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成果のほどは

 目を開けるとそこは普通のダンジョンのようだった。

 まぁ変わったところと言えば、魔物が全くいないが、その代わりに罠がとんでもなく多いということだ。

 お陰で俺たちは俺、エリナ、ユリシアさんの三人がかりで罠の処理をすることになった。


 罠を解除するだけの作業を五階層すると今度はぱったりと無くなった。

 その代わりに今度はいくら倒しても数が減らないゴーレムたちと戦うことになった。


 しかもこいつらは全てミスリルで出来ているゴーレムのようで一体処理するのにも時間がかかる。メルシャのときとは大違いだ。


「魔力の使用は極力抑えて迎撃しましょう!こうなったら前のように持久戦をするしかありません」


 俺たちは正直かなり消耗していた。

 そのせいで進行速度は大幅に遅くなり、一日に一階層進むので精一杯。

 時間の感覚も狂ってきて、交代で二時間寝て、二時間戦う、という作業を繰り返す。


 ミルの膨大な魔力量をもってしても残りは一割となってしまった。

 しかし、この永遠に続くのかと思われたゴーレム地獄もさらに十階層進んだところでぱったり止んだ。


 そして、俺たちの前には最後の試練だ、とでも言いたげな豪華な装飾が施された巨大な扉が現れた。


 万全の状態を整えるためにここで十分に寝ておく。

 『テレポート』で帰ればいいんじゃね?という俺の考えは浅はかだったらしく、しっかりと転移封じがされていて『テレポート』は不可能だった。


 どれくらい寝たか分からないが、俺たちはとりあえず起きて、決戦の準備をする。


「よし、行くか」


 俺は巨大な扉を開ける。


 果たしてそこには……


「これはオリハルコンゴーレムです!」


 ドラゴンの形をしたゴーレムがいた。

 ユリシアさんによればオリハルコンのようで、ミスリルよりもさらに上の素材で作られた物だ。


 これはアカン。どれくらいアカンと言うと死ぬほどだ。

 まずオリハルコンには普通の斬撃は通らない、魔力を込めなければ絶対に通らない。

 しかも魔力を込めた斬撃でも何千回斬ればいいのか分からない。つまりは剣じゃ絶対に倒せないよってこと。


「よーし、ゴーレムの隙をついて『魔力操作』の応用でミルとエリナに魔力を送れ。これは『次元斬』でバッサリ行ってもらうほかない」


 俺は早くも剣で倒すことを諦め、魔力を譲渡することを選んだ。

 ゴーレムの攻撃を避けるのなど容易いわ!

 しかし、当たると一発アウトのようなドラゴンブレスばかり吐いてくるので油断は出来ない。


「『次元斬』撃てるよ!」


「こっちもじゃ!」


「じゃあ、よろしく頼む」


 俺たちに大型のボスを当てるのは悪手だぜ?さっきのミスリルゴーレムの方がよっぽどキツかった。


「「『次元斬』!」」


 二人がそう唱えるとゴーレムの首は簡単に斬れて、地に落ちた。

 任務完了!


 ゴーレムが活動を停止するのと同時に奥の扉が開いていく。

 俺たちは喜びを噛みしめながら奥に進む。


 中はエレベーターのようになっており下に進んでいっているようだ。

 エレベーターに乗るとすぐに聞き覚えのある声が響いた。


『はひょ〜!お主らは良くやるのう。まぁとりあえずお疲れ様じゃ。ここから先には意地悪い罠もゴーレム地獄もないから安心せい、逆に天国のような場所じゃから思う存分楽しんで行くが良いぞ。お主らにはその資格がある!ちなみにお主らが入った入り口は封鎖してある。お帰りの際はそこを解放すればいいじゃろう、今度は直接地上に転移出来るぞ。ではまた後でな』


 説明が終わるとちょうどエレベーターも目的地に到着したようだ。

 扉が開くとそこには綺麗な庭園が広がっていた。しかも地上にいるかのような明るさだ。


「は?」


 ここまで来てまさかこれだけとか言ったらあのジジィ、マジで許さねえぞ?

 しかし、流石にそんな事もないようで道が五つに分岐していて、その先には魔法陣がある。

 あのじいさん、『テレポート』好きだなぁ。しかし魔力要らずってのはどういう仕組みなんだろうか?


 俺たちはとりあえず一番右から行ってみることにした。

 魔法陣を踏むとすぐに転移して、少しするとまた音声が流れる。今度はホログラムみたいのがついてる。


『ここは工房じゃな。お主らがどれくらいの知識を持っているかは知らないが、アーティファクトとかの製造法が載ってるレシピなどがあるから自由に使ってくれて結構じゃ。ちなみにここに来る前に真ん中の道に行ってないのなら最優先で行くように』


 見たことのない道具ばかりで俺にはよく分からないのでここは後でじっくり調べることにして次に行く。


 命令通り真ん中の道を進んで転移すると、また音声とホログラムが流れる。


『ここは書斎じゃ。ここの説明をする前にワシについて聞きたいじゃろ?……うむうむ、お主らの声が聞こえてくるようじゃ。どれくらい有名か知らないが、ワシは天才技術者と呼ばれたエリスのじじぃだ。手柄は孫娘に譲ったが、ワシも結構尽力したんじゃぞ?では書斎の説明に移ろう。恐らく机の上に指輪が置かれておるじゃろう、それはここの魔法陣を使うために必要なものじゃ。これからはそれがないと絶対に通れないので注意するように。後ここに置いてあるものは魔法に関する資料ぐらいじゃな、つまらん部屋じゃ!さっさと次に行くのをオススメする』


 ここには俺が見てもしょうがない物しかないようなので指輪だけとって、次に行く。

 後で資料は漁らせてもらうが。


 次は右から二番目の道に行く。転移するときに皆が俺に触れているのが嬉しかったのは秘密だ。


『ここは管理室じゃ。基本的に何も触らなければ全て上手く行くようになっている。くれぐれも壊さないように。ここを壊すとお主らは二度とここから出られないかも知れないから注意するように。ここはつまらんな、さっさと次に行くように』


 つまんない部屋多いんだな。


 俺たちは何も言わずに次に行く。左から二番目の道だ。


『ここは寝室じゃ。ここは何気にお気に入りじゃ。ベッドは最高級の物を扱っておるから超気持ちいいんじゃ。おまけに自動清掃機能付きで汚れや埃が絶対に付かない!だが、くれぐれもここでイチャイチャするでないぞ!もし、しようものなら呪い殺してやる!』


 俺たちはここも何も言わずに立ち去ることにした。

 最後は一番左だ。


『ここは格納庫じゃ!一番興奮するのう!何せワシの人生の結果全てがここに詰まっておるからな。ここに格納されている物を説明する。まずは飛空艇から紹介しよう。普通飛空艇が七機、強襲飛空艇が三機、大型強襲飛空艇が二機じゃ!ここほどに飛空艇がある格納庫はおそらくない!もしかしたら孫娘のところにあるかも知れんがそれは例外じゃ!そしてワシの人生の集大成を紹介してやる、その名も超弩級強襲飛空艇じゃ!大きさは大型強襲飛空艇の四倍、砲門は数も火力も二倍!流石の孫娘もこれ以上のものは作れまい。飛空艇の説明は飛空艇に搭載されているエリスシステムに聞いてくれ。次はアーティファクトじゃが、これは正直どうでもいいのう。飛空艇の話を聞いてからじゃどれもカスみたいなもんじゃ。しかーし、最後は結構すごいもんじゃぞ。世界最高の性能を誇る自動人形じゃ!これは孫娘の専門分野でのう、孫娘からもらったんじゃが、これは本当にすごいのう、男のロマンの全てが詰まっている。人によっては飛空艇なんかよりこっちの方がいいじゃろう。詳しい話は本人から聞いてくれ、起動パスワードは「俺の嫁のカーミラちゃん」じゃ』


 よく臆面なくそんなセリフ言えるなぁ。精神年齢がかなり残念な人と見える。

 しかし、これはとんでもない成果だな。


「何だか信じられませんね。あの飛空艇が何個もあって、さらに大きい飛空艇まであるなんて」


 刀香の言う通りだ。俺もここまでの成果は期待してなかった。


「とりあえず、ここから漁ろうかのう?他にもすごい物があるかも知れんし」


 俺は一直線に自動人形の方に駆け出す。


「なんて言うか、ハヤトって本当に正直だよね」


 ほっとけ!あのじいさんが言うんだ、多分本当にすんげえもんなんだろう!


「俺の嫁のカーミラちゃん!」


 俺がそう言うと、普通の人間となんら変わらないような身体を持った美少女人形は動き出す。

 じいさんの趣味なのかミニスカメイドだ。


「おはようございます、マスター……ん?マスターお若くなりましたか?……あ、飛んだ失礼をしました!前のマスターはお亡くなりになられて、つまりは新しいマスターですね。私はカーミラです、指輪を持たれている貴方を新しいマスターと認めます。後ろの方たちはマスターのお仲間ですね、では人数分指輪をお渡ししますね」


 カーミラは早速動き出した。しかし、本当に人間みたいだな、というか人間そのものだ。


「じゃあ、お前ら、そういう事だ!好きなところを見て回ってくれ、俺は行くところがあるから!」


「あ!待ってください、ハヤトさん!」


 リリーの声が聞こえた気がするが、今はそれどころじゃない。俺はカーミラの手を引いて寝室に急ぐ。


「カーミラ、添い寝してくれるか?」


「はい、もちろんです。マスターはお疲れのようですから、ゆっくりお休みになって下さい」


 これ、マジで何でもしてくれるヤツだわ。

 まぁでも俺は本当に眠かったのでベッドにダイビングする。もちろんしっかりと罠を解除して、だ。


 何という幸せだろうか。

 美少女に添い寝してもらえるとは……しかも一応、人形だから浮気にならない!なんて便利なんだ!

 そんな事を考えているうちに俺は寝てしまった。

 この度は「異世界転生したのに魔王がいません!」を読んで頂きありがとうございます。


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