第十章 設定は人を活かすために〜設定のための設定は作らない〜
ここからようやく設定づくりに入る。
こらこら、方眼ノートなんか広げてなにをするの? え? 地図? いきなり?
要らない、要らない。地図なんてあとあと!まずはね、何が必要になるか確かめるの。それからどれを先にやるのかを考えよう。
▶設定は何のためにあるのか
設定というのは基本的にキャラクターを活かすためにある。活かすというのは色んな意味があるけれど、作中で使い捨てにされる設定が殆どだ。
とりあえず、さっきの収納箱に作ったキャラクターを配置しよう。そうするとまず、キャラクターのいる場所の名前が必要になってくる。それは街だったり、都市だったり、するからまずは名前が必要。
現代物なら実際にある場所をもじるのがいいが、架空の世界の場合注意が必要だ。そう、名前は歴史を持っているはずだからだ。
日本人はパッと見外国の都市の名前から意味を理解できない。しかし、古名とか語源と調べると意味が出てきたり、「昔住んでいた部族の名前」が出てきたりする。実例は既に前に挙げたので覚えてるよね?
つまり、異世界の言葉で○○という意味があった方がいい。適当に付けると「言語体系に違和感が出てくる」なんてことになる。一番いいのは何処かの国の言葉を拾うこと。国や部族単位でそれらしい言葉にするといい。
名前の考え方については第七章で説明した通りだ。地名や称号にも語源や歴史があると考えた方がいい。
オルガをシナリオに当てはめると、まず、序章の段階で帝都や母国の設定が必要になる。オルガが身に付けている冠、笏、宝珠に名前が必要になった。冠は帝冠とだけ表記し、笏は黄金で出来た〈万物を統べるもの〉となり、宝珠は金と赤の〈勝利を齎すもの〉となった。
シナリオの中で純白の王女という呼び名が生まれ、母国エーリウの設定が生まれ、真紅の女帝、狂奔の女帝といった異名も増えていった。
シナリオにキャラを置くと途端に設定が増えていく。だが、それでいいのだ!
▶登場人物同士の関係が世界を広げる
次に他のキャラを置いてみる。そうすると、主人公との関係性で設定が必要になってくる。幼馴染、王室に仕える騎士、同級生、先輩後輩、上司部下なんて関係性が出来てくるとそこに設定が生じる。生える生える、どんどん生える。
だが、それでいい。それがいい。無駄がないからだ。設定が先にあると「キャラを活かすための設定」ではなく、「設定のための設定」になってしまうからだ。
ちなみに、設定は一つごとにチャットルームを区切って分けて記録しておく。チャットGPTは情報を完全に保管してくれないこともあるので、整えたものはテキストファイル化して、ライブラリに保存しておくといい。
その時のファイル名はキャラクター名で、チャットルームの名前とも編集して同じにしておこう。
設定は人物から生まれる。そして、生まれた設定は管理しなければならない。思いついたまま一つのチャットで長々とやると、参照できなくなるし、放置しとくと後で必ず矛盾が発生するからだ。
▶設定は後から生えてくる
例えばラパステーを登場させる。彼はラパステー枢機卿という呼ばれ方で登場するので、宗教関係者だと分かる。
枢機卿が分からない人のために、いちいち作中で説明する必要はない。良く「なんで異世界にそんなものがあるのですか?」とか言ってる阿呆が居るが、そんなこと言ったら我々が日本語で書くのもNGになっちゃう。
そもそも小説家ってのは、異世界語を日本語に翻訳してるようなもんなんだからこっちの世界の歴史と違っていて当然なのだ。
ただ、ラパステーの場合は「孫娘のようにオルガを思っていて祖父のように見守っている」という関係性。なので、序章での出番より、幼い頃のオルガと絡むことの方が重要になる。
こうして、キャラクターも箱に入れていくと、「敵が足りないな」「オルガが王宮に住むにしても、王妃たちと同じはオレネイアの立場からいって変だよな」⇒そもそも王妃の設定が足りなかった⇒王妃の実家は何処だ?——というように設定が増えていく。
このように人と人が絡むとさらに設定は増え、そして破綻しないためにチャットGPTに整合性チェックを再三再四に亘ってやらせることになる。
設定は人物から生まれる。
だからこそ、それぞれの設定が矛盾なく繋がっていることが大切なのだ。




