↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/131

47話

誤字脱字等ありましたら、よろしくお願いします。

 軽めの休憩をはさんでから半島の先を目指すことにする。

 時刻はまだお昼を過ぎた頃、頭上でギラギラと輝く太陽が眩しい。ゲームなので汗はかかないが、肌がジメッとしているような感じがする。

 休んでいる最中に何人かのプレイヤーを見かけたけど、みんな真夏の海を楽しんでいるように見えた。実際に海に行かなくてもゲーム内で遊べるし、いろいろと面倒な準備もいらないし、本当にゲームって便利だよな。


 休憩も終わり、アイテムの確認もしたのでさっそく半島の奥を目指して林の中に入っていく。地図で見た感じそこまで大きくなかったし午後一杯使えば最奥にある建物みたいなものの場所まで辿り着けるだろう。


「思ってたより静かだねぇ、孤島の林ってもっとジメジメしてて、気色悪いイメージだったけど」

「そこまで広くないし、海に迫り出しているしな」

「もっとも、島の中心はそうなっているかもしれませんが」


 アガサの言うイメージとはアマゾンとかそんな感じのデカい虫とかアナコンダとか出そうな森のことだろう。それに比べ今いる所はもっと清潔感があるというか、なんというか。林というより、木立といった方がしっくりくる場所だ。地面は雑草などが少なくて、周囲にはヤシの木みたいな頂点部分にしか葉の生えていない木が不規則に並んでいる。

 きっと頭上の葉っぱのせいで地面に近い植物は育たないんだろう。おかげで日光が遮られて涼しいし、歩きやすい。

 ただ一つ不安なのは……


「さっきから同じところをグルグル回っている気がするんだよな……」

「えー? そうかな、ちゃんと進んでいると思うけど?」


 同じような木ばかり生えているので、ちゃんと進めているのかが良く分からなくきた。なーんか見たことのあるような木の配置なんだよな……


 

 それから二時間ほど林の中を探索したがいっこうに林を抜けられそうな気配が無く、マップを確認してみても半島の中程にいることは分かっても詳しく何処にいるのかまでは分からなかった。まるで迷路みたいだな……

 モンスターも現れず、引き返そうにも道が分からなくなってしまい完全に迷ってしまったようだ。孤島というだけあって道らしい道もないし、どうしようか?


「もう今日は試験型転移門で帰らない? 掲示板に情報載せておけば誰かここを攻略してくれるでしょ?」

「お前が自分で誰も行ったことがない場所に行きたいって言ったんだろ……」

「それに転移門も使用不可のようですね」

「太陽が見えないから方角も確認出来ないしな」


 頭上を見上げてみるが、太陽を隠すように繁っている葉っぱの所為で太陽の位置を確認することが出来ない。マップはあるから方角さえ分かれば何とかなるとは思うんだけど……まるで自然の迷宮だな。


「ひとまず、ひたすら真っ直ぐ進めば二分の一の確率で海に出られるはずだから、木とか無視して進んでみる?」


 海に迫り出した半島という形の性質上、真っ直ぐ歩けば、半島の東西に広がる海か元いた半島の付け根か建物のあった半島の先にいつかは辿り着くはずだ。林さえ抜ければ転移門も使えるかもしれない。


 他に良い案もないので試しにやってみることにした。木の上に登ることが出来れば太陽も見えたと思うんだけど、案の定登ることが出来なかった。木登りスキルが必要なのかな?


△ ▲ △ ▲


「……これ絶対抜けられないよね?」

「おかしいな、とっくに林を抜けて海か何かが見えるはずなんだけどな」


 直進作戦を始めてから二時間、ひたすらまっすぐ進んでいたというのに海おろか木以外何も見えてこない。

 いつの間にか曲がっていたとか? いやいや、それはない。ちゃんと真っ直ぐ歩いていたはずだ。そもそもここはゲーム内だ。そんな現実的な方法じゃ抜けられないのかもしれない。こう、魔法の森的な? 正しい道順で進まないと抜けることが出来ないとかだったりして。


 時計を確認してみると、林の中に入ってから既に四時間が経とうとしていた。林の中は日光が届かないから時間の変化がよくわからない。このまま抜けられなかったら、林の中でログアウトしないといけなくなるかもしれない。それはできるだけ回避したい。ログアウトしている間に死に戻りとか、絶対ごめんだ。


 留まっていても問題は解決しない。足を動かして林内を歩き回ること三十分。ようやく変化が現れた。そこだけ木が生えておらず、地面が芝生みたいな下草が生えている。半径十メートルくらいの広さの円形の空き地だ。ちょうど、モンスターと戦闘するのにいい感じの広さだな……って、まさか! この散々歩き回って肉体的にも精神的にも疲れているタイミングで?


「!! 魔力探知に反応があります。敵の数三体です」

「マジで? なんで来るんだよぉ!」

「中に入った奴を迷わせて、疲れ切ったところを襲うってことなのか」


 広場に立ち入った瞬間、ユリアさんの魔力探知に反応が出た。やっぱりボスエリアみたいな場所だったか。これまで一度もモンスターに遭遇していなかったのは、このエリアにはモンスターが出ないと油断させる為なんだろう。


 それぞれ武器を構え、敵が出現するのを待つが、まだ出てこない。ユリアさんに教えてもらいなんとなく、いるのは分かるけど何をしているんだ?


「ユリアさん、敵は今何処にいるんですか?」

「それが……先ほどから三体ともこの広場の外周に沿ってグルグル動き回っておりまして、中に入ってきそうな気配がないのです」

「あー、もう焦れったいな! さっさと終わらせたいのに!」


 どうやら敵はここに来てもなお俺たちを消耗させる気らしい。さっきからいつ敵が現れるのかと神経を張り巡らせているおかげで疲れてきているんだよな。これを狙っているのか、性格の悪い敵だ。


「どうにかならないですかね?」

「敵の動きが早いので私の弓も当たりませんし……」

「誰か魔法とかでバーン! って出来ないの?」

「お前が唯一の魔法職だろ」

「ボク支援特化なんでムリかな」


 こういう時に広範囲に攻撃できる魔法職のプレイヤーがいると助かるんだけど。困ったな、どうやってこちら側に引きずり出せばいいのか見当もつかない。このまま待っているのも後手に回ってしまうだけだし、何か良い案は無いのか?

 とりあえず、両手の点棒を白に変更しておく。もしかしたら白なら引きずり出せるかもしれない。

 光と共に出てきた白はしきりに周囲を見回して、ここが何処なのか分からないようだった。


「なんなんですかここ。それに何かモンスターっぽいのがグルグルしているんですが?」

「あ、わかる? とりあえず広場に引きずり出したいんだけど、出来る?」

「はぁ、やってみます。あとで説明して下さいよ」


 ため息を一つ吐き、NPCとは思えない反応を見せる白。運営の力の入れどころがよく分からない。

 広場と林の境目まで向かい、ジッと林の中を見つめる。そしてあるタイミングで林の中に飛び込み、鈍い殴打音が三回聞こえたと思ったら、林の奥から三体の細長いものが飛び出てきた。

 広場の真ん中で三体がもがく様を見てアガサの顔がまた青く染まる。


「うへぇ、あれを倒すの? 気色悪い……」

「ムカデでしょうか?」

「それにしてもデカすぎだろ」


 俺たちのまわりをグルグルしていた敵ーー三体のデカいムカデが俺たちに眼を向ける。全長が五mもありそうなムカデが三体、俺たちを食べようと一斉に飛びかかってきた。三人バラバラに回避し、ようやくモンスターとの戦闘の火蓋が切って落とされた。


△ ▲ △ ▲


「キシャァァァァ!」

「きゃぁぁぁぁ! キモいキモいキモいキモいキモいキモい!」

「アガサうるさい!」

「早く何とかしてよぉっ!」


 相手が三体もいるのでどうしてもターゲットがアガサに向いてしまう時が出てくる。俺も白を戦わせながら、片手で点棒を投げているが、ダメージは期待できない。何回か投げてターゲットと取ることぐらいだ。

 ユリアさんもムカデの攻撃をギリギリのところでうまく回避し、なんとか立ち回っている。今は白とユリアさんが一体ずつ担当し、残り一体を俺が引きつける、という状況が続いている。

 なんとかこの状態を保ってはいるが、回避しか出来ない俺も段々HPが削れていって、残り五十%を切ろうとしている。ちょっとマズいかな……


 と、そこでムカデの鳴き声? を後ろに白が俺のところに戻ってくる。一体倒せたか、これで随分楽になるな。


「終わりました。こっちも殺っていいですか?」

「うん、お願い」

「仕方ないですね。死なないでくださいよ」


 俺が引きつけておいたムカデに向かって白が飛び出す。残り二体、油断しないでいけばきっと倒せるはずだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。