77話
いつもは13時に投稿しているのですが、朝か夜かに時間を変えるか悩んでいます。
よろしければご意見をお願いします。
「お前さん達、もう見つけたのかい? なかなかやるじゃないか」
「爺さんがあんな物見つけられなくて逆に良かったよ」
特にスルストとエスカペ草はな、と付け加えるのも忘れない。あれは植物というより、植物型のモンスターだろ。
エスカペ草を無事に撃破し、グリスで待っている婆さんの元へ完成した図鑑を届けに行った。
中に入ると、ユリアさんが情報を集める為にキッチリ片付けた部屋は初めて訪れた時に時間が巻き戻されたようにゴチャゴチャになっていて、ユリアさんの顔が若干、引き攣っていたようにも見えなくも無い。
再び荒れた部屋の奥にはこれまた変わらず安楽椅子に背中を預けて眠りこけている婆さんの姿があった。
婆さんを起こして出来上がった図鑑を渡すと、思い出深そうに一ページづつ捲っていき、最後の五種類のページでは涙ぐんでいるようにも見えた。
爺さんが生涯かけて完成しなかった物が今になってようやく形になったのだ、感動の一つもするだろう。
図鑑を読み終え、大事そうに棚に仕舞うと、再び椅子に座り俺たちの方を向く。その目には老婆とは思えないほどの輝きがあった。
「お前さん達のおかげで爺さんの遺した物が完成できたよ。半ば諦めていただけに感謝してもし尽くせない。でだ、この恩に報いるってわけじゃないが、ここでまた店を開くことにしたよ。図鑑を読んでたら昔の情熱がまた湧き出してきてねぇ」
「店って、何の?」
「決まってるじゃないか薬草屋だよ、これから準備するから今日はもう出て行きな」
【クエスト:老婆の願い をクリアしました。明日より、【グリス薬草屋】が利用可能になります】
婆さんがシッシッと追い払う仕草をするのと同時に、そんなシステムメッセージが届いた。
薬草屋って本当に店が開店するのか、なんてことを考えながら小屋を出ようとすると、
「そういや、お前さん達キュレの花を探してたんだっけ」
「そ、そうそう、探してた探してた!」
べ、別に五種類見つけた達成感で忘れてたわけじゃないからねっ。ちゃんとビビちゃんのお母さんも助けるつもりだよ。キュレの花があんなのじゃないといいけど……
「図鑑以外にも探してみたらあったから持って行きな」
そういって俺に放ってきたメモ用紙サイズの紙にはキュレの花の情報らしきものが書き込まれている。婆さん、もしかして俺たちがいない間に探してくれていたんじゃ……
お礼を言う前に追い出されてしまい、小屋の前に放り出される俺たち。
「遠回りでしたけど、結果的に良かったですね」
「また新しい施設を開放しましたね」
「またって、キントウ君他にも開放してたの!?」
「まぁ成り行きでいくつか……」
あまりにもネコネコさんが聞きたがっている様子だったからセイレス魚市場を開放したときの事をざっくり説明した。簡単に言えば、「クエストをやっていた」だけなんだけどな。
「ふーん、やっぱりストーリー関係のクエストだけじゃ駄目なんだね」
「うちのギルドは活動方針が他とは違いますからね」
カジノを荒らせ、とかクエストであったら得意分野なんだけどな。確実にその後には戦闘があるよな。
と、ここで辺りが真っ暗なのに気付いた。どうやらもう遅い時間のようだ。
まだレベル上げしていくネコネコさんと爆弾の作製にギルドに帰るサツキさん、クランキーズの助っ人に行くと言うユリアさん達と別れ、俺は一足先にログアウトすることにした。ネコネコさんは明日も一緒に来てくれるそうだ。ギルドの方は放っておいていいのか?
△ ▲ △ ▲
「グリスで薬草屋ぁ!?」
「そんな驚くことか? あと声デカイ」
翌日、学校でマリオに薬草屋が開店することを教えたらこの反応だ。【薬学】のジョブを持つマリオにとってはかなり良い情報だと思って教えてあげたのだけど、予想以上に驚いてるな。
「あたりまえでしょ、グリスって樹海に囲まれた街なのに薬草専門の店が一つも無いっておかしいと思ってたのよね。まさかクエストの報酬だとは……」
「俺もあんなクエストは二度と受けたくないな」
何が面白くてカリフラワーに何回も吹っ飛ばされなきゃいけないんだ。
「今日から開店だから、早めに行っとけよ」
「分かってる。最初に行って買い占めとくわ」
「それは止めとけよ」
やってる事初期のヘムジンさんと同じだから。しかもポーションの独占でかなり金持ってるし、冗談に聞こえねぇ。
目の前に【俺勇者】のHPの生命線を握っているプレイヤーがいると考えると、マリオって凄いんだなと思ってしまう。
「マリオってやっぱ有名なの?」
「まあ、掲示板に名前が出るくらいは。ついたあだ名が【ドクター】だって」
「【薬学】だし白衣着てるしな」
学校から帰り、ログインして集合場所の転移門広場に向かうと、ユリアさんとアガサの姿があった。今日はサツキさんが店番の日みたいだ。
俺の姿を見つけるなりアガサがこちらに向かって走ってきた。何故か怒り顔だ。
「なんでボクがいない時にクエスト進めちゃったのさ!」
「え、どゆこと?」
「だから昨日のクエストだよ! 昨日クランキーズに帰ってきたユリアとサツキに全部聞いたんだからね!」
つまり、何で自分がいない間にクエストをやってしまったのかと? 仲間外れにされて怒ってるのかこいつは。
「仕方ないだろ、アガサが昨日は店番だったんだし。それにサツキさんが居なかったらクエストクリアできなかったしな」
「むぅ〜、それは否定できないけど……」
「だろ? 逆に今日はサツキさんが経験できないことをアガサは出来るんだからさ」
まだ不満気だったが、無理矢理話を終わらせる。言ってることは間違ってないよね。
アガサの怒りが鎮まったところでネコネコさんも合流し、いざキュレの花の捜索に向かうことになった。
△ ▲ △ ▲
「それでは先日受け取ったメモを確認致しましょう」
ユリアさんの言うとおり、昨日婆さんから貰ったメモ用紙をイベントリから取り出す。
【乙女が天に昇るとき、小人は力を手に入れて、巨人は恋人たちに誘われる。癒しの花は守られて、闇の向こうで花開く】
と手書きで書かれていて、その下にはもう一つのメモ書きがあった。
【キュレの花は大変希少だ。むやみに取ってはいけない】
こちらも手書きで書かれていて両方とも爺さんが書いたメモのようだ。
この上の文章はいったい何だ? 謎かけっぽい文だけど……
他の人にも見せるが、反応は同じでみんな首を傾げている。
「この癒しの花っていうのが探しているやつだよね?」
「しかも守られてって書いてあるし、こりゃ最後はバトルだね」
アガサとネコネコさんが言っている部分は俺でも分かった。でも前半の文が全く検討がつかない。
ユリアさんの意見を聞こうと振り向けば、何やら掲示板か何かで調べ物をしている様子。
もしかして、わかったの?
数分後──
「キントウ様」
「まさか、この謎かけ解けたの!?」
「おそらくは」
「で、どこ? すぐに行く?」
「いえ、そうですね……準備にあと七時間ほどかかるでしょうか」
そう言われユリアさんは準備とやらで一人別行動となり、暇になった俺たちは一時クランキーズに戻ることにした。流れでネコネコさんもついてきてウェイトレスやりたいとか言ってるし、どうやって時間つぶそうか?




