第一章 旅立ちのイーステン 1-14 旅立ち
~前回のあらすじ~
ナナリーがレインに渡したエル・ギガンティア、フリージア。
その代償として、レインは改めて彼女を守る事を誓う。
そして、彼女を帝国へ送り届ける旅が始まろうとしていた。
宴会からさらに数日が過ぎ、ナナリー達がイーステンを出発する日が訪れた。
ドモン達が拠点としている倉庫脇に一台の大きなキャリアーが停っており、
ガーベラの部品とワーカー、その他生活物資などが積み込まれていた。
そしてキャリアーの傍にはの事務所にいる皆が見送りに集まっていた。
「エレバン、留守中を頼む。
作業は指示した通り進めてくれ。急がなくていいからゆっくりな」
「判ってます。おやっさんもくれぐれも気を付けて下さい」
「大丈夫さ。頼りになる護衛もいるからな」
ドモンはキャリアーに目を向ける。
運転席ではレインがキャリアーの調整をしていた。
ライラと共に荷物の積み込みをしていたナナリーは、ドモンと会話している
エレバンの方へ駆けて行った。
エレバンも駆け寄って来たナナリーを見るとにこりと笑い、手を差し出す。
「ナナリー嬢、ひとまずはお別れですね。
旅先に加護がありますよう」
「エレバンさん、色々お世話になりました。
記憶が戻ったら、きっとまた会いに来ます」
「ええ、是非とも」
二人は握手を交わした。
ナナリーは他の皆にも手を振るとライラと共にキャリアーに乗り込む。
「行ってきまーす!」
ナナリーはキャリアーの窓から身を乗り出して一生懸命手を振った。
それに答えて手を振る従業員達の姿が段々と小さくなって行く。
彼女は寂しさを感じながらも新しく向かう場所に期待を膨らませていた。
相変わらず自分の事は全く思い出せない。
でも、旅には優しい人達が付いて来てくれている。
レインならばきっと自分を守り、帝国へ届けてくれるだろう。
そんな安心感を感じていた。
こうして、ナナリー達をのせたキャリアーはゆっくりとイーステンを後にした。
彼女は何も知らない。
自分の記憶が無い理由も、そして魔女に会わなければならない理由も。
本当の事を知る事が、幸せな事だとは限らない。
旅の先に何が待っているのか。
彼女はまだ何も知らない。




