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落ちこぼれ魔法士は【樹木魔法】で世界を救う!?  作者: はりまぐろ
第三章 大精霊の試練 〜マンティスアロー男爵領 大魔王復活事件〜
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ーーー


放課後。

僕が新しく作る商会のメンバー達はFクラスに集合していた。

メンバーは、ツバキやモモチなどFクラス全員に加え、ラティフォリア、ショウゲツ、シルベストリス、クロマの計24名だ。


「えー、それでは、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。僕たちが今度立ち上げる商会についての、第一回会議を始めたいと思います」

「「「「「おおー!」」」」」


パチパチパチパチ


僕はまだ具体的な内容について全く話していないのに、集まった生徒達は謎に感心して拍手した。

驚くのはこれからにしたまえ。


「まず、ここで見聞きした事は軽々しく他言しないように。僕の魔法に関する秘密をお伝えしますので。しかし新たに仲間を加えたい時などは、僕に許可を取ってもらえればお伝えいただいて構いません」

「「「「「はい!」」」」」

「ありがとう、みんな。それではまずこちらをご覧ください。第七位階魔法【精霊魔法】ドライアド召喚、および精霊合体」

「「「「「!!!???」」」」」


僕が突然、第七位階魔法を使い始めたため、すでに生徒たちはみな驚き、口をを大きく開けていた。

皆、唖然として言葉も出ないと言った表情だ。

ツバキとショウゲツは僕が第七位階魔法を使えることを知っているので、落ち着いた様子である。


「さらに【精霊魔法】樹木創造、魔法のタブレット作成!」


僕がさらに魔法を使うと、僕の手のひらには魔木で作ったA4サイズほどの薄い板が出現した。

これは樹木創造により新たに創り出した生きた魔木で、ドライアド分霊を込めたタブレット端末だ。

表面には液晶パネルのように画像が映し出されており、スライドすることで次のページに移動することができる。


「ラティフォリア先輩、持ってきていただいた記事を貸してもらえますか?」

「は、はい、どうぞ」


ラティフォリアはお昼休みの時に剥がした古い記事を僕に手渡した。

ラティフォリアは目の前で行われている所業に驚き、心ここにあらずといった様子だ。


「ありがとうございます。それではこの記事を魔法のタブレットに読み込ませます」


僕がタブレット端末の表面に記事を載せると、読み込みが開始された。

ものの数秒で読み込みは完了し、記事の内容がタブレット端末に映し出される。


「あっ!私の記事が吸い込まれちゃった!」

「吸い込んだわけではなく、読み込んだだけですよ。はい、この記事はお返ししますね」

「あ、ありがとう」


だいたいの掴みが済んだところで、僕は仲間達に新しく作る商会で取り扱う商品について説明することにした。


「こんど僕らが新しく作る商会で扱う商品は、情報だ。情報はこのように、僕が創り出した魔法のタブレットによって見ることができる。そして同じ内容を、同時に複数のタブレットに転送して閲覧することが可能だ」

「ゼルコバ様、素晴らしいご商売のように思います!こちらの魔道具を販売して利益を得る、ということですね?」

「モモチありがとう。しかしこの魔法のタブレットは基本的には販売するのではなく、無料配布するつもりだ」

「「「「「無料配布!!!???」」」」」

「そ、そんな!どう見ても金貨数百枚はするであろうこの魔道具を、無料で……」


このタブレットは僕が魔法で生み出したもので、ドライアドの分霊も僕の魔力がある限りいくらでも創り出せる。

つまり、無限に生み出すことができるということで、作成にかかる経費も一切ない。

しかし世間の常識から言って、同じものを作り出そうとした時には、間違いなく金貨数百枚以上の値段がつくであろう。

僕のビジネスの狙いは、この魔法のタブレットをできるだけ多くの人に持ってもらうことによって、初めて成立するのだ。


「しかしそれではお金が儲からないので、ゼルコバが破産するのではないかしら?」

「クロマさん、いい質問をありがとう。僕はこの魔法のタブレットをより多くの人に配布し、どんどん記事を載せていこうと思う。そしてその記事には必ず、広告を掲載する」

「「「「「広告!?」」」」」

「そう、広告だ。広告は費用を払うことで載せられるもので、宣伝効果がある。例えば、この記事の下の方に商品などの情報が載っていれば、記事を読んだ人は必ず広告が目に入ることだろう。そうすると記事を読んだ人がその商品を買う可能性が高まり、広告を出した商会の利益になる、というわけだ」

「はー、ゼルコバ君はすごいことを思いつくものだね」


ショウゲツは感心してそう言った。

しかし広告を用いた商売は僕のかつての故郷である日本では当たり前のことで、僕はその知識を利用しただけだ。


「広告は金額に応じて大きさや内容を変えられるようにする。さらに、お金を払ってもらえれば1ページ丸ごと広告に使ってもいい。内容はこちらで確認し、公序良俗に反するものでないようにするけどね」

「わかった!そこで私の出番なんだね!記事をどんどん書いて、この魔法のタブレットに読み込ませることで、たくさんの人が私の書いた記事を読むんだ!」

「ラティフォリア先輩、その通りです。しっかりとした記事を作るのは労力のかかることですが、ラティフォリア先輩なら品質の高い記事を速やかに作ることが出来ます。さらに、写真も掲載できるので、それはもう最高です」

「うわー、すごいすごいすごい!最高だよキング!ところで写真て何かな?」

「写真とは実物そっくりの絵のことで、ラティフォリア先輩が魔法で作り出した絵のことですよ」


うっかり異世界には写真という概念が無いことを忘れていた。

しかしこれからは写真という概念を広く浸透させていくことにする。


「記事にする内容はみんなで手分けして情報収集をしよう。特定の商会の利益に直結する内容でなければ、商品の紹介をしても構わない」

「え?商品の紹介をしてもいいんですか!?」

「もちろんだ、モモチ。しかし内容は公平公正にしよう。例えば、王都の美味しいお店を紹介し、味の感想を記事にする、などはいいと思う。あと、各地の名産品の紹介や、観光地の旅行記、有名人へのインタビューなども掲載していこう」

「あ!それならレッドパイン侯爵領のリンゴの品種について紹介したいですわ。甘味が強い品種や、酸味が強くてお菓子作りにあう品種など、色々ありますの」

「ありがとう、シルベストリスさん。リンゴの記事は是非とも載せていきたい。とにかくなんでも、記事になりそうな情報を集めていこう!」

「「「「「おお〜!」」」」」

「ゼルコバ様、モモチはゼルコバ様の叡智に感動しました。ところでこの新しく作られる商会のお名前はどうされるおつもりでしょうか?」


名前か、ふむ、その件についてはいまここで決めてしまうのが良い。

競合相手がいない、もしくは極めて少ない新しいビジネスのことを、ブルーオーシャンと呼ぶらしい。

僕の目指すビジネスモデルはまさにそれで、既得権益と競合するような商売には全く魅力を感じない。

この魔法のタブレットはこの世界で僕だけが創り出すことができるもので、競合相手など存在するはずがない。

さらに、僕の固有魔法【樹木魔法】を合わせて考えると、商会の名前はこれしかないだろう。


「新しく作る商会の名前は、ブルーフォレスト商会だ。蒼い森をみんなで広げていきたいと思う。そして役職だが、商会長はこの僕だ。そして会計係はモモチ、頼めるかな?」

「ブルーフォレスト商会、素晴らしいお名前です!会計係はこのモモチにお任せください!」

「ありがとうモモチ。1人では大変だろうから、気に入った人をアシスタントとして会計係に加えて欲しい。さらに、編集長はラティフォリア先輩にお願いしたいと考えています」

「もっちろん、私しかいないよね〜!?やりまーす!」

「ありがとうございます。ラティフォリア先輩も編集部に気に入った人を加えてください。あと、基本的にみんなは記事になりそうなものを取材して、良さそうな情報があれば僕やラティフォリア先輩に伝えてもらいたい。必要に応じて新たな役職を割り振っていこうと思う。あと、週に一度程度、こうして会議をしよう」

「「「「「はい!」」」」」


「わー、あっという間に新たな商会が誕生してしまいましたわね」

「さすがゼルコバ君だ、僕も何か手伝いたいけど、あまり役に立たないかも」

「ショウゲツ君には是非お願いしたい仕事があるんだ」

「えっ!?何かな?なんでも言ってよ!」

「ありがとう!国王陛下にもこの魔法のタブレットを売り込みに行きたいと思っていてね。出資者を募りたいと思っているんだ」

「出資者だね!それならまずは父上に相談してみるよ!」

「王家が出資なさるのでしたら、王国屈指の大貴族であるブラックパイン侯爵家も出資させていただきたいですわね」

「レッドパイン侯爵家も忘れないでよね!仲間外れは嫌なんだから」


こうして僕が新たに立ち上げた商会の名前はブルーフォレスト商会となり、王国でも指折りの大商会への第一歩を踏み出したのであった。





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