6 ドリムの旅立ち
ハツカネズミが遊び疲れて眠ってしまうと、ドリムはまた一人になりました。
ドリムが自分の顔をなでてみると、とても前歯が長いことに気が付きました。
武器に使えそうなほど長い前歯に手をかけ、ドリムは自分の前歯を折ろうとしました。
「おっと、危ないところだった。ドリムはそうやって、毎回死ぬのだね。間に合ってよかった」
ドリムの小さな手を、お月様のような魔法使いが摘まんでいました。
「どうして、『間に合ってよかった』のです?」
「ドリムが死ぬのを止めることができたからさ」
「どうして、ぼくが死ぬのを止める必要があったのですか?」
お月様のような魔法使いは答えませんでした。何度も同じ話をしているので、飽きてしまったのかもしれません。
「ドリムや、お前には生きる理由が必要なのだね」
とても優しく、お月様のような魔法使いは尋ねました。でも、ドリムは言いました。
「いいえ、生きる理由は必要ありません。生きる必要がありませんから」
「でも、生きる理由があれば、死なないのだろう?」
魔法使いは丸い顔をますます丸くしてドリムに近づけました。ドリムは少し考えました。
「そうですね……もしやらなければいけない用事があれば、それが終わるまで死ぬことはないでしょうね」
「うむ。やはり、ドリムには生きる理由が必要なのだね。ではドリムや、お前にとても大切な用事を任せる。いいね、この用事が済むまでドリムや、決して死んだりしてはいけないよ」
「そうですか。そんな大事な用なら、ぼくが死んだりしてはいけませんね。任せてください」
ドリムは初めて、必要とされているのだと感じました。
お月様のような魔法使いは、ドリムに小さな荷物と地図を持たせ、魔法使いの家から外に出しました。
ネズミのドリムの旅が始まったのです。




