不良債権の押し付け(リボ払い)と、支社長の任命
「き、貴様ら……システムのバグどもが! レベル5万の我々に楯突く分際を弁えろ!!」
激高した3体の敵幹部が、一斉に俺たちに向かって極大の殲滅魔法を放ってきた。
空間そのものを削り取る、回避不能の光の奔流。
「灰原! 会社の盾(クレーム処理)の出番だ!」
「はいっ、社長!! 任せてください!!」
第一営業部の盾役・灰原が、涙目で前に飛び出す。
「【ダメージのリボ払い】……起動!!」
ズガァァァァァァンッッ!!
光の奔流が灰原に直撃する。しかし、彼の体は一切傷つかない。レベル5万の幹部たちが放った致死量のダメージは、すべて彼のスキルによって『未来への借金(負債)』として蓄積されていく。
「なっ……!? 我々の殲滅魔法が、無効化されただと!?」
幹部たちが驚愕する中、俺は磔にされているリチャードの前に降り立った。
「……あ、朝倉……」
「ひどい有様だな、星条の英雄。四肢をもがれ、HPは残りわずか。会社で言えば、完全に『債務超過(倒産寸前)』だ」
俺はスーツの内ポケットから、一枚の雇用契約書を取り出した。
「お前のギルド【オリンポス】は、俺の会社が底値で買収(M&A)する。お前は今日から、うちの『北米支社長』だ。……サインするなら、お前の抱えているその致命的な『負債』、うちの会社が全額肩代わりしてやる」
「な、何を言って……!? 失われた四肢が、治るわけが……!」
「サインしろ。システム(理不尽)をぶっ壊したいならな」
リチャードは、俺の狂気と底知れぬ自信に満ちた目を見つめ……やがて、残された首を微かに縦に振った(口頭での契約合意)。
「交渉成立だ。……灰原! リチャードのダメージも『連帯保証』で全てお前が引き受けろ!」
「了解です! リチャードさんの四肢欠損ダメージ、全て僕の口座(体)に振り替えます!!」
灰原が叫んだ瞬間、リチャードの体に奇跡が起きた。
引きちぎられていた両腕と両足が、時間を巻き戻すかのようにシュルシュルと再生(データの復元)を始めたのだ。代わりに、灰原の体が限界に近い赤黒い光(ダメージの蓄積)を放ち始める。
「……ば、馬鹿な! 俺の腕が……治った!? そんなシステム、あり得ない!!」
リチャードが完全復活を果たし、十字架から降り立つ。
「あり得るさ。うちの会社は、不正会計のオンパレードだからな」
俺は笑みを深め、限界を迎えた灰原に指示を出した。
「さあ灰原。レベル5万の幹部どもの魔法と、リチャードの四肢欠損。限界まで膨れ上がった莫大な借金を、利息をつけてあの幹部どもに『一括請求(反射)』してやれ!!」
「はいぃぃぃ!! 支払日です、受け取れぇぇぇ!!」
灰原が両手を前に突き出す。
『――債務不履行。対象の幹部3名に、累積ダメージ【9,999,999(測定不能)】を執行(押し付け)します』




