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第19話 よく、品が無いって言われませんか?

ハーピー、顔から胸までが人間の女性のような見た目で残りは鳥と言う魔物。

食欲旺盛で食べ方の汚さと下品さに定評がある。

親が子供に食べ方について指導するときは反面教師としてハーピーを見せる地域もあるらしい。

戦闘力に関しては微妙で、戦力としては期待できない。

しかし、空を飛ぶことはできるので、空中からの偵察には使える。


「師匠?後ろにいる変顔をしている鳥は何ですか?」


「ハーピーです」


「ハーピーはまだ制圧してませんよね?」


「餌付けしたら懐かれました」


ハーピーが体を屈め私の肩に顔を擦り付けてくるので、フライパンで殴った。


「師匠!」


「今、何をしたか、分かりましたか?」


「フライパンで殴ってました」


「私ではなく、ハーピーがです」


「頭をすりすりしてましたね。懐いてるなって思いましたよ」


「半分は正解ですけど、半分は不正解です。今のは私の肩で食事で汚れた口を拭いていました」


「ヒヒヒヒヒ」


ハーピーはいやらしい笑みを浮かべ私を見下ろす。

私はもう一発、フライパンで殴る。


「エへへへへ」


気持ち悪い笑い声を発する。


「基本的にハーピーは下品で気持ち悪いです。これは標準装備なのでどうにもなりません。何かあれば、容赦なく殴りましょう」


「分かりました」


「グフッグフフフ」


私はもう一発殴っておく。




私は着替えて定例会議に参加した。

ハーピーに関しては参加させないことを決定した。

ウルフは人語を理解できても声帯の関係でしゃべるのは厳しい。

しかし、コボルトによる通訳があれば、意思疎通が可能なので参加ができる。

ハーピーは胸から上は人間なので理論上は会話が可能だ。

しかし、会話を成立させるだけの忍耐力と知能が足りないうえ、見ているだけで不快な変顔を所々で入れるので、会議にならない。

会議では役割の変更を告げた。

ハーピーには空軍と偵察、ウルフは偵察と奇襲、コボルトは建築、工兵、ゴブリンは戦闘とその他雑務とした。

今回はいつものメンバーに加え、コボルトとゴブリンからなる参謀本部のメンバーも加わっている。


「では今後の方針について話し合いたいと思います」


「敵はオークにアンデッド連合、いくら我々が連合したと言えど、敵う相手ではありません。ここは防衛しつつ、機を伺うのがよろしいかと思います」


「却下です。引きこもりプレイは私の趣味ではありません。あなたのような負け犬は粛清です」


私は二回手を叩いた。

背後からごっついゴブリンが現れ、参謀のゴブリンを連れて行った。


「お許しください。お許しください!! 教祖様ぁ!!」


参謀の一人が部屋から連れ出されると、外から新たにゴブリンが入ってきた。


「師匠、何ですかこれは? 新たな茶番ですか?」


「粛清です。この場に敗北主義者は必要ありません。この連合の基本方針は攻められるより攻めたいです」


「それは師匠の基本方針じゃないですか」


「我々は新たな仲間を歓迎します」


「ありがとうございます」


新しく参謀に就いたゴブリンが恭しくお辞儀する。


「では、どのように我々は動くべきでしょうか?」


参謀のゴブリンは脂汗を流しながら、何が正解か、必死に思案を巡らせている。

私は二回手を叩いた。


「そんなぁ! 私はまだ何も!!」


「速さは力となります。のろまは連合の足枷です。お願いします」


再びガタイのいいゴブリンが現れ、参謀を連れて行った。


「粛清された人はどうなるんですか?」


「最近発見された鉱山で、永久労働です」


「鬼ですね」


「参謀は優秀でないといけません」


新たに参謀が入ってきた。


「あなたの答えは?」


「オークと連合を組み、アンデッドに対抗します」


「それがあなたの答えですか?」


「はい」


私と参謀の間に緊迫した空気が流れる。

誰一人として声を発することが出来なかった。


「師匠、答えまだですか?」


声を発することはできなかった。


「残念! と言いたいところですが、まあ、正解にしましょう。正確にはアンデッドにより、オークが弱ったところを私たちが吸収です」


「それ、正解でいいんですか?」


「じゃあ、不正解ということで」


私が手を叩こうとすると、イラリアがかぶせるように言う。


「嘘です! 嘘です! 正解ですよ」


「そうですか? まあ、なら、粛清はなしで」




近頃のアンデッドの活動は目を見張るものがある。

アンデッドはどうも、オークを狙い撃ちにしている節がある。

これは私たちが弱いという風に見ているのか、はたまた、オークの死体が欲しいのかは分からない、確かに言えることはオークは徐々に追い込まれつつあるということだ。


「私たちが介入するタイミングが重要です。アンデッドにオークがやられすぎても、無事でもダメです」


「そんな都合のいいタイミングなんてわかるものですか?」


「難しいです。というより分かりません。なので、私が単身突撃でオークキングを改宗しようかなと思っています」


「できるんですか?」


「単身ならできます。しかし、この作戦には重大な欠陥があります」


「何ですか?」


「めんどいです」


「でしょうね。分かり切ったことを言わないでください」


「なので、もう攻撃を開始します。ちょうど、オークとアンデッドが総力戦をしているようなので、いいタイミングかもしれませんね」


「でも、オークは砦を建てて、防衛しているって聞きましたけど、大丈夫ですか?」


「私が何のためにキモイハーピーを味方に引き入れたと思っているんですか?」


「敵を不快な気分にさせるためですか?」


「それは無いわけではないですが、主の目的ではありません。空爆です」


「空爆? 何ですか、それ?」


「守るもん君をハーピーに持たせて、敵の頭上に展開します。あとはお分かりいただけますね?」


「師匠はエグい作戦ばかり思いつきますね」


「既存のアイデアに囚われない柔軟な発想をフライパン教徒は信仰によって可能としてます。このぐらいは朝飯前ですよ」


「確かに、フライパン教徒には常識が通用しませんからね。ありえない話ではない気がします」


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