レプリカ正宗の真価
今回は刀香視点です。
今、私はカーミラさんにお話を聞いていた。
「この前行った、あの遺跡の研究資料を全てカーミラさんが持っていると聞いたんですが、本当ですか?」
「本当ですよ、トウカ様。何かお聞きになりたい情報があるのでしょうか?」
「はい、特性の『サムライマスター』について何か資料があれば、教えて頂きたいです」
私は何だかんだ言って、結局自分の特性に何も詳しいことを知らない。
正直言って私が一番役立たずなのだ。出来ることが兄さんと被っている。
「分かりました、少々お待ち下さい……はい、『サムライマスター』に関する文献があります。読み上げます、『サムライマスター、刀と名の付く武器を使いこなす前衛職。気配を操作することを得意としており、気配隠蔽や気配操作では他の追随を許さない。そのため、要人を暗殺する人斬りや高価な物品を盗み出す盗賊が適正職。また、魔力や気配の力、気を操作するのも得意としており、刀にこれらを纏わせて戦うことも可能。これの応用として居合から放たれる、風の中級魔法『ウィンドカッター』のような不可視の斬撃などがある』以上です。申し訳ありませんが、この他の文献は見当たりません。おそらく先に述べた暗殺職というのが原因でしょう」
これだけ分かれば大きな成果だ。
特に魔力や気を操作技術が高いということが分かったのが大きい。
私はカーミラさんにお礼を言って早速実践することにした。
刀に魔力を纏わせて……鞘から抜き放つ!
しかし、結局上手くはいかず、風魔法のように刀から魔力が飛んでいかない。
これは相当練習が必要なようだ。
まずは気を根気よく流し続ける。
気を流すことに慣れてきたら、鍔に指をかけて、抜き放った瞬間に斬撃が飛んでいくのをイメージする。
魔力であれ、気であれ、イメージがとても大事になる。これが出来なければ技はしっかりとした物にはならない。
よし、いける。
「飛んでけぇぇぇ!」
瞬間、刀を抜き放つとほぼ同時に三十メートルほど離れた木が倒れた。
これが気の斬撃?
『おお!掛け声はともかくとして、トウカやるじゃん!』
「だ、誰!?」
『え!?もしかして私の声聞こえてる!?わ、私だよ!トウカの刀だよ!』
「え……?刀って、まさかあなた?」
『そうそう!私、正宗、武器の神様が作ってくれた、全ての世界でただ一つの歌って喋れる武器だよ』
何その安っぽい設定!しかも声が声優が出してるみたいな美少女ボイス!
『今までもトウカに話しかけてだんだけど、こっちからの声は届かないみたいで寂しかったんだよ!』
「そ、そうだったんですね、ごめんなさい。話せるようになったのは気をしっかり流したからでしょうか?」
『私にもよく分かんない。でもこうして話すことが出来て私嬉しいよ。それにトウカにはやっと私の真の力を知ってもらえる』
真の力って何でしょう?
「真の力って、自動修繕の機能じゃなくて?」
『そんなのじゃないよ!それはおまけみたいな物だよ。私の真の力って言うのは使用者の魂の力を引き出す物なのです!どう、すごいでしょ?』
……言ってることが抽象的かつ荒唐無稽過ぎて何が出来るのか分からない!
「それって具体的にはどういう力なんですか?」
『説明しよう!私の体には「魂鉄」っていう天界の金属が使われていて、これは魂の力次第で、例えば伸びたり縮んだり出来るの。トウカが魂を燃やして、それを私の中に通すと、私はトウカの思い通りの形になったりすることが出来るんだよ!』
だからその魂とかなんとかって部分がよく分からないんだよ!
「どうすればあなたの中に魂を流し込めるんですか?」
『んー……分かんない!でも多分誰かを守りたいとか、誰かを傷つけたいとか、そういう強い意志で念じると出来るんだと思うよ』
「後半みたいな濁った意志でもいいんですか!?」
『大丈夫だよ、要は意志の力だよ!……でも使いこなせてくるとそんなの要らなくなりそうだよね……じゃあ私もサポートするからやってみよう!」
今一瞬暗い感情が見えたような……。
まぁでも正宗の言う通りなって見なくちゃ、何も分からない。実践あるのみだ。
『まずは落ち着いて……ゆっくり深呼吸をしよう。一、二、三、四、十……』
今、何故数を飛ばした?
『次は魔力か気を私に流してみよう。これもゆっくりいこう……』
私はゆっくりと気を送り込んでいく。
『うん、いい感じだよ……そして想像しよう、正宗が普通の両刃剣だったら……盾だったら……って感じにね』
急に突拍子もないことを言われたが、やってみる。
『トウカの考えが伝わってくるよ……両刃剣だね。もっと強く想像して!これは元々両刃剣だったと思うぐらいに!』
そう、これは両刃剣だ。
反りがあるわけでもなく片刃でもない。
『よし、今だ!叫べ、「魂武器」!』
「『魂武器』!」
正宗を見ると形状が両刃剣に変わっていた。
「……って何恥ずかしいセリフ言わせとんじゃ!?」
『てへっ!本当は魂なんて入らないよ!気と一緒に考えていることを送ろうと意識してくれれば十分だよ!』
「は?じゃあ、全部嘘なんですか?」
私は今にも正宗を地面に投げつけてしまいそうな衝動を何とか押し留めて、正宗に聞く。
『そんなこともないよ。「魂鉄」の話は本当だよ。実のところ私もよく分かんないんだよね、多分これは神様からのメッセージだよ。君たち二人が信じ合うことで、「魂鉄」は真価を発揮する!的な。私を作った神様って意外と中二病というか、おセンチというか、よく分からない神様だったから。でもそういうのを実現出来ちゃうから怖いよね』
こいつ意外と悪い奴だ。
自分の生みの親に対して中二病とか、おセンチとか言ってるし。
それは置いとくしても本当に魂の力って言うのがあるんだとしたら、正宗は無限の力を秘めているってことになる。
私も何か見出せるかも知れない。
やっぱり実践あるのみだ。
「その話は分かったからもういいよ。よろしくね、正宗。よし、とりあえず魔力と気は使いこなせるようにしよう!」
『うん、私も協力する、二人で最強を目指そう!なんちゃって!』
何かラノベの主人公みたいで嫌なんだよなぁ。
まぁでも自分の武器とぐらいタメ口でやっていこうと思った私だった。
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