仕事の処理
結局俺たちは何事もなかったかのように旅行に出発した。
アレスさんは飛空艇で見せ物のようにドラゴンの羽を撃ち、地に落としたのだという。
その後はもうリンチだ。上空から飛空艇による一斉射撃でドラゴンは倒された。
襲ってきたドラゴンの方が可哀想になってくる。
この事件でアストレアスが飛空艇を保有していることを世界に知らしめた事で世界情勢は変わりだした。
まずあれだけ謝罪しようとしなかったレガリアがすぐに頭を下げてきた。
これは驚くべき事だ。
アストレアスはレガリアに比べて国力が低い上に、レガリアから独立した国であるため、属国のような扱いとまで言わなくとも、舐められていたのは事実だ。
まぁこういう事が起きたわけだが、これは些細な動きと言ってもいい。
まず周辺諸国には遺跡探索を積極的にする動きが見られ、国境警備は強められた。
しかし、俺から言わせてもらうとアストレアス以上の成果を上げることはかなり難しい。
というのも、古代の有名な学者がどれだけいたかは知らないが、飛空艇を作ったのはエリス博士だ。
そして俺たちにはそのエリス博士の遺跡はアストレアス内にあると分かっている。
アレスさんにもこの事は伝えてあり、遺跡探索をすることをお勧めした。
まぁ以上のことならともかくとして、周辺諸国の動きなどの難しいことは国のお偉方に丸投げする。
今は全てを忘れて、バカンスを楽しもう。
俺たちは今、大型強襲飛空艇に乗っている。一番最初に乗ったあれだ。
超弩級の方はデカ過ぎて、止めにくいし、燃費も悪いので、ミルとエリナを最高傑作と言わしめた魔法の袋に入れてある。
まぁそれはさておき、俺たちは今、絶賛宴会中だ。
予め買い込んでおいた、高級な酒や果物を飲み食いしながら、オセロや将棋、トランプで遊ぶ。
トランプはこの日のために俺とエリナで作った物だ。
「ほらほら!皆もっと飲め!ミルも遠慮すんなって」
「じゃ、じゃあ私も頂こうかな……」
「そうじゃ!ほれ、リリー、お前も飲むのじゃ!王族だからとか抜かしたら、わしは泣くぞ!」
「え、ええ、そうですね。私も頂きます……」
「美味しいですね、このお酒。あ、トウカちゃんはダメですよ?まだ成人してないですからね。法律的には問題なくても、子供の頃から飲んでいると、パーになっちゃいますからね」
「私だけ、仲間外れですか!?」
「マスター、私も頂いてよろしいでしょうか?」
「もちろんだ!じゃんじゃん、飲んでくれ!お前の歓迎会も兼ねてるんだからな」
高い酒を仕入れて良かった。そこら辺のとはやっぱり全然違うわ。
こんなノリで二日間飛空挺の中で過ごすと、目的地のサイトリアに到着した。
前から思っていたが、これって普通に密入国だよな。
別荘はとんでもなくデカいので、驚くべきことに、庭に飛空艇を止めることができた。
別荘に着いてまずやることは……トイレに篭ることだ。
俺は思う存分吐いてから、荷下ろしを始めた。
最低限の家具は予め準備してもらっていたので、特に買うものがあるわけでもない。
「よし、お前ら、好きなとこ行ってこいよ。俺はとりあえず留守番してるから」
「え!?ハヤトさんがここまで連れてきたのに!?」
「今日はとりあえずパスだ、飲み過ぎた。明日からはとっておきの場所を紹介してやる。分かってると思うが、薄手の物を着てった方がいいからな。ここはこの時期でも海に入れるぐらい暑いから」
今は一応、秋も暮れるかというところだが、ここはまだ夏後半ぐらいの気温を誇っている。いわゆる避寒地だ。
お陰で夏のレジャーも出来るというわけだ。
「でも、行くって言ったって、どこに行けばいいのか分かんないよ?」
「うーん、そうだな……適当に買い物でもしてたらどうだ?どうせ今日はもう午後になっちゃってるし、大した遊べるわけでもないだろう。その間俺は荷解きをしておくから」
「買い物ですか……いいですね。皆さん行きましょうか?」
ユリシアさんナイス。
そのまま連れてっちゃって下さい。俺にも仕事があるので。
「そうですね。兄さんが荷解きをやってくれるようですし、ここは素直に遊びに行きましょう」
その通りだ。優しいお兄様のお言葉に甘えなさい。
結局あいつらはすぐに遊びに行った。
俺は手早くそれぞれの荷物を運んで、解き終わると早速ここに来たついでの仕事を果たしに行く。
まぁ仕事と大仰に言ったが、ようは荷物運びだ。
ゲイルさんに行くならついでに持っていってと言われた物があったので特に断る理由もなく、引き受けた。
俺はゲイルさんの古い知り合いだと言う、冒険者ギルドサイトリア支部長と面会を求めた。
最初は取り合ってもらえなかったが、ギルド会員証を見せたら一発だった。
「お待たせしました。本日はどのようなご用件でしょう」
「エドナ支部のギルドマスターをしているゲイルさんからお届け物を預かって来ました」
「そうですか、アストレアスからいらしたのですか。遠路遥々ようこそ、サイトリアへ、是非とも楽しんで行って下さい。お届け物を確認させて下さいね……はい、ありがとうございます、ゲイルにもよろしくお伝え下さい」
「あのぅ……お時間よろしければ、観光名所を教えて頂けたりはしませんかね?」
ギルドマスターは快く受けてくれて、結構な数の名所を教えてもらった。
自分が知らなかったものもかなり多かった。
結局、ギルドマスターが呼ばれるまで、話し込んでしまった。
こうして、サイトリアでの一日目が過ぎていった。
この度は「異世界転生したのに魔王がいません!」を読んで頂きありがとうございます。
御意見、御感想、御評価を頂ければ幸いです。気軽にお寄せ下さい。
下にスクロールしていくと手軽に評価できるのでお願いします。




