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落ちこぼれ魔法士は【樹木魔法】で世界を救う!?  作者: はりまぐろ
第三章 大精霊の試練 〜マンティスアロー男爵領 大魔王復活事件〜
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次の週末、僕はツバキと待ち合わせて王都のギルドに向かう約束をしていた。

今日は神の枯枝から作った短剣を腰の後ろに装着しており、鞘も同じく神の枯枝を加工して作ったものだ。

右腕にはユリネが絡みついており、すやすやと眠りこけている。

さらに僕の隣には大型犬くらいの大きさのオオカミが座っており、人懐っこい表情で舌を出して息をしている。


「ベル、これからたくさん人がいるところにいくけど、大人しくしているんだよ」

「わん」


このオオカミはベルセルク・ライカンスロープロードをテイムしたもので、ベルと名付けて可愛がっている。

最近の僕の趣味は、ベルと戯れることだ。

ベルはナラク谷の大冥霊クジャが冥界から連れて来た凶暴な魔物であるが、魔導書コクーンに魔法化して収納することで無力化した。

その後、僕が十分な実力をつけたところで安全な場所にて召喚し、完全に主従関係を認めさせることができた。

僕とベルは結魂に近い魂のつながりを持っているため、ベルは僕の言うことをよく理解して、大人しくすることができるようになった。

さらにベルは人狼モードとオオカミモードを自由に使い分けることができるため、人前ではこのように、普通のオオカミのふりをしている。


「わぁ!可愛いオオカミですね!撫でてもいいですか?」

「もちろんだよ、ツバキさん」


待ち合わせ場所にツバキがやってきて、ベルに興味を示した。

ツバキは今日は自分の武器である弓を担いでいるが、矢筒は装備していない。

服装は動きやすい軽装で、なんと地下足袋を履いている。


「あっ、それ地下足袋じゃない?」

「ゼルコバ君は物知りですね。狩りに行く時には地下足袋の方が足の裏の感覚がよくわかるので、私は好んでいます。ブーツだと、うっかり魔木の根を蹴飛ばして怒らせてしまうことがありますからね」


かつてサイプレスがフジ山の樹海を探索した時に、地下足袋を履いたという話を聞いたことがある。

地下足袋は足のつま先に力が入り踏ん張れるため、力仕事の際に履く事が多いのが特徴だ。 足の指が親指と残りの指の二股に分かれているので地面を掴んで歩くことができ、木登りにも適している。


「僕も地下足袋が欲しいと思っていたんだよね」

「それなら今度一緒に買いに行きましょう」

「それは最高だ!」


僕らはおしゃべりしながらギルドに移動して、受付の女性にギルド登録を申請した。

名前と住所と年齢を書き、魔法が使える場合にはどの位階まで到達しているのか記載する。


「えっと、名前と住所と年齢はこれでよしと、後は魔法についてだけど……」


僕は正直に第七位階と書いていいものか一瞬悩んだが、結局正直に記入することにした。

嘘を書いて後でバレると、さらに厄介なことになる予感がしたためだ。


「えっ!?第七位階?」


ザワッ


ギルドにいた全ての人間の呼吸が、一瞬止まった。


「あっ、し、失礼しました。少しお時間ください」

「(おい、あの受付嬢、今第七位階って言ったか?)」

「(嘘つけ、あんな小僧が第七位階でたまるか)」

「(たぶん第七位階じゃなくて、第七歳ってことだろう)」


周囲の雑音が大きくなり居心地悪く過ごしていると、奥から先ほどの女性がガタイのいいおじさんを連れて来た。


「王都ギルドのギルドマスターをしております、レイランディーと申します。少し奥でお話を伺ってもよろしいでしょうか?」

「はい」


僕とツバキはギルドマスターに連れられて、奥の応接室に案内された。

ギルドマスターのレイランディーは明らかに僕のことを不審に思っているようで、間違いなく疑われている。


「それで、こちらのギルド登録申請書に記載された内容は本当でしょうか?こちらは魔紙でございますので、虚偽を記載されるとそれなりのペナルティを受けることになります」


レイランディーは僕が貴族だとわかっているために、不審に思いつつも敬語で話しかけて来た。

僕の無実を証明するためにも、【精霊魔法】を見せてあげた方が話が早そうだ。

幸いこの場には僕とツバキとレイランディーしかおらず、ツバキにはいずれ【精霊魔法】のことを打ち明けるつもりだった。


「はい、一切虚偽は記載していません。第七位階魔法【精霊魔法】ドライアド召喚」

「っ!!」

「わぁ!」


僕は【精霊魔法】を発動させると、ケヤキの種から依代を作り出し、応接室にドライアドを召喚した。


「主、この不逞の輩にいらぬ疑いをかけられているようですね。ぶちのめしましょうか?」

「ドライアド、落ち着いて。レイランディーさんはギルドマスターの職務を全うしているだけなんだ」

「御意」


この2年間で僕は【精霊魔法】をさらに高め、ドライアドは言葉を発することが出来るようになっていた。

召喚されたドライアドは騎士モードで、カッコいい魔木の鎧を身につけている。


「ほ、本物の第七位階魔法だ!ゼルコバ様、これはいらぬ疑いをかけてしまいました。王都ギルドの代表者として、謝罪させていただきます」

「謝罪には及びませんよ。僕みたいな子供が第七位階だなんて、普通は信じられないでしょうからね」

「そう言っていただけると安心しました。寛大なお心遣いに感謝いたします」

「それで、ギルド登録についてなんですけど……」

「ああ、そうでした!ゼルコバ様は特例としてAランク冒険者から登録することができますが、いかがでしょうか?」

「Aランク、すごい!」


僕は考えた。

ここで特例措置を受け入れてAランクになることで、果たしてコトヒラ山の大精霊スウトクの試練をクリアしたことになるだろうか。

大精霊の試練はいずれも、僕の魂の器を大きく成長させることを目的としている。

そのため、特例措置でAランクになったとしても、試練達成の御朱印を授けてもらえない可能性がある。

さらに言えば、一度Aランクになって仕舞えばランクを下げることは難しいため、試練達成が事実上不可能となってしまうことすらあり得る。


「ありがたいお話なのですが、実は僕は大精霊から試練を賜っており、正規の手順でランクを上げる必要があります。ですので、最も低いランクから始めさせていただけるとありがたいと思います」

「大精霊の試練……さすがは第七位階到達者だ」

「ゼルコバ君てとんでもなく凄い人だったんですね」


レイランディーとツバキは僕の言葉を聞いて、感心しているようであった。

ツバキもいずれ位階を上げていけば、僕と同じ道を辿ることになるんだぞ。


「それであれば、最低のFランクでギルド登録させていただきたいと思います。さらに、専属をつけますので、何なりとお申し付けください」

「これはありがたいことです。ご配慮いただきましてありがとうございます」


その後僕は無事にギルド登録を済ませ、ついでにユリネとベルを僕がテイムしている魔物として登録した。

ここで言うテイムとは、【精霊魔法】テイムとは異なり、従魔として従えている魔物という意味だ。

従魔を従えている冒険者はそれほど多くないが、全くいないというほど珍しくもない。

街中で連れて歩く時には、ネームタグを取り付けておくように言われたので、僕はさっそく樹木創造でタグを作って、ユリネとベルに取り付けた。


ちなみにツバキは元々マンティスアロー男爵領のギルドに登録しており、Cランク冒険者だった。

今後は王都で活動するので、Cランクのまま王都ギルドにて登録をすることができた。


「ゼルコバ様の専属のアセビです。本日は依頼を受けて行かれますか?」


僕の専属となったアセビは、クールな雰囲気を纏った大人の女性であった。

年齢不詳ではあるが、普段は他の受付嬢達を統括するような立場のようで、職務の合間に僕の面倒を見てくれることになったようだ。


「アセビさんよろしくお願いします。Fランクで受けられる依頼はどんなものがありますか?」

「はい、例えば薬草類の採取、ウッド草圃場での刈り取り作業、街の清掃などがあります。薬草採取は常設受付依頼なので、採ってきた量に応じて支払いとポイント加算が出来ます。100ポイント貯まるとEランクとなり、害獣駆除依頼などが受けられるようになります」

「ありがとうございます。今日は初日なので、王都の外で少し薬草採取をしてみようと思います」


薬草採取といえば冒険者稼業の定番だ。

樹木関係の採取は危険が伴うためFランクでは受けられないが、薬草採取なら僕の固有魔法を使えば効率よく見つけられると思う。


「それではこちらが薬草の買い取りリストとなります。買い取り金額とポイントが記されていますので、参考になさってください」

「ありがとうございます」


薬草の買い取りリストは木板に書かれており、持ち出すことが出来るという。

地味に木版がかさばるので、魔法化して魔導書コクーンにしまっておこうと思う。

僕らはその後、お昼ご飯に食べるつもりのバゲットサンドを購入し、王都の外に向かったのであった。


「おい、あの小僧の専属にアセビさんがついたらしいぞ」

「ええ!?副ギルドマスターのアセビさんが?」

「もしかすると第七位階の噂、本当なのかもしれないな」

「ゴクリ」


僕らが立ち去った後のギルド内では、僕に関する様々な憶測が飛び交っていたのであった。





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