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父の周りの人々が怪異に遭い過ぎてる件  作者: 帆足 じれ


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第四十七話 Sの部屋 ②

「実は、ちょっと気持ち悪いことがあってさ……」


 件の電話の翌日、Sが語った話を紹介する。



 数日前、Sは昼過ぎに帰宅し部屋で寛いでいた。午前中で授業が終わり、友人との約束やバイトもなかったため一人時間を満喫していたのだが、いつの間にか眠ってしまったようで、気がつくと薄暗くなっていた。物の輪郭はわかるが、明かりがないと厳しい。

 のそりと体を起こし、電気のスイッチを入れる。時計を見れば、夕方どころか夜に近い時間だった。


「あー、寝過ごしたなー、晩飯なににするかなとか考えながら、とりあえずベランダ側のカーテン閉めに行ったんだよ。ほら、うちの前、道路挟んでアパートあるでしょ? 対面(といめん)で向こうの方がちょっと高さあるから、部屋の中、丸見えになるんで。そしたら──」


 何の気なしに視線を送った向かいのアパート(2階)のベランダに人影が見えた。白っぽい服を着た女性だった。

 最初は洗濯物でも取り込んでいるのかと思ったが、その人は暗いベランダに突っ立ったまま、微動だにしない。しかもSの部屋の方をじっと見つめているようだった。

 異様な雰囲気を感じたSは急いでカーテンを閉め、キッチンへ向かった。

 

 食事を終え、寝支度を済ませたSの頭に、ふと先程の光景が浮かんだ。

 そして、よせばいいのに、カーテンの隙間から件のベランダを覗いてみた。


「……まだいたんだよ、その人。()()()()()()()()()


 街灯の明かりに照らされたその姿は青白く、生気をまったく感じなかった。

 ぞっとしたSは、それから昼間でもベランダ側のカーテンを開けないことに決めたのだという。

 

 次の日、Sは例のアパートに住んでいる親しい先輩(男性)にそれとなく()いてみたのだが、2階の住人は全員先輩の知り合いで、女性はいないとのことだった。

 おそらく住人の誰かの恋人だろうと無理やり自分を納得させた矢先に、私が気色悪い話をしたため、恐怖がぶり返してしまったそうだ。

 

 件の女性は何者だったのだろう。私が電話口で聞いた声と関わりがあるのだろうか。

 興味が湧き、“波長が合ってしまった幽霊説”、“Sのストーカー説”、“対面の住人に女装趣味があり、たまたまSに見られてテンパった説”などを挙げてみた。どれがいいか問うと、「全部嫌だわ。なんでそういう怖いこと言うの!」とキレられた。


 その後、夜間にSと通話することはあったが、一度も女性の声は聞いていない。

 特に霊障も起きず決着したものの、根本的な解決には至っていないため、いまだに気になっている。

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