ギルドマスター
「はい、お待たせしました。ここのギルドマスターのゲイルです。よろしくね」
そう言ってゲイルさんはどっかりとソファに座った。
「こりゃ、すごいねぇ。人が倒れて並んでるのを見るのは戦いのときぐらいだよ……いや、冗談だよ?ここ最近戦争なんてないから」
ゲイルさんは対して驚いてなさそうなのにそんなことを言いながら持っている資料をペラペラとめくる。
「ふむふむ。期待のコンビ、ハヤトとミルね……となりにいらっしゃるのが吸血鬼王様なんだっけ?ご協力感謝します」
ペコリと頭を下げてついでのように二人もご苦労様、と言って一回言葉を切る。
そしてまたゲイルさんは資料をめくる。
「あ、あの王女殿下のことなんですけど……」
ミルが聞いてくれたが、俺たちはまだ姫様がどう言う経緯でエギルに捕まったのかを聞いてなかった。
「ん?ああ、そっか、そっか、君たちはまだ王女殿下がどういう理由でこの辺に来てたのか聞いてないんだったね」
なんだ?すごい察しがいい人じゃないか。
「二日前にここの査察があったのよ。ほらここの支部ってさ、駆け出し冒険者の為の支援金が下りてるじゃない?あれが適正に使われてるかどうかの査察」
なるほどね。でもそんなことに王族自らが出向くんだな。
「妙な魔法を使いながら人と喋らん方が良いと思うぞ?ギルドマスターとやら」
魔法だと?何も使ってないように見えるが?
「何?もしかしてこんなのもバレちゃってるんだ?やっぱり本当に吸血鬼ってすごいなぁ」
本当に探知できてる……!
「ミル、こやつは『読心』を使っておった。じゃからお前の考えている事が分かったんじゃよ」
なるほど『読心』ねぇ。そんなスキルまであるのか。
「具体的な効果まで分かっちゃうんだ……分かった、分かった、もう使わないよ!だからそんな目で睨むのはやめてくれ!」
怖い、怖い、と言いながら肩をすくめるゲイルさん。どうやら魔法を解いたらしい。
この人には申し訳ないが印象を一言で言ってしまうと軽薄な人だ。
適当でチャラチャラしている。
「一応、話は聞いてるんだけどさ、又聞きだからもう一回だけ話して貰いたいんだけどいいかな?」
俺はミレットさんに話した内容と同じ事をゲイルさんに話した。もちろん『限界突破』の事は伏せて、だ。
あの力は常時発動出来る物じゃないし、使いこなせるまでは伏せておくのがいいと考えたからだ。
俺が話した内容をゲイルさんはメモしていく。
「……ほいほい……ちなみに『五素の悪魔』を倒した方法ってお聞かせ願えるかな?別に言いたくないならいいんだけどさ」
とか言いながらこの人、『読心』でまた覗こうとしている気がするよな……い、いかん!俺には『読心』を防ぐ方法がない!む、無心になるんだ!
「……!精神結界を張ったね?まぁいいや。詮索するのは良くないしね」
エリナが精神結界とやらを張ってくれたのか?
なんだかエリナにおんぶに抱っこだな。
「事情聴取はこれで終わり、君たちにはこれからの話を聞いてもらうよ?まずエギル討伐に関してだけどこれには賞金として金貨百枚が出てる。次に王女殿下救出の件に関しても金貨十枚を特別にギルドから出そう。あ、言っておくけど金貨十枚はあくまでギルドからの手当てだから、国からも色々貰えるかもね?……それと僕の方からDランクに昇格させておくよ。という訳で二人ともご苦労様!あとの事はギルドに任せてよ。さっき心を覗いたけど王女殿下とは知り合いみたいだから明日お見舞いに行くといいよ、そのときにお金も渡すように手はずを整えておくから」
全く羨ましいな、おじさんにも少し分けてくれてもいいんだぜ?と軽口を叩くゲイルさん。ホントにこの人軽いよな。
「じゃあ、わしは睡眠魔法を解いていいかの?」
「やってくれると助かるな。王女殿下が明日にも王都に出発できるよう準備したいからね」
姫様の査察は予定より大幅に遅れているからな。王様も心配している事だろう。
「ふん、貴様に言われんでもやるつもりじゃ!わしはハヤトに聞いたのじゃ!」
エリナは相当、ゲイルさんを嫌悪しているようだ。
それぐらい人と話すときに『読心』を使うのは失礼なのかもな。
この度は「異世界転生したのに魔王がいません!」を読んで頂きありがとうございます。
趣味で初めて書く小説ですので、拙い部分がかなりあると思います。
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