↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/131

78話

誤字脱字等ありましたら、よろしくお願いします。

 準備があるらしいユリアさんとはグリスで別れ、俺たちは時間を潰すためにひとまずクランキーズに帰ってきた俺たち。どうせならあの謎かけを解いてみようと思い、ゆっくり考えられるギルドに来たわけだ。


 現在四時をまわった頃で、店内はそこそこ賑わっている。今はサツキさん一人で十分対応できる客数だな。


「あれ、キントウさんどうしたんです?」

「ちょっと時間が空いちゃってね」


 そうだ、サツキさんとマスターにも見せてみよう。もしかしたら何か思いつくかもしれない。

 二人の手が開いたときを見計らって爺さんのメモの謎かけを見せてみたが、二人とも解けないのか、難しそうな顔でメモを睨みつけたままだ。


「俺、こういうの苦手なんだよなぁ」

「最初の文も気になりますけど、最後の闇の向こうっていうのも変ですよね」


 一応、樹海の北部にあるってことは分かってるんだよな。それで、サツキさんが言ってたようにわざわざ闇の向こうって付け足しているのには意味があるのか? 確かに樹海の中は薄暗いけど闇っていうほど見えないわけじゃないしな……


 結局サツキさん達からはそれ以上有力な情報が聞けそうになかったので、今度は三階にいたヘムジンさんに聞いてみることにした。

 三階以上はギルドメンバーしか上がれないので、ネコネコさんにはクランキーズで待っていてもらう。


 三階に上がるとヘムジンさんが俺たちを待っていたかのように、ソファでくつろいでいた。傍らにはウィンドウが一つ。あれは、グリスの地図かな?


「二人ともお疲れ様。謎かけを解いてるんだって?」

「そうなんだよ、ユリアだけ解いちゃって今準備とかでどっか行っちゃった」

「それはもう聞いてるよ。それで、謎は解けた?」

「全く分かりません。後ろの闇の向こうっていうのが気になりますけど」


 俺たちの今の状況を聞いたヘムジンさんは満足げにうなずき、ウィンドウに視線を向けてから閉じる。もしかしてあそこに答えが出てた?


「ヘムジンさんはもう解けたんですか?」

「たぶんだけどね」

「じゃあ教えてよー!」

「だーめ、自分達で解かないと」

「むぅぅ……」


 ヘムジンさんの反応に膨れ面になるアガサだったが、「自分で解かないとつまらないでしょ?」と諭され、答えを聞くのはしぶしぶ諦めたようだ。

 攻略サイトを見て進めてもすぐにつまらなくなっちゃうのと一緒だよな。自分で見つけてこそ楽しめると思うし。


「じゃあせめてヒントだけでも」

「なら少しだけ。ヒントは一番重要なのは前半、解く鍵はグリスで買える武器の中にあるよ」


それじゃあ頑張ってね、と言い残しヘムジンさんは地下へ行ってしまった。


 重要なのは前半、鍵は武器? どういうことだ?


△ ▲ △ ▲


「ヒントは武器、ねぇ……」

「分かります?」

「さっぱり」


 降参、とでもいうように両手を挙げるネコネコさん。

 再びクランキーズに戻ってきた俺とアガサはネコネコさんにヘムジンさんから聞いたヒントを伝え、それを踏まえて考え直してみたのだけど。


「重要なのは前半ってことは二つの内容が書かれてるってことか?」 


【乙女が天に昇るとき、小人は力を手に入れて、巨人は恋人たちに誘われる】



【癒しの花は守られて、闇の向こうで花開く】


 で分かれてると考えていいだろう。

 後者はきっとキュレの花の場所を示しているはずだ。じゃあ、前半は何を表している? ヘムジンさん曰く重要な部分らしいけど。


「ここで考えててもわかんないし、先にグリスの武器を確認しに行かない?」


 ということで、先にネコネコさんの提案でグリスの武器屋に行くことにした。






「到着っと」


 メイカーの転移門を潜り、一瞬でグリスに転移する。やっぱり転移門って便利だよな。そらをとぶとか使えないし。


 マップで確認したところ、ここグリスに武器屋は一つしかなく、婆さんの小屋への道の途中にあるみたいだ。ついでに婆さんの店にも顔を出しておこうかな。


 武器屋へ行こうと通りを歩いていると、反対側から見知った人物が歩いてきた。


「あれ、キントウとアガサちゃん。それに……ネコネコさん? でしたっけ? どうしたの」


 緑溢れる自然豊かな街、グリスの通りを白衣を身に纏ってこちらに声をかけたきたのは我がギルド最大の稼ぎ頭、【ドクター】ことマリオである。

 遠くから見たらマジで医者か研究者にしか見えん。というか、この街に白衣は合わない、浮きまくってるぞ。それに何故か顔が恐ろしいほどニコニコしてるし。


 そんな俺の心配はさておき、こんなとこで何してるんだろうか。さっき二階を通った時にいなかったからまだログインしてないのかと思ってたけど。


「マリオはここで何か用でもあったの?」

「決まってるじゃない! 薬草屋よ!」


 あー、そういや学校で教えたな。帰ったらすぐ行くって言ってたし本当に速攻で行ったんだ。調薬系として是非とも見ておきたい店だもんな。


「それで、どうだった?」

「凄いの一言に尽きるわね。今まで見たこともない素材やら道具やら売ってて、しかもあんたの名前だしたら三割引で売ってくれたのよ」

「は、なんで?」

「それが『キントウに聞いといて良かったわ』って呟いたら『あんた、あいつ(キントウ)の知り合いかい?』って聞かれたから『そうですけど』って言ったの。そうしたら『あいつには世話になったからね』って三割引にしてくれたの」


 もしかして、ここで好感度が役立った的な感じか? 婆さんのクエスト頑張ってよかったわ。どうりでマリオの顔が笑顔なわけだ。


「で、何買ったんだ?」

「全部」

「……は?」

「だから全部買い占めた」


 おかしいな、俺には買い占めたって聞こえたんだけど。気のせいか? もしかして何かの状態異常とかか? 幻聴なんてあったっけ。


「店にいったら私しか客来ないし、いいかなぁ〜って」


 あー、これはあれか? ヘムジンさん、情報止めてるんじゃないの?

 ユリアさんから伝わってるはずだし、あの場にいたのは俺、ユリアさん、サツキさん、ネコネコさんだけだし。

 しかも、ここ(グリス)はあまり人気無いから街の奥にある小屋なんて行かないだろうし。


 先に儲けるだけ儲けてから情報開示するつもりだろうな。あの店でしか買えない素材とかあったら、独占できるし。まあ、すぐにバレるだろうし問題ないか。


 まあ、そこは儲け第一のヘムジンさんらしいしもう慣れた。俺は普通に冒険してりゃいいや。


 話が反れたけど、ついでだしマリオにもメモを見せてみた。ヒントも伝えておく。


「グリスの武器屋って……あれかな?」


 そう言うや否やウィンドウを開いて何やら調べ物を始めるマリオ。不可視モードなので俺たちには見えない。


 そして、


「前半なら解けたかも」

「本当か!?」

「自信ないから言えないけど」


 これからアイテム製作をすると言って去っていくマリオを見送り、再び三人になる。 

 武器屋に行っていたらしいマリオは前半だけだけど、すぐに解けていた。やっぱり武器屋に行くのが手っ取り早いだろうな。








「らっしゃーい。好きに見ていきな」


 ぞんざいな感じの店主の歓迎を受け、武器屋に入る。中は入ってすぐ正面にカウンターがあり、向こうに店主のおっちゃんが座っている。


「奥に武器がしまってある設定なのかな」


 設定って言うな設定って。


「武器を見せて欲しいんだけど」

「はいよ」


 目の前に武器一覧が現れる。小さい街だけあって種類はそこまで多くない。

 イメージしていたのと同じで弓など、いかにも森っぽい武器が多くを占めている。ただ、忘れてはいけないが、仮にも最前線というだけあって性能はそこそこのものだ。


「どれどれ……弓に槍におっ、ダーツなんてのもあるな。あとは……紙? 何に使うんだよ」


 ユリアさんが居れば使い道を教えてくれただろうけど、今は準備とやらで不在だ。一体何をしているのやら。


「へぇ、面白い武器もあるね。タロットカードなんてのもあるよ、キントウは使える?」

「ん? んー、使えないね。きっとそんなジョブもあるんじゃない?」


 爆弾魔というジョブがあった以上、もうどんなジョブがあっても驚きはしないよ。






 あの後、広場に戻って再び考えてはみたものの謎かけは解けず、時間もまだ残っていたので、一旦解散し再び集合する運びとなった。

 その前に婆さんの薬草屋に寄ってみたものの、マリオが全て買い占めた為かすでに閉店になっていて入れなかった。


「うーん、なんだろう。ぜんぜん分らないよ」

「じゃあレベル上げでも行くかな」


 二人と別れ、宿屋からログアウトする。時間があるからいくつかリアルでやっておかないといけない用事を済ませることにした。

 最近ゲームばかりで勉強がおろそかになりがちになっている。親はテストで悪い点を取らなければ何も言わないので、普段は前日に詰め込んで乗り切ってるけど、このごろは授業中に居眠りが増えてるからな。少し教科書を眺めるだけでも違うだろ。


△ ▲ △ ▲


 それから数時間が経って。


 現在時刻は午後十時四十五分。いつもならログアウトしようか、と考えている時間だ。

 夜になり、昼よりも人気の減ったグリス転移門広場にはほとんど人がいない。


 少し経つと、転移門からネコネコさんとアガサが現れた。なんか二人ともやつれてるけど……


「はぁはぁはぁ、や、やあキントウ君。さっきぶり」

「き、キントウ、何か飲み物ちょーだい……」

「どうしたのそんな疲れて」


 アガサにポーションを渡しながら聞くと、思い出すだけでも嫌、みたいな顔をされた。本当に何してたんだよ。


「遅れて申し訳ありません」


 そう言いながら現れたのは我らがメイド、ユリアさんだ。何時間ぶりだろう。

 数時間前に会った時となんら変わらない姿のユリアさんは丁寧にお辞儀をしてから、では早速、と話を始めた。


「これからキュレの花を採取しに向かいます。時間があまりございませんのでお急ぎ下さい。では参ります」


 それだけ言って樹海へと続く門の方へスタスタと歩き始めてしまった。

 謎が解けていない俺たちはただユリアさんに従うだけだ。


「えーっと、ユリアさん? 謎の答えを教えてもらいたいんだけど?」

「それでは歩きながらご説明致します。すみませんが白様を呼び出していただけますか? 話しながらの戦闘は面倒ですので」


 ユリアさんの言葉通り白を呼び出して、モンスターの相手をしてもらう。これで樹海の中でもゆっくり話が聞ける。


「それではご説明致します。最初にキントウ様方はどこまで解けたでしょうか?」

「前半が重要で、後半が場所を表していること、ヒントはグリスの武器屋にあるってことかな」

「そうですか、それではまず後半からご説明致します。後半の文ですが、問題は最後、闇の向こう、という部分で御座います。ご覧の通りグリス樹海は夜でも月明かりが差し込むためある程度視界は確保されております。これでは闇では御座いません」


 そこで一回切って俺たちが理解できているか確認する。俺も闇ってところが気になったんだよな。

 ……ネコネコさんの頭からショートしたように煙が出ているけど気にしない。


「続けます。そこで闇というのは光が届かない場所ではないか? と考え、樹海北部に限定して光が届かない場所を探しました。結果、樹海の北部に一つだけ洞窟があることが分りました。北部のかなり奥の方です。つまり、キュレの花は樹海北部の洞窟の奥に何者かによって守られているということになります」


 なるほど、闇っていうのは洞窟のことだったのか。たしかに洞窟の中なら月明かりは届かないよな。これで後半は解読できたな。

 じゃあ、前半は何を示しているんだ? 場所さえ分かれば十分じゃないのか、続きを聞いてみよう。


「それでは次に前半部分について説明致します。まず始め【乙女が天に昇るとき】という文ですが、『乙女』というのは『月』を表す言葉です。昔より、太陽は男性、月は女性の象徴とされてきました。つまり、月が昇る時、夜ということです」


 最初は夜を表す──つまり前半の文は時間を表している? キュレの花を手に入れられるのには時間制限があるのか。だからヘムジンさんは重要って言ってたのか。


「次の文、【小人は力を手に入れて、巨人は恋人たちに誘われる】です。時間を表すので、小人と巨人は時計の短針と長針を表す言葉ということになります」


 小人は力を手に入れて、が短針の時間を。巨人は恋人たちに誘われる、は長針の時間を示しているのか。全く気が付かなかった。


「ここで、ヘムジン様のヒントが出てきます。キントウ様、武器屋にはどのような武器がありましたか?」

「確か、弓とか槍とか、あと紙と……タロットカードも──」

「あぁっ!」


 俺が武器の種類をあげていった途端、アガサがいきなり叫んだ。どうしたんだよ。


「アガサ、いきなり何だよ、ビックリするじゃん」

「キントウ! タロットカードだよ! ヒントって」

「はぁ? タロットカード?」


 タロットカードってあれだろ? 世界(ザ・ワールド)とかそういうやつ。あまり詳しくないからよく分らないけど、そこにヒントがあるのか?


「タロットカードってね、大アルカナっていうカードがあるんだけど、そこにあるんだよ」

「あるって何が?」

「力と恋人」


 それだけ聞いてもよく分らん。助けてユリアさん!


「アガサ様の言うとおり、大アルカナには(ザ・ストレングス)恋人(ザ・ラバーズ)というカードがあります。そしてこの大アルカナというカードですが、それぞれ番号が振ってあるのです」

「確か、力が11で恋人が6だよね?」

「そのとおりです。つまり、小人──短針が11の時で、巨人──長針が」

「6、ってことは11時30分に樹海北部の洞窟の奥にキュレの花が咲くってことか!?」

「いえ、まだ解き終わってないところがあります」


 自信満々に答えたアガサの答えを打ち砕いて首を横に振るユリアさん。

 もう解き終わってるでしょ、どこか見落としてるの?


「巨人の文を思い出して下さい」

「巨人は恋人たちに誘われる、でしょ……って、もしかして」


 アガサが何かに気付いたのか、メモを読み返してから顔を上げる。


「恋人たちに誘われるって、つまり6に誘われるってことだから、キュレの花が咲くのは午後11時から11時30分の間ってこと?」

「おそらくそうかと思われます」


 とうとう答えが出た。


 【午後11時から11時30分の間、グリス樹海北部の洞窟の奥に何者かに守られてキュレの花は咲く】


 ということが謎かけに書かれているそうだ。

 本当に全く分らなかった。なんでユリアさんはすぐに答えがわかったんだろう。


「私は武器屋にタロットカードが売っていたのを覚えていたので、最初にこの謎かけを読んだ時に気になっていたのです。それでキントウ様と別れた後にタロットカードについて調べ、洞窟についても掲示板で情報を集めました」

「あなた、名探偵ですか……」

「いえ、メイドです」


 知ってますよ、本当にユリアさんって何でも出来るな。逆に何が出来ないのか知りたいよ。


「到着したようですね。こちらです」


 説明を聞くのに夢中になっていた所為か、いつの間に奥の方まで来ていたようだ。


 俺たちの正面にはぽっかりと開いた真っ暗な洞窟があった。

 

 時間は11時を少し過ぎたくらい。30分までにキュレの花を採らないといけないんだから何かが守っていたとしてもさっさと倒さねば!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。