第三話
第三話です。
ではどうぞ。
そのあと彼女……菖蒲さんからメールアドレスを交換し、僕は家に帰ってもそれをずっと眺めていた。
嬉しすぎて叫びそうになったり、勉強もできないほどでいた。
そこに菖蒲さんからメールが来た。
その瞬間、ドクンと僕の心臓が跳ね上がる。
『明日もよろしくお願いします』
という短い文章だったが、なんとも言えない喜びでベッドの上で足をバタつかせた。
そこに……。
カチャ……。
僕の部屋の扉を開ける音がした。
見てみると、姉さんが顔を覗かせていたが、僕の顔を見るなりドアを閉めた。
そしてまた開ける。
一体何をしてるんだか……。
「姉さん、何してんの?」
「ご飯ができたのを言いに来た……と言いたいところだけど、何ずっとニヤニヤしてんの? 前もそうだったけど、マジキモい。超無理。やめて」
……口が酷すぎる。
この毒舌姉さんの名前は、蜜柑。
僕の1歳年上で、友達が多い。
僕に写真の撮り方を教えてくれた人だ。
それに……蜜柑ていう名前ならもう少し爽やかな性格になってほしかったよね。
「そんなにニヤニヤしてる?」
「うん。今もね。何? 恋でもしたの?」
自分でもわからないんだけどな…。
先輩にも言われたし。
だけど…。
「ねえ、姉さん。『恋』って何?」
「はあ? 恋は恋でしょ? 人を好きになるってことよ」
「その『好き』って何?」
❀ ❀ ❀ ❀
僕が前から思っていたこと。
学校の噂とかで、この人とこの人が付き合ってるとか、両思いだとか、好きとかよく耳にする。
―――――好きって何?
17年間生きてて唯一わからない感情。
嬉しいとか悲しいとかはわかるけど、好きってどういうのだろう?
入院生活をしていて人と接していなかった僕にはわからなかった。
❀ ❀ ❀ ❀
「え……あんたそんな歳にもなって、恋もしてないどころか好きも知らないの? マジ引くわー」
もう泣きたい気分だ。
「いいじゃん。教えてくれても……」
「仕方ないなー。えっと好きってのは、その人と一緒にいると楽しくなったり、その人と話をするとドキドキしたり、もっと話したいって思えることなんじゃない? ……琥珀は、カメラが好きじゃん? 昔から。それと一緒だよ」
僕はその話を聞いて、菖蒲さんの顔が思い浮かんだ。
いや彼女の顔しか思い浮かばなかった。
「琥珀も、誰かを好きになっていいんだよ。」
僕は菖蒲さんが好き……なのだろうか。
でも彼女と一緒にいると楽しくなったり、話をするとドキドキしたり、もっと話したいと思う。
たしかにそうだ。
「お疲れ様です。先輩」
部室に行くと菖蒲さんがいた。
「ごめん。待った?」
「いえ。今来たばかりです。それで……今日もやるんでしょうか……カメラの」
ものすごく嫌そうな顔をしている菖蒲さんもとても可愛かった。
やっぱり僕は菖蒲さんが好きなのかもしれない。
「うん。そうだよ。一緒に頑張ろうね」
「はいぃ……」
今日も菖蒲さんと一緒に帰った。
今日の部活で菖蒲さんはぐったりしてるようだったけど、教えた僕にとっては幸せな時間
だった。
このままずっとこうしていたい……。
そう願っていた。
第三話どうでしたか。
なんとも初々しいお話ですね。
作者自身も読んでほっこりしています。
「続きが気になる!」と思った方は是非ブックマーク、評価ポイント、リアクションよろしくお願いします。




