幕間 第2話『だんだん深くなる質問』
中継セクター。
前回と同じ場所。
カノジョは今日もラムネを片手に壁に向かって立っている。カレシは手帳を開き、前回の記録を確認している。雇い主はソファでコーヒーを飲んでいるが、相変わらず参加する気配はない。
カノジョ「さて、第二回。前回の続きだよ」
カレシ「前回参加した人へ。Q1〜Q3を答えた人は、そのまま続けてください。今回から参加する人も大丈夫です。Q4〜Q6だけでも遊べます。前回同様、Q4:A/Q5:B/Q6:Cのように回答してみてください」
カノジョ「そうそう。気軽にね」
カノジョは壁に向き直り、ラムネを一つ口に含む。
カノジョ「考えすぎず、最初に浮かんだものを選んでね」
「もちろん、飛ばしちゃってもいいよ」
カレシ「では、第四問です」
【Q4|「わからない」という状態】
「わからない」って、どう思う?
A:不安になる
B:面白い
C:仕方ない
D:……わからない
直感で、ひとつ。
カノジョ「『わからない』をどう扱うかで、結構タイプが分かれるんだよね。私、B。『わからない』って、なんかワクワクしない?」
カレシ「……私はAです。『わからない』は、記録できない状態だから」
カノジョ「カレシが不安になるの、見てみたい」
カレシ「冗談はやめてください」
【Q5|物語の結末】
物語の結末、どう思う?
A:きちんと決まっていてほしい
B:読者が決めてもいい
C:どちらでもいい
D:そもそも結末は必要ない?
カノジョ「これ、結構好みが分かれるんだよね。私はB。読者がどう思うかで、物語って変わると思うから」
カレシ「私はAです。物語は閉じるべきだというのが、記録者としての立場です」
カノジョ「ほら、やっぱりカレシは監査役寄りだね」
カレシ「……それは褒め言葉ですか」
カノジョ「そういうことにしといて」
その時、雇い主がソファから顔を上げた。
雇い主「カレシが監査役寄り?」
カノジョ「うん。だって、『記録』って言葉がもう監査役っぽいじゃん」
雇い主「……まあ確かに」
カレシ「雇い主までそんなことを言うんですか」
雇い主「否定はしない」
カレシ「…………」
【Q6|最終問題・診断を疑う】
【最終問題】
もしあなたが、「診断結果、間違ってない?」と思ったら?
A:そのまま受け入れる
B:理由を確認する
C:診断そのものを疑う
D:もう一度やり直す
カノジョは、ここで少し間を置いた。
カノジョ「ここだけは、ちょっと大事。」
「『診断そのものを疑う』を選んだ人」
「ちょっとだけ面白いところにいるかもしれないよ」
カレシ「はい。あなたは、すでに診断の外側に出ようとしています」
カノジョ「尚、この質問に正解はごさいません!」
カノジョが説明口調の気取り顔で補足する。
カレシ「……それはすべての質問に言えますが」
カノジョ「もう。サプライズっぽく伝えたいじゃん」
カレシ「やれやれ」
カレシは深いため息をついた。ただし、その動作はもう慣れたものだった。
カレシが手帳を閉じる。
カレシ「Q4〜Q6の回答を記録しました。ただし、診断結果の確定はまだです」
カノジョ「うん。だって、まだ途中だからね」
カノジョは壁に向き直り、手を振る。
カノジョ「次回、ついに結果……というか、あなたの『近い席』が分かるよ。たぶん」
カレシ「『たぶん』という曖昧な予告だと、読者に不安を与えてしまいます」
カノジョ「だって、来たら面白いと思うもん」
雇い主がソファから顔を上げる。
雇い主「……で、結果が出たらどうするんだ」
カノジョ「どうもしないよ。ただ——自分がどの席に近いか知ったら、みんなと仲良くなれるって思ったの」




