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60点だった俺のカンスト人生〜底辺レベル1のアラサー社畜、超難関ゲートに落ちて神竜を簒奪(オーバーライト)したら世界最強になっていた〜  作者: kiro


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親会社(システム)の権限と、CFOの雇用契約



「ちょこまかと……隠れてないで出てきなさいよ、この貧乏企業!!」


上空で完全に苛立ったバハムートが、ついにそのあぎとに星を砕くほどのエネルギーを収束させ始めた。


「これで終わりよ! 私の全存在(全財産)を賭けた一撃! 【超神話級・終焉の息吹エンド・オブ・リクイデーション】!!」


赤黒い破滅の光線が、さいたま新都心の空を覆い尽くし、俺たちに向かって放たれる。


同時に、クロのステルスがその圧倒的な出力に耐えきれず解除された。


「……来たわね! その『防御』という事象ごと、全てを消し飛ばしてあげる!!」


バハムートが勝利を確信した笑みを浮かべる。

だが、しずくの監査データを信じる俺は、防御の姿勢すら取らなかった。


ただ静かに、右手を天にかざす。


(……コンマ0.5秒のラグ。お前がシステムにリクエストを送った、その瞬間――)


胸の奥の神竜コア(特異点)が、激しく脈打つ。

俺は、バハムートが放った破滅の光線に向かって、静かに、だが絶対的な支配者の声で宣告した。


「――【管理者権限ルートアクセス強制終了タスクキル】」


ピタッ。

世界から、音が消えた。


「え……?」


バハムートの口から漏れたのは、間抜けな声だった。


彼女が全財産を賭けて放ったはずの『終焉の息吹』が。


俺の右手が放った目に見えない波紋シグナルに触れた瞬間、何かの冗談のように『ポリゴンのノイズ』となってパラパラと崩れ落ち、虚空へと消え去ったのだ。


「う、嘘でしょ……!? 私の全マナを注ぎ込んだブレスが、無効化されたんじゃなくて……『システム上から無かったこと』にされた……!?」


バハムートの真紅の瞳が、恐怖と驚愕に大きく見開かれる。


「言ったはずだ。お前のスキルは『莫大な魔力を支払って、システムに買収を要求する』ものだ」

俺はゆっくりと空中に浮かび上がり、MPが空になって落下しそうになっているバハムートの首根っこを、ネコのように掴み上げた。


「だが、俺はこのシステムそのものを書き換える【親会社(管理者)の権限】を持っている。お前がどれだけ資金(MP)を積もうが、銀行システムの元締めである俺が『その取引は無効だ』と決裁を弾けば、お前の取引は成立しない」


「あ、あんた……人間じゃない……。この理不尽なシステムの大元(特異点)を、その身に宿してるっていうの……!?」


バハムートは震えながら、俺の目を見つめ返した。


「お前は有能だ。だが、一人フリーランスでは資金繰りがいずれ限界を迎える。……俺の会社(朝倉商事)に来い。俺の『神竜の魔力』を、お前の『事象の買収』の資金源として好きに使わせてやる」


俺はニヤリと笑い、彼女の耳元で囁いた。


「俺たちの力で、この世界を『魔境』に変えようとしているクソみたいな本社(神々)を、敵対的買収スクラップしてやろうぜ」


「…………」


バハムートはしばらく沈黙した後、フッと毒気を抜かれたように笑った。


「……はぁ。全財産賭けて負けたんだから、仕方ないわね。いいわよ、その契約書にサインしてあげる」


彼女は俺の腕の中で、黄金の翼をパタパタと畳んだ。


「あんたみたいな規格外の社長パトロンがいれば、私も心置きなく無駄遣い(買収)ができそうだしね! ……よろしく頼むわよ、社長!」


こうして。


圧倒的な格の違いと、完璧な秘書の実務サポートにより、神話級の魔竜姫バハムートは【朝倉商事の最高財務責任者(CFO)】として、正式に雇用契約を結んだのだった。


「ふぅ。さすがは社長です。見事な企業買収でした」


地上に降り立った俺に、しずくが労いのタオルを差し出す。


ミレイ、灰原、ルミも、規格外すぎる新入社員(竜娘)の加入に、ポカンと口を開けながらも歓声を上げていた。


特S級ダンジョンの入り口での初陣は大成功に終わった。


だが、システムの悲鳴を察知した『本社の役員』たちが、いよいよ本格的な「地球(市場)の強制介入」に向けて動き出そうとしていることを、この時の俺たちはまだ知らなかった。

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