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第54話 私は命名のセンスまで素晴らしいです

スライムにより、魔王軍四天王バルティガが消滅した。

それにより、あたりは静寂に包まれている。


「師匠、どこから突っ込めばいいのか分からないですけど、それって、この前の四天王のスライムですよね?」


「はい」


「名前は何ですか?」


「ヌルです。ヌルっとしたボディなのでヌルです」


「もう少し、まともな名前は無かったんですか? それにこのスライムはランベルトって言うちゃんとした名前があったじゃないですか?」


「そうでしたっけ? でも、他にも名前の候補があるんですよ? ベタ、ネチョ、ベチャ、グチャ」


「軒並みダサいじゃないですか? 特に最後の3つは酷過ぎませんか?」


「そうですか? 魔物風情にはピッタリな名前ですけどね」


私はスライムを撫でる。

スライムは私の手を心地よさそうに受け入れる。


「こんなひどいことを言われているのに何で懐いているんですか?」


「何言ってるんですか? このスライムの心は以前に壊しているので、そんな大層な物はありませんよ?」


「師匠こそ何言ってるんですか!」


「もう用済みなので戻ってください」


スライムは核の球体以外を消した。

私は球体を腰のホルダーにしまう。




私たちは契約に従って、バルティガを滅ぼした。

テプサなどの反乱軍はルグドを攻撃し始めたようだ。

私たちは現状の確認と情報収集、今後の作戦計画のため、エルフの里に戻った。


「テプサがルグドを滅ぼせば、残る四天王は一人だな」


剣聖さんの声を久しぶりに聞いた気がする。


「じゃあ、私たちは残りの人を倒しに行くのね?」


聖女さんは既に戦う気のようだ。


「カリン、ダークエルフの四天王だな。暗黒魔法の使い手だな」


「暗黒魔法って? 良く知らないんだけど、エドアルドさんは知ってる?」


聖女さんは無知を晒す。


「人間の暗黒魔法の使い手は少ないから、確かな情報はないが、一般的に光魔法の逆だと言われている。光魔法は回復や、強化、補助などサポートする魔法が多いが、暗黒魔法は魔力の吸収や、弱化のような妨害する魔法が多いと言われている」


「つまりレラがいれば問題ないってことか?」


勇者さんがそう言うと大賢者さんは否定はしないが肯定もしなかった。


「そこについては微妙だな。確かに、聖女の持つ光魔法で暗黒魔法を打ち消すことが出来るかもしれないが、それだけで四天王になれるとは思えない。何かほかに武器があるはずだ」


大賢者さんの読みに私も同意する。

聖女さんを見ればわかる通り、暗黒魔法も光魔法も、基本は補助。

攻撃力と言う意味で弱い部分がある。

もちろん例外が無いわけではない。

聖剣もある意味光魔法の一種だが、攻撃力が極めて高い。


「私の予定ですけど、まだ、動きませんよ?」


「「「え?」」」


私以外は息がぴったりのようだ。


「何で、先に言わないんですか? 師匠が放置したせいで、無駄な時間を過ごしたじゃないですか?」


「何言ってるんですか、イラリア? 勝手に話を進めた皆さんが悪いんですよ? そんなことはさておき、四天王よりも5家の方を先に潰します。最新の情報で四天王カリンは動かないとの情報を手に入れたので、気にしなくても結構です」


「師匠、その情報はどこから手に入れたんですか?」


「情報源を話せって言うんですか? 金額を言っていただければ……」


「そんなことでお金を取らないでくださいよ!!」


「分かってないですね。情報は命ですよ? タダで情報源をしゃべるわけないですよね。それに、情報源を手に入れるために動いた私の時給が払われないことに怒りを感じます」


「結局はお金じゃないですか」


「情報源については置いといて、私たちはテプサとルグドの様子を見てから動きましょう」


「それは、勝った方を討伐するってことか?」


勇者さんが聞く。


「いえ、そうとは限りません。テプサが使えれば、このまま温存します。しかし、両方ともダメージを追っているようでしたら、両方とも始末します」


「もし、ジーナ殿が言う通り、テプサを始末する予定ならば、両者が争って疲弊している今が、テプサ、ルグド、両名を討伐する絶好の機会なのではないか?」


「大賢者さんの言う通りです。確かに、テプサを討伐するのならば、いいタイミングではありますが、ある程度の余裕があるのならば、残しておいた方が良い。私たちの最大の敵は魔王です。テプサと我々は共通の魔王と言う敵がいます。魔王領に地盤がほとんどない我々は現在のところ反魔王の支援者です。もし、テプサを討伐し、反乱軍が瓦解すれば、我々はただの侵略者となります。そうなれば、魔王の下にすべての戦力が集中する恐れがあります」


「あくまでも魔王軍の内紛に介入する形にして、全魔族の敵という立場を回避するということか」


「戦いは最小限の方が楽ですからね」


「ねえ? 最近思うんだけど、アンタって本当に落差が激しいよね」


「聖女さんが何言ってるのか分からないです」


「だって、基本はただの下種女なのに、急に真面目で知的になったり、二重人格なんじゃないのって思たのよ」


「すみません。寝てて聞いてませんでした。もう一度言ってもらっていいですか?」


「ちゃんと聞いてなさいよ! と言うか、目、開いてたよね?」


「起きているかのように寝る。寝ているかのように寝る。寝ているかのように起きる。誰にも私が寝ているのか起きているのかは判別できません。私も寝ているのか起きているのかよく分かりません」


「それ、大丈夫なの?」


「問題ありません。寝ていようとも起きていようとも、魔物や異教徒に後れをとる私ではありません」

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