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21話

誤字脱字、感想等ありましたらよろしくお願いします。

 ヘムジンさんの案内で外通りを進む。

 昼過ぎの通りはプレイヤーやNPCでごった返している。

 向かっている方向からしてギルドがあるのは街の中心から西に行ったところだろうか。

 歩きながら俺が今向かっている場所に着いて聞いてみる。


「ギルドって、もう家を買ってあるんですか?」

「うん、奮発して買ったよ。地上三階、地下一階の四階建てだね」

「うわっ、四階って……高かったんじゃないですか?」

「まあね」


 やや引きつった顔のマリオに対し、事も無げに返すヘムジンさん。四階建てってそんなに高いものなのか? とマリオにこっそり聞いてみるとまた飽きれたような表情をされた。


「あのね、ホームセンターで買える建物っていうのはピンからキリまであるの。それこそアパートの一室からお城みたいな家までね。その中で四階っていったら相当の物よ?」

「ふーん、でもポーション買い占めでボロ儲けしてたんだし普通に買えそうだけどな」

「ま、先行投資ってやつかな。結構散財したけど、これからまたお金貯めるしね」

「ちなみにおいくらほど……?」


 マリオが遠慮がちに聞くとヘムジンさんは何も言わずに指を三本立てただけだった。それを見たマリオは絶句している。三って…三百万くらいっだったのか?

 そして連れて来られたのは先ほど言われた通りの地上三階建ての建物。街や建物の雰囲気からしてビルというよりもアパートのようなそれは既にいくつか改装を施したようで一階部分は店のような造りをしている。

 まだ開店していない様だがヘムジンさんは気にせず扉を開けて中へ入っていく。俺とマリオもそれに続いて中に入っていく。


△ ▲ △ ▲


 扉を開けるとカランカランと来客を知らせるベルが鳴った。外観通り一階は喫茶店として使うようだ。何個かのテーブルとカウンターがある。

 カウンターの奥にあるのは厨房かな。そしてカウンターには人が座っていた。座っていたんだけど……


「お帰りなさいませ、ヘムジン様。そしてお初目にかかります、わたくしユリアと申します。キントウ様、マリオ様よろしくお願い致します」

「ユリアさんただいまー」


 立ち上がり、そう挨拶してくれたのはメイドさんだった。黒のロングスカートに長袖。頭はホワイトプリムではなくリボンで結んでいる。

 無駄な装飾が無く、黒と白の二色で地味ながらも豪華な雰囲気を漂わせている。アキバとかで見るメイド服とは違い大英帝国時代のメイドさんみたいなメイド服だな。 実際に大英帝国時代のメイドさんを見たことは無いけど。

 ユリアと名乗ったメイドさんは深々と頭を下げ俺たちに挨拶してくれた。つられてこちらも頭を下げてしまう。三人でお辞儀し合っていると……


「へぇ~。君たちが最後のギルドメンバーなんだ?ボクはアガサだよっ! ヨロシクね!」

「おい、アガサ。そのテンション着いて行くのめんどいから止めてくれないか。女の子なんか若干引いてるだろ……悪いな、こんな奴で。俺はマスターだ、よろしくな」

「よろしくお願いします」


 奥にある階段から、やけにハイテンションでセーラー服の女の子とそれを見て疲れたような顔を浮かべた男性が降りてきた。アガサという子は女の子なのに一人称が『ボク』って……ボクっ娘てやつなのかな?

 今この場にいるのは俺、マリオ、ヘムジンさん、ユリアさん、アガサさん、マスターさんの六人。確かメンバーは八人って言ってたはずだけど、時間が無くて揃わなかったのか。

 そんな意味を込めてヘムジンさんの方を見るとヒラヒラと手を振りながら


「残りの二人は今忙しいみたいでさ、この建物の中にはいるんだけど……後で呼んでくるよ」


 と苦笑いしながら言った。何してるんだろう。

 それはさておき、今は目の前に並ぶギルドメンバー達である。マリオなんかメイドさん+ハイテンションボクっ娘のダブルパンチで頭の処理能力がついていけてないみたいだ。さっきからボケーっとしている。


「全員じゃないけどひとまず顔合わせも終わったし、これから第一回ギルド会議を始めまーす!」

「いえーい!」


 高らかに宣言するヘムジンさんとハイテンションなアガサさん。ユリアさん以外の俺たち三人は急展開についていけていない。ああ、マリオの頭から煙が……


「ちょ、ちょっと待て、会議って何だ?」

「それはこれから説明するから。じゃ、ユリアさん説明ヨロシク!」


 頭を抱えているマスターさんを他所に会議とやらは進んで行く。説明の為に前に出てきたユリアさんがお辞儀をしてから静かな声で話し始めた。


「僭越ながら説明させていただきます。ギルド会議とはギルド内で決めなければいけない事を決める為の場でございます。今回の議題は『一階の店の名前を決めよう!』でございます」

「はい、ユリアさんありがとう。ということで、何かある?」

「ということで、じゃねーよ! いきなり過ぎだろ!」

「はいはーい! ボクは『街中のSafety Area』がいいと思います! モンスターは入って来ない街中だけど、人という名の敵はそこら中にいる。その中で唯一休める場所、それがこの店、的な?」

「いや、ぜんぜん上手くないからな? ドヤ顔決めるなよ!?」


 ヘムジンさんとアガサさんにツッコむマスターさん。ユリアさんなんかニコニコ顔で傍観してるし、まだ会ってからそんなに時間が経ってないけど、この人たちのギルド内の役回りが分かった気がする……


「メイドさんにボクっ娘……はっ…今のは夢?」

「やっと正気に戻ったか、残念ながら現実だ」

「あ、マリオちゃんも何か意見ある?」


 今までの経緯をユリアさんに説明してもらい、考え込むマリオ。今度は処理落ちしないで済みそうだ。

 説明によると、一階は喫茶店でマスターさんとあと一人ここにいない人が担当し、ウェイトレスはアガサさんとユリアさんが担当する。出すのはケーキなどのスイーツとコーヒー系だそうだ。俺も何か良い案を出さないとな……

 無言のまま時間が過ぎるていく。このままだとアガサさんの案が採用されてしまう。流石にあれは回避したい。何か無いものか……


 さらに時間が過ぎて、まわりは『もうこれでいいんじゃね?』みたいな空気が漂い始めている。最初は必死に考えていたマスターさんも今では諦めたようにカウンターに突っ伏している。おい、あんたの店なんだからもっと考えろよ……


「他に意見も無い様なので一階の店の名前は『街中の……」

「ちょっと待ったぁー!」


 仕方なしに会議を終わらせようとしていたヘムジンさんを遮ってマリオが飛び出す。まさか、何か良い案が出たのか?


「私は『クランキーズ』がいいと思います。crankyっていうのが英語で変わったとか風変わりのっていう意味なんで、このゲームの中では変わった目的のギルドにはピッタリだと思うんですけども……」

「うん、いいんじゃないかな。アガサもそれでいいよね?」

「うーん、まぁいいかな。ボクは楽しければいいしねっ!」

「では店の名前は『クランキーズ』に決定しました!」


 アガサさんも含め満場一致で店の名前が決まった。そういえば、店の名前は決まったけど、ギルドの名前を聞いてなかったな。店と同じにするのだろうか。


「あ、そういえばキントウ君とマリオちゃんにはギルド加入のリクエスト送信していなかったね」


 ヘムジンさんが思い出したように虚空を操作すると俺宛てにメールが届いた。内容はもちろんギルド加入の申請メールだ。


△ ▲ △ ▲


From:ヘムジン

件名:ギルド加入申請


ギルド【ヘムジン商会】に加入しますか?


YES/NO


△ ▲ △ ▲


 迷わずにYESを選択。【ギルドに加入しました】の文字を確認して一息つく。マリオも無事加入できたみたいだ。これで正式にギルドの一員になったわけだ。


「再びだが、これからよろしくな」

「ヨロシク!」

「よろしくお願い致します」

「「よろしくお願いします」」

「キントウ君、マリオちゃん。ヘムジン商会にようこそ!」


四人に暖かく迎えられ、やっとギルドに入ったんだなという気持ちになる。まだ残りの二人には会ってないけど、きっと面白い人たちなんだろう。


「あの……水を差すようで悪いんですけど、一つ言っていいですか?」


マリオがおずおずといった様子で切り出す。


「ん、どうしたの」

「ヘムジン商会ってやっぱり、変人商会に聞こえますよね……」

『…あー…それは言わない方向で……』

「変人っていうなぁー!」


ヘムジンさん以外全員ハモった台詞にヘムジンさんの叫びが店内に響いた。

改稿しました

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