夢の中で
俺はいつも通り、十時に起きる。
カーミラがいるので俺は朝飯を作る必要がなくなった。
ついでに言えば、家事は全てやらなくていいと言われてしまった。逆に私から家事をとったら何が残るんですか、とまで言っていた。
俺はさらに一時間ほどゴロゴロした後、リビングに行く。
「おはよう、ハヤト。今日は珍しく遅いね」
珍しく、だと?ミルは一体何を言ってるんだ?
「確かにそうじゃな。いつもは八時ぐらいには起きてくるのに今日は一体どうしたんじゃ?もしや、年か?」
年とか言ってんじゃねえ、俺はまだ十六だぞ?
「……そういえば、リリーと刀香はどうした?出掛けたのか?」
俺が言うと二人は怪訝な顔して、
「二人なら八十年ぐらい前に亡くなってしまったじゃろうが」
「ハヤト、本当に大丈夫?何か変な夢でも見たの?」
八十年だと?……分かったぞ、こいつら俺をからかってるんだな?まだまだ、甘いわ。
「お前ら、俺をからかってるんだろ?もう分かってるから、二人とも出て来ーい」
「ハヤト、お前本当に大丈夫か?今はわしらが出会ってから大体百五十年経ってるんじゃぞ?しっかりしろ、お前こそわしらをからかってるんじゃないのか?」
百五十年?まさか……そんなことあるわけない。
『あるさ、いつかは訪れる。これはそういう時代じゃないか、私よ。愛する者、仲間が死んでしまって、残されたのは不老の三人、もしかしたらオルクスも居るかも知れんな」
「誰だ!一体何を言っている!」
『ハハハ、そうかっかするなよ。想像してみろ、これはいつか来る時代だろ?リリーと刀香は普通の人間で、その寿命は八十年程度、ならば私たちは残されるのが道理ではないか』
確かにそれはそうだが、だからっていきなり百五十年経つのはおかしい。
それにこの声はいつか来ると言っている。おそらくこれは夢か幻術の類だろう。
「こんな事をして、何がやりたいんだ?」
『それは明確だろう、お前を鍛えるためだよ。私の予想だとお前はリリーと刀香が死んだとき自殺する。それでは困るのだ。お前の体はすでに私の体でもある、お前が死ぬとき、私も死ぬ。それが嫌なんだ。まぁこれを抜きにしても、私はお前も含めて共にいる仲間や友が気に入っていてな。お前が死ぬのは嫌だし、親しい者と別れるのも嫌なんだ。だから私は来るべき日のためにお前を精神的に鍛えている。それがこの行為の理由だ。理解したか?』
こいつは一体何なんだ?
俺の体を自分の体と言ったり、俺を精神的に鍛えるとか言ったり、もう訳が分からん。
しかし、とりあえずは、
「オーケー、分かった、理解した。だから今日のところは帰してくれよ、元の世界にさ」
『ふむ、まぁそうだな。初日はこれぐらいでいいか。これから一週間に一回、これ夢の世界にお前を誘う。ゲームのようになってるから、次回はこの場面から始める。シュミレーションゲームみたいで楽しいだろう?今思いついたんだが、ミルかエリナと結婚してみるのも手かも知れんぞ!』
百五十歳で再婚て……。
「そういう冗談は置いといて、早く帰してくれ」
『むぅ……割と本気何だが……まぁいい、また会おう、私よ』
声がそういうと同時に俺は目が覚める。
夢なのにはっきり覚えている。一体あれは何だったんだ?
まぁそれは今度聞けばいいか。
今日は遺跡探索の成果を報告して、国に色々なものを売りつけにいく。いくらになるか楽しみだ。
「色々あったけど、まずはお礼を言っとくよ。ありがとうハヤト君、助かったよ。それで今日は報告に来たのかな?」
「そうです。まぁ聞いたら驚くと思いますけどね」
俺はゲイルさんに遺跡から持ち帰ったものを一通り言う。
「そうなるとここで買い取れるのはミスリルとアーティファクトぐらいだね。流石に全部は買い取れないから、残りはギルドの本部に行くか、国に直接売りつけるかしてくれ」
「あれ?そんなに驚かないんですね」
「まぁね。驚くを通り越して、呆れているよ。君は本当に運がいいよ」
「それほどでも。じゃあとりあえず十分の一ずつここで売ります」
「了解、査定して、銀行の口座に送っておくよ」
「じゃあ、俺はこれで」
俺はこの後、リリーを連れて王都に向かう。
もちろん飛空艇に乗っていく。住民が驚くといけないのでステルスオンだ。
適当な開けた場所で降りて、魔法の袋に仕舞えばバレることはない。
「我が娘と息子よ、よく来た。いきなりだが、奥まで来てくれ」
俺たちは言われるがままに付いていく。
「今回のことは本当にすまなかった!国境の警備を突破されてしまったのはこちらの落ち度だ」
「私は軍部を預かっているレイフォードです。今回は本当に申し訳ございませんでした、公爵」
ちょい待て、今聞き捨てならないセリフが出てきたぞ?
「強襲された件はもういいんです。領地を離れていた俺の責任ですから。ですけど……公爵って何ですか!?」
「ん?何を言っている、王家の親戚なんだから妥当だろう?それに公爵といってもこの国じゃ、普通の貴族だ」
な、なるほど。確かにそう言われれば妥当だ。
「で、俺が出した遺跡探索の結果はどうだった?」
俺はゲイルさんに行った話と全く同じ話をする。
「「それは本当か(ですか)!?」」
「おい、大臣、聞いたか?飛空艇が十挺以上だぞ!?これでレガリアに一泡吹かせられるぞ!」
「ええ、そうですね!早速配備しましょう!」
「いやいや、その前にお金、払って下さいね」
「もちろんだ。しかし、値段がつけられない代物だからなぁ……いくらなら売ってくれるんだ?」
「白金貨二千枚」
「「え?」」
「普通飛空艇六艇、強襲飛空艇二艇、大型強襲飛空艇二艇。これにミスリルとアーティファクトの四分の三をおまけとしてつけます。ちなみにミスリルとアーティファクトの量はこれぐらいです」
俺はこの場で魔法の袋から相当する量を出そうとするがミスリルの四分の一ぐらいの量でだだっ広い部屋が一杯になってしまう。
「これでまだ四分の一です。この三倍あれば騎士の鎧を全てミスリルに出来るかもなぁ、ねえ大臣」
「財務大臣を呼んできます!」
「白金貨二千枚ですか……二十ヶ月分割で支払うことは可能ですが、来年度の予算はおろか、再来年度の予算にまで影響が出ると思われます。それでもよろしいならこちらは大丈夫です。私個人としましては姫様を侮辱したレガリアに一刻でも早く一泡吹かせたいですね」
何気にすごいお言葉。
「……よし、分かった。白金貨二千枚で買おう!」
俺はリリーを促す。
「ありがとうございます、お父様。こちらが品物が入った魔法の袋です」
「そうか!至急検分させる、少し待っていてくれ」
「中身を出すなら十分広いところでやってくださいね。袋から出したときに周りの物を壊しますよ」
「分かった、伝えておこう。代金の方は銀行の口座に入れておくから安心しておけ」
これでもう一生金には困らん。
しかし俺の一生はどうやら途轍も無く長いらしいので、売れるものは売っておきたい。
そして俺たちはまだ遺跡から持ち帰ったもので売っていないものがある。
それを明日売りに行くのだ。場所はアストレアス王国内の魔法研究都市ジークブルクだ。
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