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実践!創作設定論  作者: 月桑庵曲斎
実践編〜執筆までは遠き道のり〜
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第十一章 整合性をとるには〜年表づくりはここから始まる〜

 人物——キャラクターにはそれぞれの人生がある。それを簡単な経歴というものにまとめて、キャラクター毎に管理すると、何が起こるかというと年号の不整合だ。


 こっちのキャラクターの経歴とこっちのキャラクターの経歴に齟齬がある……こうした整合性を確認するために作成するのが「年表」だったりする。


 もっと簡単に言うと「タイムライン」だ。


▶タイムラインは不整合を見つける物差し


 歴史物や物事が年単位で進む大河作品でもない限り年表は要らないので、ここからはタイムラインという言葉を使っていく。


 キャラクターの動き「いつ」「どこで」「何をした」を時間軸で管理するのがタイムラインだ。このタイムラインにすべてのキャラクターの動きを反映させるが、基準とするのは原則的にシナリオであり、主人公ではない。強制力はシナリオの方が上ということだけ覚えておこう。


 何故かというと、この整合性が必要なのはキャラクターではなく、シナリオだからだ。キャラクターの行動履歴が破綻していてもシナリオ上に問題なければ構わないが、シナリオが破綻するのは困る。当然シナリオを優先して個々の行動履歴を上書きし、整合性を取るのがいい。


 その判断はAIには出来ないので、影響範囲を確認した上で修正してしまおう。


 まずはシナリオの要素であるキャンペーン、エピソード、クエストといった物を書き込んでいく。勿論、チャットGPTにやらせていい。


 そのためには各キャラクターのチャットルームで、チャットGPTにキャラクターシートを作らせて、内容を保存しておこう。


▶まずシナリオを基準線にする


 この時点では、正確な年月日が決まっていなくても構わない。


 まずは「第一章より前」「亡命の直後」「即位から三年後」といった大まかな前後関係だけでも置いていく。


 大切なのは、空欄を恐れないことだ。分からないところは分からないままで残しておく。無理に日付を埋めると、その場しのぎの数字が後で別の設定を縛ることになる。


 勿論決まっているならそれを書いておくことが大事だが。


 タイムラインは完成品ではない。矛盾を見つけるための下書きであり、人物や設定が増えるたびに書き換えていく作業台なのだ。


▶人物の経歴や設定の成立年度を並べてみよう


 次に行うのは様々な設定が「いつからいつまであるのか?」だ。国や街、特産品、などもタイムスケールは違うが時期のあるものである。


 例えば、スキレットとは15世紀にヨーロッパでよく食されていた根菜だが、根に芯があるため調理するのに手間が掛かる物で、庶民が食べられることは余りないが、春に種を蒔いて、晩秋〜晩冬に収穫される。つまり、春や夏にフライド・スキレットというような食べ物は出てこない。


 こういう不整合は、人物の年齢や戦争の時期だけではない。季節、移動日数、収穫期、航海の時期、建物や制度が成立した順番まで、物語の中に出てくるものにはすべて時間がある。


 だから、設定を思いついたら「これはいつから存在しているのか?」を一度だけ考える癖を付けよう。


 兄弟姉妹の生年管理などもそう。こうした行動記録のような物は、小説に書く必要はないが、年月日、同日内なら時分まで書いておくと便利だ。


 ここでやるのは「人物と設定の不整合を見つけるためにタイムラインに載せる」ということであり、タイムラインを作るために人物を並べるのではないという点に注意が必要だ。


 人物と設定の不整合を見つけ、直すためにタイムラインを作る。


 このタイムラインを積み重ねた結果が、歴史になって行く。但し、史実に基づく作品の場合のみ手法が異なる。


 歴史小説は史実が基準となるので、史実通りのタイムラインが核としてあり、それに抵触する設定やキャラクターの行動履歴は弾かなければならないという制約がつきものだ。だから歴史物に創作を加えるのは難しい。


 ここまで来ると、欲しくなるのは地図だ。次章では地図を作っていくとしよう。

 

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