豪邸に住みたい
朝早くに目が覚めた。
理由は簡単だ。エリナが俺の寝てる間に影から出てきて、俺の掛け布団を取ったからだ。昨日あんな事をさせられたのに俺の布団に入ってくるとはいい根性をしている。
「そうだ。俺今日から金持ちになるんだ」
白金貨1枚分と言ったらもう普通に下級貴族レベルらしい。そうなると元勇者はいくらもらったんだ、という疑問が浮かんだが考えない事にする。
だって勇者パーティーの一員だって建国できているのだ。勇者本人だったら一体何になっているのだろうか?全く想像がつかない。
建国といえばこの国だ。アストレアス王国は騎士王アレスが魔王討伐に際してもらった領地の一部だ。
そもそもアストレアス家は隣のレガリア帝国の貴族で代々、名のある騎士を輩出する所謂武門の家らしい。アレス王は若い身でありながらレガリア帝国の副騎士団長をしていたという。
そんなとき世界の危機に国際協力しているという姿勢を見せるためレガリア帝国が勇者一行に推薦したのがアレス王だったというわけだ。そこで見事アレス王は最後まで戦い抜き、その褒美として現アストレアス王国領を手に入れた。それと同時にアストレアス王国の建国を宣言、世界はあっさり承認。元々街がたくさんある地区ではなかったためただいま都市開発中。
ちなみにレガリア帝国のアストレアス家はアレス王の弟が継いでいるそうだ。
話を戻そう。
俺は昨日お金をもらったら、何を買うかとても悩んだ。その結果一つの答えを出した。
俺は豪邸を買いたいと思う。二人に反対されればそれまでだが、俺は豪邸に住みたい!
流石にメイドさんを雇うのは無理だろう。つまり自分たちで管理できるレベルのものだ。それならばそんなに高い額を払わずに買えるのではないかと考えている。まぁ冒険者は定住するものじゃないんだけどね。
とにかく当初の目的は武器や装備を買う、というものだったわけだが、家を買ってもお釣りが来ると思うのでそれもクリアできるはずだ。
そんな感じで俺が考えを巡らせているとミルが起きた。
「……ん?ハヤトおはよう。今日は早いね」
俺は俺のベッドの方を指差す。
「あーそういうことね。エリナも『昨日』あんな事をさせられたのによく寝れるよね」
『昨日』の辺りで言葉にとげを感じた。
「昨日のあれはスキンシップだったんだよ。親睦を深めるために背中を流してもらったんだ」
「本当?なんか怪しいんだよね」
俺がしばらく弁明をしているとエリナが起きたので朝食を取ることにした。
いつもの朝食を食べ終わると俺たちはギルドのカウンターに行った。名前を伝えるとすぐに応接室に通された。どうやら額が額なのでカウンターでの引き渡しは控えるという事らしい。
「何だかこう……圧巻だよな。お金が目の前に積まれていくっていうのは」
「そうだね……これ何に使おうか?まずは装備品だよね。他には何を買おう?」
待ってましたその質問!
「それについては提案がある」
「何か買いたいものでもあるのか?」
「大きな家を買いたいんだ。俺たち人数増えたろ?そうなるとあの部屋じゃちと狭い。しかも大きな家ともなれば台所とか風呂なんかがつくんだよ。俺結構家事が出来るから心配ないぞ?」
豪邸に住むというのは俺の夢でもあるんだ!なんとしてでも実現してみせるぞ!
「ふむ……しかし冒険者というのは定住するものではないと聞くぞ?」
ふっ、それに対する言い訳も考えてある。
「別にこの街から離れるのはいいんだ。だけど俺の国ではホームタウンを持つのが普通なんだ。だから一応買っておきたいんだ」
もちろんこの街から積極的に離れるつもりはない。
はっきり言ってもう危ない事はしたくないのだ。事がひと段落したらエリナから手続き記憶を引き継いで無理のない範囲で冒険をしようと思う。
せっかくのS級の特性だが調子に乗るとまた死にかねない。
「なるほどな。それなら別にいいと思うぞ。第一、このお金はハヤトとミルのものじゃしな」
とりあえずエリナはクリアだ。
「ミルはどう思う?」
「私も別にいいと思う。だけどお金は大丈夫なの?」
そうだった。ミルは基本的には俺の好きにさせてくれるんだった。
「それに関しては問題ない。すでに優良な物件を見つけてある。後で見に行こう」
俺たちが今後の事について話していると声がかかった。
「ハヤトさん、今よろしいでしょうか?金貨110枚の用意が終わりました。今回のダンジョン探索の達成報酬は金貨10枚と一緒にしておくとギルドマスターが言ってました」
あいつケチったな?
「ミレットさんじゃないですか」
「はい、この間は疑ってしまい申し訳ございませんでした!」
まぁあんな事言われて信じる方が逆にどうかしているかも知れないな。
「いや、いいですよ。証拠がなかったら普通あんなの信じませんよね」
「そう言って頂けるとありがたいです。王女殿下にはこの場所に行けば会えるそうです。では私はこれで」
ミレットさんが俺に紙を渡すと部屋から出て行ったので、俺たちもお金を持ってきていたバックに入れ、念のためエリナの影の中に入れておく。
「とりあえず銀行ギルドに行こうか」
そんな場所があるなんて初めて聞いたぞ?
「銀行ギルドってなんだ?」
「知らなかったの!?まぁ別に影に入れる事ができるからそんなに問題ないけど、一応預けておこうよ」
俺たちはミルにとりあえずついていく事にした。
この度は「異世界転生したのに魔王がいません!」を読んで頂きありがとうございます。
趣味で初めて書く小説ですので、拙い部分がかなりあると思います。
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