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落ちこぼれ魔法士は【樹木魔法】で世界を救う!?  作者: はりまぐろ
第三章 大精霊の試練 〜マンティスアロー男爵領 大魔王復活事件〜
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ベースキャンプの見張りとしてドライアドを召喚し、僕とツバキとベルは森の中を進んでいた。

薬草の買い取りリストが書かれた木板を見ると、10種類ほどの薬草が書かれており、1kgあたりの買い取り単価が書かれている。


「どれどれ、キズナオリ草1000リン/1kg、ヤケドナオリ草1500リン/1kg、ジヨウキョウ草1600リン/1kgか、どれもけっこう渋い価格設定だな」


木板に書かれている薬草の買い取り単価は、どれも1kgあたり1000〜2000リン程度であった。

リンゴ一個の価値が金貨1枚、つまり100万リンであることを考えると、薬草の稼ぎはかなり少ないと言える。

もらえるポイントはどれも1kgで1ポイントだから、Eランク昇格に必要な100ポイントを集めるためには薬草100kgを納品しなければならない。


「薬草の採取に旨みがあるようなら、みんな薬草集めをもっと熱心にやるでしょうね」


言われてみればその通りである。

ギリギリ食べて行けなくもないが儲けは出にくい、それが薬草採取という常設依頼なのだ。


「とりあえずどこに何があるのか調べてみるね。【鑑定】」


僕は地面に手をついて魔力を流し、【鑑定】を行った。

地面に触れていると樹木の根などを通して僕の魔力が広範囲に浸透するため、どこに何があるのかすぐにわかる。

とりあえず見つけた草を片っ端から【鑑定】していき、リストにある薬草を探していく。


「どれどれ、キズナオリ草とヤケドナオリ草があったな。ジヨウキョウ草もあるし、ドクケシ草と言うのもある。げっ、トリカブトもあるぞ」


トリカブトは山林に広く自生する多年草で、秋に紫色の美しい花を咲かせる。猛毒のアルカロイドを含んでおり、食べると死にいたることもある。

植物はそれぞれ何らかの薬効を持っているので、その中には当然、毒性の強いものも含まれているのだ。

それぞれの薬草がどこにあるのか大体把握した僕は、片っ端から採取していくことにした。

根こそぎ採取してしまうと環境に良くないかも知れないので、取りすぎないように注意しつつ、種類別にカゴを分けて採取していく。

ちなみにカゴはドライアド分霊召喚で呼び出した魔木騎士に持たせている。

【精霊魔法】の無駄遣いと言わないで欲しい。


「私も手伝いたいところなんですけど、大精霊様の試練が関係しているんですよね?」

「そうなんだツバキさん。なんなら薬草集めなんかせずに、魔法で薬草を創り出してしまうことも可能なんだけど、敢えてその手段は封印しているんだ」


僕はドライアドと合体することで、この世にある全ての樹木を再現することができる。

草も樹木の仲間みたいなものだから、工夫すれば必要なものを必要なだけ魔法で創り出すことも可能だ。

しかし僕は敢えてそれをせず、あくまでも正攻法で依頼を達成し、ポイントを集めることにこだわっていた。

魂の器よ、大きくなれー。


「む?」


僕が地べたに這いつくばって薬草採取をしていると、【鑑定】の範囲内に獣が入ってくる感覚があった。

チラリとツバキの方を見ると、コクリと頷く。

ツバキは音もなく移動し始め、弓を構えながら精神統一していた。


「【龍星】」


獲物との距離はおよそ500mほど離れており、森の中は木が茂っているため目視確認することはできない。

それでもツバキは固有魔法と共に、躊躇いなく魔法矢を天に向けて放った。

固有魔法【龍星】によって操作された魔法矢は天高く飛んでいくと、今度は獲物目掛けて上空から地面に向けて急降下した。


獲物が危機を感じとる間もなく、真上から魔法矢が降ってきて獲物に直撃したようだ。


「おめでとうツバキさん。見事な魔法だったね」

「ありがとうございます」


ツバキはホクホクしながら笑みを浮かべていた。

僕らが獲物を確認しに向かうと、一頭の猪が脳天から血を流して絶命していた。

暴れた痕跡もなく、まさしく即死だったのだろう。


ツバキは猪の前で合掌して目を瞑ると、しばらくそのま手を合わせて祈っていた。

狩人の作法かも知れないので、僕もいちおう真似して合掌する。


「森の恵みに感謝します」


ツバキはそういうと、地面に穴を掘り始めた。

穴掘りは得意なので、僕も協力して穴を掘る。


「ゼルコバ君すごい!いつも穴掘りが1番大変なのに」

「へへ、穴掘りは任せてよ」


僕は魔法で両手をスコップのようにし、ザクザクと地面に穴を掘っていった。

途中で魔木の根っこが出てくるので、傷つけないように避けつつ掘る。


猪が十分に入る程度の穴が掘れたら今度は猪の後ろ足を結束し、魔法で作った三脚を穴の真上に設置して、猪を逆さまに吊るした。

ツバキは猪の頸動脈を魔法でスパッと切り裂き、血がドバドバと流れて穴の中に溜まっていく。

ツバキは捌ける系女子だったのだ!


「これから猪を捌こうと思うんですけど、ゼルコバ君は内臓とかって食べれるタイプですか?」

「うん、けっこう好きだよ」

「必要ない部分は穴に埋めて土を被せておけば肥料になりますので、欲しい部分だけ持っていきましょう」

「わかった」


ツバキは解体用のナイフを取り出すと、腹に切れ込みを入れて内臓を取り出し始めた。

ツバキの手は血で染まって真っ赤になっている。


「生活魔法、クリーン」

「クリーン!?すごいぞ!」


ツバキが使った生活魔法クリーンは素晴らしい効果であった。

血で汚れた手が見る見るうちに綺麗になっていく。


「生活魔法クリーンはその名の通り血や泥を綺麗にする魔法で、【鑑定】と【念動】の複合魔法です。落としたい汚れのイメージが明確に出来ていれば、対象の汚れだけを取り除くことも可能ですよ」

「うわぁ、生活魔法も奥が深いなぁ」

「内臓はどうしましょう、多分すぐに腐ってしまうので、この場で焼いて食べてしまうか……」

「あ、それなら任せてよ。【精霊魔法】魔導書コクーン」


僕は魔導書コクーンを召喚し、新鮮な猪の内臓を指定して【精霊魔法】テイムを使用した。

こうすることで内臓は魔法化され、時間が停止した状態で収納することができる。


「わぁ、すごく便利な魔法ですね!持って帰れない分は捨てないといけない場合もあるのに、ゼルコバ君は獲物をいくらでも持って帰れるんですね」

「魔導書に収納しておけば肉が腐る心配もないから、とりあえずすぐに食べる分以外は僕が保管しておいてもいいかな?」

「ぜひお願いします!」


その後、ツバキはテキパキと肉を部位ごとに切り分けていき、最終的には猪は手足と皮だけの状態となった。

この皮も何かに使えるかも知れないので、いちおう収納しておくことにする。

そして僕とツバキは血と内臓が溜まった穴を埋め戻し、最後にクリーンで汚れを落として体を清めた。

こうしておけば、血や内臓は魔木の根が速やかに吸収してくれるため、死体漁りの魔物を呼び寄せるのを防ぐことができるのだという。

肉はとりあえず全て僕が保管し、食べる分だけその都度取り出してツバキに渡すことにした。

食べきれない分はお肉屋さんに売ることもできるが、あいにく僕は贔屓にしている肉屋などない。

ちなみにギルドに捕獲した獲物を持ち込むことはできず、依頼などで討伐や捕獲した魔物はギルド直営の解体場に持ち込む決まりだ。

その後、証明書を発行してもらうことで、ギルドでお金を受け取ることができる。


「薬草もほどほどに採れたし、お肉も手に入ったことで、今日はここまでで引き上げようか」

「そうしましょう!」


本日の僕の稼ぎは、薬草約10kg納品で14000リンであった。

種類ごとに分別して持ち込んだので、アセビさんが褒めてくれた。

ポイントは10ポイント獲得で、Eランク昇格までは90ポイント必要だ。

けっこう大変だぞ冒険者稼業!





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