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遺跡探索

 メルシャからエドナに帰ってきて早二週間。

 かなり中途半端だった領地の事も随分と纏まってきた。

 不動産屋のおっさんに言って、候補に挙がっていた豪邸を買い上げ、そのまま兵舎にしたり、行政官を呼んで、早速仕事をしてもらったりした。


 これによって俺は一日三時間書類を片付ける仕事に追われることとなった。

 最初は書類の量が多いらしく、頑張ってもらうとのことだったが、しばらく経てば仕事は減っていくらしい。


 そんなクソ忙しい俺にゲイルさんはまたもや面倒臭い依頼を持ち込んで来やがった。


「今回領主サマたちにやってもらう仕事は遺跡の探索だ。まぁダンジョン攻略と思ってくれて構わない。実は前々から遺跡に調査隊を送っていたんだが、どうにも中がダンジョンのように魔物が沸いたり、強力なゴーレムがいたりするとかで探索が進んでなかったんだ。そしてとうとう痺れを切らした国が高ランクの冒険者を派遣する事を決めて、Aランク冒険者を送ったんだが、そいつらは今に至るまで帰ってきていない。これはヤバいと思ったギルドは信頼性がとても高い領主サマに頼むことしたというわけだ」


「というわけだ、じゃねえよ!そんなところに何で俺が行かなくちゃいけないんですか!」


「別に断ってくれてもいいんだけど、月給減らしちゃうぞ☆」


 こいつぅぅぅ!!!俺がどういう人間か分かってやってるな?

 Sランク冒険者には特別に月給が出る事になっている。

 しかもこれが普通に高額でバカにならないのだ。


 ちなみにいくらかと言うとパーティー全員で白金貨五枚プラス依頼ごとの報酬だ。


「……で、そこまでして何が欲しいんですか?」


「そりゃ、もちろん、君たちが持っているような古代の魔法的遺産だよ。それかそれに関する情報とかでもいい。何故俺たちにそこまでさせてまで欲しがるのかって顔してるね。噂程度に聞いて欲しいんだけど、なんだかね、うちの国はレガリアに属国みたいな扱いを受けてるみたいでさ、どうやら君のお嫁さんの事を軽んじられたんだって。つまりどういう事かと言うと、レガリアに舐められないほどの力がうちにはないから、それを古代のとんでもない遺産で賄っちゃおうぜって話」


「よし、お前ら、話は聞いたな?今すぐ支度しろ」


 リリーが軽んじられたって話は十中八九、勇者との一件の話だ。


「お、やってくれるの?」


「当たり前だ。こっちは顔に泥塗られたんだ、一秒、いや、コンマ一秒でも早く泥を塗ってやらないと気が済まない。場所はどこですか?」


「はい、これ地図。僕の予想では間違いなく何かある、それが何なのかは分からないけどかなり期待していいと思うよ」


 俺たちは手早く準備を済ませる。

 こんな事もあろうとミルには門外不出の国宝級の魔法の袋をいくつか作ってもらっていた。

 本当はこれで金儲けをするつもりだったのは秘密だ。


「じゃあ、死なないぐらいによろしく!」


「はい、任せて下さい」


 俺は船に乗り込み、エリスに命令を出す。


「エリス、五十度変針、針路20、最大戦速!」


『アイ、サー』


「いつの間にか私の艦長の座が奪われてますね」



 最大戦速で進むと二時間ほどで目的地に着いてしまった。やはりとんでもなく速い、国が欲しがるだけはある。


「ここかぁ……ユリシアさんが前行ったところはどんな感じでしたか?」


「外観は遺跡なんてどこもこんな感じですよ。重要なのは中です。私が行った遺跡にはすごい性格の悪い罠があったりして最悪でしたよ」


 そりゃ、そうか。遺跡の最奥に物を隠すってことはそれだけ見られたくない物ってことだろうからな、性格の悪い罠があるのも当然だ。


「……まぁでも、とりあえず入ってみるしかないか」


「そうだね。だけどこっちには『罠探知』も『罠解除』もあるから大丈夫だよ」


 それが意外と重労働なんだよなぁ。


「兄さん、ウジウジしてても何にもなりませんよ。出発前のやる気はどうしたんですか?」


 何か嫌な予感がするんだよなぁ。完全攻略までに一週間は掛かる気がする。


「じゃあ行くかの……お、いきなり『罠探知』に引っ掛かったのじゃ」


 ……先が思いやられるぜ。


 と思っていた俺だったが、早くも最奥と見られる階層に着いてしまった。

 しかし、ここまでサクサク進むと逆に心配になってくる。しかも最奥のはずなのに何もないのだ。


 しばらく最後の部屋を探索していると、不思議なことに扉が閉まった。

 しまった、感知できない系の罠か!


 こういうのは大抵は罠じゃなくて先に進める物なんだが、やられる側にとっちゃ恐怖以外の何者でもない。


『よくぞ、おいでになった。これからお主らはここまでのチンケなダンジョンもどきとは比べ物にならん過酷な試練に挑んでもらうぞい!これは録音じゃから答えは聞けん。いきなりですまんが、お主らがこれから先の試練を生き残り、ワシの遺産を受け取るのを願っておる。では、テレポート!』


 つまり、こういう悪気が無さそうなのは『罠探知』に引っかからないのだ。

 俺たちに出来ることはなるべく離れないように固まっている事ぐらいだ。


 そして、俺たちは何処なのか分からない場所に飛ばされた。

 この度は「異世界転生したのに魔王がいません!」を読んで頂きありがとうございます。


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