい」と思っていることで、誰かと対立したことがありますか?
A:ある
B:ない
C:わからない
カノジョ「ある、でしょ。だって、人間だったら絶対あるよ。それで揉めることもあるけど、それも含めて物語だからね」
カレシ「……あなたは、いつもそうやって物事を語りますね」
カノジョ「それが私の席だからね」
カレシが手帳を閉じる。
カレシ「Q1〜Q3の回答を記録しました。ただし、まだ分析には十分なデータが揃っていません」
カノジョ「つまり、まだ決まってないってことね」
カノジョは壁に向き直り、手を振る。
カノジョ「次回も続くよ。もっと深い質問、用意してるからね。――来たら面白いと思うよ。たぶん。」
雇い主「……それで集まるのか?」
カノジョ「いいの。次、行ってみよう!」




