俺の料理スキル
「ただいまなのじゃー」
「はい、おかえり」
というわけで今日からここは俺たちの家だ!
自由に生活出来るというわけだ。なんと素晴らしいことか!
「エリナは魔力炉を起動してきてくれ、今日は色々あったし掃除とかは明日やろう。もう夕方だしな」
ラッキーな事にこの家には備え付けの家具があったためわざわざ買わなくても最低限の生活が出来るのだ。
「おい、わしにだけ働かせてお前は何もしないつもりか?お前は夕飯を作るのじゃ!」
チッ、こいつ忘れてなかったか……しょうがない、俺の料理スキルを見せてやろう。
「じゃあ俺買い出しに行ってくるわ」
「私ここにいても暇だし、ついて行っていい?」
「エリナー、ミルも連れて行っていいか?」
「構わんぞー、魔力炉の起動は一人でも出来る」
「じゃあ行くか」
また街まで行くのは少し面倒くさいな。早く帰りたいし、この間みたいに走るか。
「ミル、俺の背中に乗れ。そうすれば早く街まで行ける」
「またやるの?あれ乗ってると結構気持ち悪くなるんだよ?」
「少し我慢してくれ。何、ほんの一瞬だ」
「わかったよ」
ミルが俺の背中に乗っかった事を確認する。周りに人はいないし、これなら思いっきり走っても大丈夫だろう。出発だ!
街の市場近くまではおよそ1kmぐらいあったが一分で着いてしまった。恐るべし、吸血鬼の身体能力。
「ところでミルは何が食べたい?ここに売ってるものからなら何でも作れると思ってくれていいぞ?」
「そうだね……和食かな」
「和食とはこれまた意外だな。天界で流行りだったのか?」
「別にそういうわけじゃないよ。私が好きなだけ」
まぁいい。和食はそこまで面倒くさいわけでもないしな。刺身なんか最たるものだろう。
「よしわかった。任しとけ!」
俺は献立を決めて材料や調味料を買った。
ちなみに家には魔導冷蔵庫があるようなので余っても平気だ。
流石に帰りは荷物があるので行きのように走っては帰れないので歩いて帰る。
「「ただいまー」」
「おかえりなのじゃ。魔力炉の起動は終わったぞ。これでどの設備も使えるようになったはずじゃ。ところで今日の夕飯はなんじゃ?」
「今日は俺の故郷の料理を作ろうと思う」
時間が勿体ないので料理をしながらエリナと話す。
「ハヤトの故郷というのはどこにあるんじゃ?」
どういう風に答えるか迷うな。まぁミルも極東とか言ってたし俺も同じように言っておくか。
「ここからずっと東に行ったところにある国だ」
「故郷の料理はどんな料理なんじゃ?」
「うーん、色々あるけど、健康なものが多いかな?それに多文化だから色んな国の料理をアレンジしたものとかがたくさんある」
「それは楽しみじゃな」
今日のメニューは野菜たっぷりの味噌汁と肉じゃが、ほうれん草みたいなものの和え物、食パンだ。
お米がないのが残念だが、仕方ない事だ。
味噌や醤油のようなものはあったが、みりんや酢はなかった。そのため肉じゃがには少し苦労した。
ここはやっぱり異世界でそう考えると少し寂しくなってしまうが、ここにはここの素晴らしい物がある。
「よし、完成だ。ご飯出来たぞー」
家には独立したダイニングルームがある。
独立したダイニングルームというのは地球では無くなってきたので新鮮だ。
「今日の献立は味噌汁と肉じゃがと和え物なんだね」
「この料理はそういう名前なのか?」
「そうだぞ。夕飯には今回みたいな俺の故郷の料理を振る舞ってやるよ」
「ハヤト、わしは腹ペコなんじゃ、早く食べよう!」
「はい、はい。じゃあいただきます!」
「「いただきます!」
我ながらよく出来ているな。味噌汁も肉じゃがもちょうどいい味だ。まぁパンと合うかは別として。
「この肉じゃがという料理、うまいのぅ!ハヤト、わしはこれが気に入ったぞ!」
お嬢様は肉じゃがが痛く気に入ったようだ。
「私はこの味噌汁かな。ちょうどいい味付けだよ」
「そうか!人に料理を褒められるって悪くないな」
俺は心が満たされて幸せな気持ちでいたときだった。急に明かりが消えた。
ここは郊外にあるので街灯がない。つまりこの時間になる外は真っ暗という事だ。
おかげで家の中は何も見えない。
「おい……エリナ?お前、手を抜いたな?」
「い、いや?そんな事はないと思うぞ?わしは結構本気でやったぞ?」
こんなとこで『暗視』が役に立つとは思わなかった……いや待て、結構明るくないか?俺には昼間と同じぐらいには明るく見えていた。
まぁいい、ミルとエリナは見えないだろうから『暗視』と『感覚共有』を使おう。
「ほい、『暗視』、『感覚共有』」
「ありがとう、ハヤト」
「お前はなんでまだ食ってんだよ!?」
「わしの目には昼間と同じくらい明るく見えるのじゃ!」
なるほど、吸血鬼の能力ってわけか。流石、夜の住人だ。
「って!自慢げに胸張ってないでさっさと再起動してこい!」
俺が言うとやっと席から立ち上がって魔力炉の方へ行った。
ったく!エリナはすぐ手を抜きやがる。面倒くさがりなんだよな。
その点では俺は人のことを言えたものではないのだが。
「じゃあ、俺たちは先に食べとくか」
「そ、そうだね」
しばらくすると明かりが点いて、エリナが戻ってきたのでちゃんとやったか問い詰めると、流石に今度はしっかりやったようで疲れた顔をしていた。
この分だとしばらく魔力を炉にくべなくても済みそうだ。
ご飯が食べ終わるとミルが片付けは自分がすると言うので俺はご飯前に沸かしておいた風呂に入る事にした。
風呂の沸かし方はボタンを押すだけなので、ギルドの大浴場より圧倒的に楽だ。
「ふー、疲れが取れる」
そういえば姫様は無事に王都は帰ったのだろうか。
この間のような事にはそうそうならないだろが、あんな事があったばかりなので心配ではあるよな。
「隣いいかな?」
「ええ、どうぞ。いい湯ですよ」
そろそろ体を流して上がるか。
「ちょ、僕を無視して風呂から上がろうとしないでよ!」
なんで俺は風呂でこんなにも不幸に遭遇しなければならないんだ。まぁ前回は完全に俺のせいだが。
この度は「異世界転生したのに魔王がいません!」を読んで頂きありがとうございます。
趣味で初めて書く小説ですので、拙い部分がかなりあると思います。
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