学園編10
これで一段落な話です。
ヴァリエール王国王立学園に、新学期の爽やかな風が吹き抜けていた。
世界崩壊の危機や、隣国のスパイによる国家転覆の陰謀を、美味しいご飯と物理(魔法)で薙ぎ払ってきた私たち『最強の6人組(自称ではないが、もはや誰も否定しない)』も、無事に三年生へと進級を果たした。
悪魔の気配も今のところなく、ようやく平穏な学園生活のスタートを切れる……はずだった。
「アイラ様、聞いてください! 遂に、遂に完成しましたよ!」
新学期早々の放課後。学園の空き教室を改造した私たちの即席工房に、薄紅色の髪を揺らして一人の少女が駆け込んできた。
私の専属魔導具技師として契約を結んだ、クラエス王国からの平民特待生・ミーアだ。彼女は目を輝かせながら、両手で抱えた巨大な箱型の魔導具を机の上にドンッと置いた。
その目の下にはうっすらとクマができているが、達成感に満ちた笑顔がそれを補って余りある。
「これは……まさか!」
「はい! エレノワール様から授かった異次元の知識を基に開発した『超高火力・IH式魔導炊飯器(試作参号機)』です! 炎魔法の熱を直接伝えるのではなく、底面に仕込んだ魔石回路から発生する磁力線で内釜そのものを発熱させる仕組みを構築しました。これで、エルフィア王国から届く『新米』を、一粒のムラもなく最高に美味しく炊き上げることができます!」
「素晴らしいわ、ミーア! これで私の学園生活は勝利を約束されたも同然よ!」
私は歓喜のあまり、まだほんのりと魔力の温かさが残る魔導炊飯器を撫で回した。
エルフィア王国との交渉の末、ついに開拓された「お米」の輸入ルート。ミーアがこれまで開発した魔導冷蔵コンテナを利用した物流インフラのおかげで、新鮮な新米が間もなくこの学園に届く手はずになっていた。
ふっくらツヤツヤ、白く輝く銀シャリ。それに合うのは限界まで煮込んだ豚の角煮か、それとも外はカリッと中はジューシーな唐揚げか……。想像するだけで口内が潤ってくる。
しかし、私の至福の計画に、早々に暗雲が立ち込めた。
翌日の朝。教室の自分の席に着いた私は、ふと首を傾げた。
「……ねえ、ミアはどうしたの?」
教室を見渡しても、いつもなら私の近くでオドオドしながらも可愛らしく微笑んでいるはずの親友、水魔法使いのミア・フローレスの姿がなかった。
新学期が始まって3日。彼女は一度も登校していない。
「おかしいわね。あの子が理由もなく休むなんて考えられないわ」
「お姉様、私も嫌な予感がいたしますわ……」
妹のリリアが不安げに私の袖を引く。
ただの風邪ならいい。だが、この世界(元乙女ゲームの世界)において、これだけフラグが立っているキャラクターの不在は大抵ロクな理由ではない。
「ノア、頼める?」
「……すでに情報は収集済みです」
窓際の席で、分厚い眼鏡を中指で押し上げながら近づいてきたのはノア・ウィンザーだ。
つい先ほどまで、ノアは中庭のガゼボで多数の令嬢たちに囲まれていた。トップテン入りを果たしたエリート魔法使いであり、その知的な美貌から令嬢たちの猛烈なアタックを受け続けている彼だが、そこから情報を引き出す手腕は天才的だった。
「今朝のお茶会で、数人の令嬢から話を聞き出しました。彼女たちの父親は財務省や法務省の要職に就いていますからね」
ノアは涼しい顔で言うが、その裏では令嬢たちからの『ノア様、今度の週末は観劇に……』『ノア様、私の手作りクッキーを……』という怒涛の好意の波を、固有スキル【例外処理(計算除外)】で完全にスルーしながら、会話の核心だけを抽出していたのだ。
「結論から言うと、フローレス子爵家は現在、領地で軟禁状態にあるようです。表向きは『領内の不正会計の調査』ということになっていますが、実態は上位貴族であるガルドス侯爵による不当な圧力です。どうやら、ミア嬢には強引な政略結婚の話まで持ち上がっているようで」
「……は? 軟禁? 政略結婚?」
私の声が、スッと数度下がった。
確証を得るため、私は春休みの間に魔女エレノワールとの過酷な修行で習得した新しい魔法、【遠視の鏡】を静かに展開する。空中に浮かび上がった魔力の鏡面が、遠く離れたフローレス領の景色を映し出した。……間違いない。ミアは薄暗い部屋に閉じ込められ、怯え、泣いている。
「理由は何よ。あの温厚なフローレス家が、ガルドス侯爵なんかに目をつけられる理由なんてないはずでしょ」
「そこが問題なんだ、アイラ嬢」
ノアが重々しい口調で告げた。
「ガルドス侯爵の真の狙いは、君が進めている『エルフィア王国からのお米輸入ルート』の独占です。フローレス領は、魔導冷蔵コンテナの中継地点として地理的に最適だった。奴らはフローレス家を取り潰し、物流インフラごと利権を奪い取る気ですよ」
その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中で何かが「プツン」と切れる音がした。
「……ということは、私が心待ちにしている『第一陣の新米』は?」
「ガルドス侯爵の私兵によって、街道で足止めを食らっています。このままでは鮮度が落ちる一方でしょうね」
静寂。
教室の温度が急激に下がったように感じたのか、クラスメイトたちが震え上がり、クロードやセリアでさえ一歩後ずさった。
「大切な親友を泣かせて、実家を取り潰し、無理やり政略結婚させる……それだけでも万死に値するわ」
私はギリッと奥歯を噛み締め、両手から黒いオーラ(カロリーを燃焼させた純粋な魔力)を立ち昇らせた。
「でもね……私の、私のふっくらツヤツヤの『銀シャリ』を足止めするなんて……絶対に許さないッ!! 食べ物の恨みは海より深いのよ!!」
私の怒りと食欲が完全にシンクロした瞬間、学園最強のメンバーによる『探偵チーム』が即座に結成された。
目的は一つ。新米の流通を妨害したガルドス侯爵を、社会的に徹底的に抹殺することだ。
*
「目的は、悪徳貴族の不正の証拠を完璧に集め、言い逃れ不可能な状況を作ることよ。物理で屋敷ごと吹き飛ばすのは簡単だけど、それだと物流ルートに傷がつくし、お米がダメになっちゃうからね。今回はスマートな『探偵』として動くわよ」
私の号令により、規格外のメンバーたちが各自の神話級能力を明後日の方向へとフル稼働させ始めた。
まずは、敵の懐への潜入と「視覚的証拠」の確保だ。
「リリア、ミーア。お願いね」
「はい、お姉様! 任せてくださいませ!」
「お任せください、アイラ様! 徹夜で仕上げました!」
ミーアは充血した目を擦りながら、手のひらに乗るほど小さなブローチを差し出した。
かつて特待生として不当な扱いを受けていた彼女だが、今ではアイラの専属技師として、その才能を遺憾なく発揮している。
「これは『超小型・録画盗聴魔導具』です。音声だけでなく、周囲の光を微弱な魔力波に変換し、遠隔地の水晶にリアルタイムで映像を送信できます。アイラ様の魔力供給ルートを応用したので、途中で途切れることもありません!」
「さすがミーア、完璧な仕事ね」
ミーアの執念の結晶とも言えるブローチを胸につけ、リリアはガルドス侯爵の屋敷へと向かった。
以前であれば私のサポートが必要だった潜入任務だが、今の彼女は一人で完遂できる。春休みの間、魔女エレノワールのもとで「魔法使いといえど接近戦もこなせなければ生き残れない」と徹底的に体術を叩き込まれたのだ。
自らの魔力で『隠密』と『認識阻害』の二重結界を完璧に展開したリリアは、流れるように滑らかな身のこなしで警備の兵たちの間を駆け抜け、誰にも気づかれることなく侯爵の執務室へと音もなく忍び込んだ。
通信用の魔導具越しに、リリアの弾むような声が届いた。
『執務室に到着しましたわ。……【真実の眼】、発動』
リリアの瞳が黄金色に輝く。通常なら絶対に見えないはずの高位の隠蔽結界が、彼女の目には薄皮のように透けて見えていた。
『見えましたわ! 本棚の裏に強力な隠蔽結界が張られた金庫があります!』
『よし、リリア。金庫のダイヤルに触れてみて。パスワードを探るのよ』
指示通り、リリアは金庫のダイヤルにそっと触れ、白魔法【物体の記憶】を発動させた。触れた物体から過去の映像を読み取る神話級の力だ。
しかし、リリアの声が少し曇った。
『……過去の映像は見えますが、侯爵ったら用心深いんですの。ダイヤルを回す時、自分の大きな体で完全に手元を隠していますわ。これでは番号が分かりません』
『なるほど、一筋縄ではいかないわね……』
『ふふっ、でもお任せください。部屋中には「記憶」がたくさんありますから』
リリアは金庫から手を離すと、執務室の中を歩き回り始めた。
『まずは……デスクの上の、磨き上げられた銀の燭台の記憶。……見えました、侯爵の背中越しに、左手側のダイヤルの動きが反射しています。左に5、ですね』
リリアは次に、窓ガラスに触れた。
『窓ガラスの記憶。……夜の暗闇に反射した侯爵の姿。右に3ですわ』
さらに壁掛けの姿見、飾られていたクリスタルグラス。リリアはまるで複数の防犯カメラの映像を切り替えるかのように、部屋中の物体が「見て」いた記憶を繋ぎ合わせていく。
『……完璧ですわ。右に3、左に5、右に7、左に2……開きました! 中に裏帳簿がどっさりあります!』
わずか10分。鉄壁のセキュリティを誇る隠し金庫は、探偵令嬢の機転とチート能力の前にあっさりと陥落したのだった。
「次は内部情報のリークと、証拠の組み立てね」
私は、侯爵家の裏事情を知る下働きのメイドや、侯爵から賄賂を受け取っている役人たちを、秘密裏に私の邸宅の別室へ呼び出した。
拷問? いやいや、そんな野蛮なことはしない。
「さあ、遠慮せずに食べてちょうだい。私の特製『超絶とろとろ豚の角煮』と『黄金のガーリック炒飯』よ」
テーブルに並べられたのは、私の前世の知識と料理チート能力を全開にして作られた「暴力的なまでに美味い飯」……だけではない。
実は、春休みの魔女エレノワールとの修行で私が習得したのは【遠視の鏡】だけではなかった。私の最大の武器である「食」に魔力を乗せる技術――つまり、食べた者の気分を極限まで開放的にし、一切の嘘がつけなくなる(真実しか喋れなくなる)『自白の魔法料理』を作る術を身につけていたのだ。いかにも私らしい魔法の応用である。
「こ、こんなものに釣られると……うおおおおッ!?」
一口食べた瞬間、役人たちの理性が完全に消し飛んだ。箸で切れるほど柔らかい角煮の脂の甘みと、ガツンとくるガーリック炒飯の香りが、彼らの罪悪感のタガを強引に外していく。さらに魔法料理の恐るべき効果が、彼らの口を滑らかにした。
「ううっ、美味すぎる……! もう嘘を吐くのが馬鹿らしくなってきました! 申し訳ありません、実はガルドス侯爵から毎月金貨100枚を受け取って、不正の揉み消しをしていましたぁ!」
彼らは感動の涙を流しながら「ガルドス侯爵の不正のすべて」を洗いざらい自白し始めた。念のため【深淵の記憶】で精神にダイブし、裏付けも取ったので証言の信憑性は完璧だ。
「……集まった証拠の裏付けと法的な組み立ては、僕がやっておきます」
隣の部屋では、ノアが猛烈なスピードで調書と起訴状を作成していた。五千年前の古代魔法の術式を現代に最適化するほどの天才的な頭脳が、貴族法の抜け穴を完全に塞ぎ、ガルドス侯爵が絶対に言い逃れできない論理の檻を組み上げていく。
そして最後は、決定的な「現場の証拠」だ。
「ミア、聞こえる? 私よ」
『ア、アイラちゃん……!』
軟禁中のミアと、通信魔導具でどうにか連絡をつけることに成功した。
「ミア、水鏡を出せる? 侯爵が今、フローレス家の応接室であなたのお父様を脅しているはずよ」
『は、はい。でも、応接室に水差しがあるか分からなくて……』
ミアの声には焦りが滲んでいた。
「大丈夫よ。あなたなら絶対にできる。周りに水がないなら、作り出せばいいの」
『作り出す……あ、そっか!』
極度のあがり症を克服し、絶世の美少女として覚醒したミアは、強力な水魔法使いとしての本領を発揮した。
彼女は応接室の窓に目を向け、空気中のわずかな水分を操作し始めたのだ。室内の温度を部分的に下げることで、窓ガラスの表面に薄っすらと結露を発生させる。さらにその結露をコントロールし、窓ガラス全体を覆う一枚の薄い「水鏡」を作り上げた。
『できました! 窓ガラスの水滴を使って、【聖なる水底】、展開します!』
水を通じて遠隔地の映像と音声をリアルタイムで映し出す能力。
学園にいる私たちの目の前に、大きな水鏡が浮かび上がり、侯爵のゲスな高笑いが響き渡った。
『ガッハッハ! フローレス子爵よ、大人しく領地の権利と娘を差し出せば、命だけは助けてやろう。あの小娘が進めているエルフィア王国の米の利権……我がガルドス家が独占すれば、莫大な富を生むからな!』
……よし、言質は取った。
お米の利権を奪うというその言葉、絶対にお前の命取りにしてやる。
「録画完了。さあ、役者は揃ったわ。反撃の狼煙を上げましょうか」
*
翌日。王都にあるガルドス侯爵邸の大広間にて、ガルドス侯爵は勝ち誇った顔でふんぞり返っていた。
王太子のジュリアン殿下を立会人として招き、自らの正当性をアピールするこの場で、フローレス家の取り潰しと、自分が物流の新たな管理者となることを大々的に宣言する腹積もりなのだ。
「――というわけで、不正を働いたフローレス家は取り潰し、物流の要所は我がガルドス家が引き継ぐことと相成りました。殿下におかれましても、このガルドスが国益のために尽力いたしますゆえ、ご安心を」
侯爵がドヤ顔で言い放った、その瞬間。
「メギャンッ!!」
大広間の重厚なオーク材の扉が、蝶番ごと弾け飛び、凄まじい音を立てて蹴り開けられた。
(※当然だが、蹴り開けたのは教国の聖女であり、純粋な筋肉を信奉するセリア・ローランである)
「ちょっと待ったぁ! そのお米の利権、私たちが絶対に渡さないわよ!」
土煙が舞う中、私を先頭に『最強の6人組(ミアはノアが持っている水鏡の通信越しに参戦)』が大広間に乗り込んだ。
私の隣では、婚約者であるジュリアン殿下が、いかにも腹黒そうな、しかし極上の笑顔を浮かべて立っている。
「ア、アイラ・アルジェント!? 貴様、公爵令嬢とはいえ、王太子殿下の御前で扉を蹴破るとは何という無作法な……!」
「無作法なのはあなたの方よ、ガルドス侯爵。人の楽しみにしている新米を街道で足止めするなんて、万死に値するわ」
「し、新米だと? 何を言っている。私は正当な調査を……」
「ノア、やっておしまい」
「了解しました」
ノアが、ドンッと分厚い書類の束をテーブルに叩きつけた。
「ガルドス侯爵。フローレス領での不正は、すべてあなたが仕組んだものですね。ここに裏帳簿の完全なコピー、賄賂を受け取った役人たち15名の供述調書、そして資金洗浄のルートを記した証拠が揃っています」
「な、なんだと……!? ば、馬鹿な! 金庫の隠蔽結界は我が家の最高位魔術師が張った完璧なものだったはずだ! パスワードだって誰にも……」
「隠蔽結界なんて【真実の眼】の前では紙くずと同義ですし、パスワードも【物体の記憶】で、お部屋の窓ガラスや銀の燭台から丸見えでしたわよ?」
リリアが天使のような可憐な微笑みで、侯爵を絶望の淵に突き落とすえげつないことを言う。
「さらに、決定的な証拠がこちらです」
私が魔力を流すと、大広間の空中に【聖なる水底】の録画映像が大写しになった。
『あの小娘が進めているエルフィア王国の米の利権……我がガルドス家が独占すれば、莫大な富を生むからな!』
侯爵の醜悪な顔とゲスな発言が、その場にいる者たちの耳にハッキリと響き渡る。
「あ……あぁ……」
侯爵の顔面から血の気が引いていく。
「さて、ガルドス侯爵」
ジュリアン殿下が、冷ややかな、絶対零度の声で告げた。
「王家の推進する重要事業を私欲で妨害し、不当な圧力で無実の他家を陥れた罪。そして何より、私の愛する婚約者の『食の楽しみ』を奪おうとした大罪。言い逃れはできませんね。王都の近衛騎士団には、既にこの屋敷の包囲を命じています。退路はありませんよ」
「お、己ぇええええ! 許さん! 許さんぞ小娘ども! 貴様ら、やってしまえ!!」
窮地に陥り完全に逆上した侯爵は、護衛として控えさせていた屈強な私兵たちに襲撃を命じた。
ジャキッ、と一斉に剣が抜かれる音が響く。
しかし――彼らがその切っ先を向けたのは、私たちではなく、雇い主であるガルドス侯爵自身の首筋だった。
「なっ……貴様ら、何を血迷っている!? 殺す相手が違うだろうが!」
「黙れ、この逆賊め!」
私兵の隊長らしき男が侯爵を怒鳴りつけると、そのままジュリアン殿下に向かって恭しく跪いた。
「殿下! 我々は初めから、この愚かな逆賊を捕縛する機会を窺っておりました! 侯爵の身柄は、我々がしかと押さえましたぞ!」
「ど、どうか我々の忠義とお力添えに免じて、寛大なご処置を……!」
私兵たちが次々と土下座を始める。
(……見事なまでの手のひら返し。保身に走るスピードが尋常じゃないわね)
時代劇ならここで私兵が襲いかかってきて大乱闘になるのがお約束だが、相手が王太子や規格外の化け物(私たち)とあっては、彼らも命が惜しかったのだろう。
「き、貴様らぁぁ! 金で雇われた分際で私を裏切る気か! ええい、役立たずどもめ! ならば私自身の手で!!」
完全に孤立し、怒りで真っ赤になった侯爵が、懐から短剣を引き抜いて一直線にジュリアン殿下へと襲い掛かってきた。
しかし、私たち『最強の6人組』の前で、それはあまりにも愚かな行為だった。
「俺たちの前で師匠や殿下を狙うとは、いい度胸だ。……ふんっ!」
クロードが天界の魔剣を顕現させる……までもなく、一瞬で侯爵の懐に潜り込み、その強靭な拳を侯爵の腹に深々と叩き込んだ。
「ぐはぁッ!?」
「主の裁きを受けなさい! はぁぁぁッ!」
さらに、教国の聖女であるセリアが、神聖魔法で極限まで強化した純粋な「筋肉の暴力」で、追撃の張り手を侯爵の顔面にクリーンヒットさせる。
ドゴォォォンッ!!
悲鳴を上げる間もなく、侯爵の巨体はボールのように弾け飛び、大広間の壁に激突してめり込んだ。
「あ、あぶば……」
規格外の二人の素手による物理制裁をモロに食らった侯爵は、ついに白目を剥いて泡を吹き、完全に沈黙した。
「勝負あり、ね。私の銀シャリの恨み、骨の髄まで思い知ったかしら?」
こうして、ガルドス侯爵の野望は、神話級の能力を惜しげもなく無駄遣いした探偵チームによって、物理的かつ社会的に完膚なきまでに粉砕されたのだった。
*
数日後。学園の学生食堂にある特別個室は、至福の香りに包まれていた。
「アイラ様、リリア様、みんな……本当に、本当にありがとう!」
無事に学園に復帰できたミアが、涙ぐみながら私たちに抱きついてきた。 ガルドス侯爵は捕縛され、フローレス家の疑いは完全に晴れ、ミアの政略結婚の話も白紙に戻ったのだ。
「ミアが無事でよかったわ。……さあ、それでは待ちに待った瞬間よ!」
私の目の前には、ミーアが徹夜で開発した『IH式魔導炊飯器』が鎮座している。 無事に足止めを解除され、エルフィア王国から届いたばかりのピカピカの「新米」だ。
「今回は私一人じゃなくて、みんなで作るわよ! 私たちの勝利を祝う、最高の食卓をね!」
私が号令をかけると、探偵チームの面々が一斉に動き出した。
まずは、料理の要となる調味料の計量だ。
「僕の計算によれば、この豚バラ肉の質量と唐揚げ用の鶏肉に対する、醤油、酒、砂糖、そして秘伝の香辛料の黄金比は……出ました。一ミリグラムの狂いもなく計量しておきます」
ノアが分厚い眼鏡を押し上げながら、天才的な頭脳で完璧なレシピの数式を弾き出し、調味料を配合していく。
続いて、力仕事の肉の仕込みである。
「おう! 肉のカットと下味の揉み込みは任せとけ!」
クロードが調理用の巨大な包丁を握り、圧倒的なスピードと膂力で豚肉と鶏肉を均等なサイズに切り分けていく。
「ええ! 私の神聖魔法で極限まで強化した筋肉で肉を揉み込み、繊維を柔らかく解きほぐしますわ! ふんっ!」
セリアが純粋な筋肉の暴力……もとい、愛を込めたマッサージで、唐揚げの鶏肉に特製ニンニク生姜醤油を芯まで染み込ませていく。
「私は食材の鮮度を『浄化の光』で最高の状態に保ちますね!」
リリアが白魔法を応用し、調理中の食材が一切劣化しないように完璧なサポートをこなす。
「私はお水周りを担当します! 火にかけている間、水魔法の精密コントロールで、お鍋のアクだけを正確に掬い取りますから!」
絶世の美少女として覚醒したミアが、杖を振るって角煮の鍋を完璧に管理している。
「魔導炊飯器の魔力出力、安定しています! 水分量と加熱のタイミング、一寸の狂いもありません!」
ミーアが計器を見つめながら、真剣な顔で報告する。
そして、私は総指揮として、魔法チートを全開にして仕上げの火加減を行う。
豚バラ肉の表面を炎魔法の精密コントロールで一気に焼き付け、旨味を閉じ込めてから、ミアが管理する鍋へ投入し、風魔法で対流を起こして魔法的に時短で仕上げる。 唐揚げは、中温の油でじっくりと火を通し、一度取り出して余熱で中まで火を入れた後、高温の油で一気に表面を揚げる「二度揚げ」だ。油の温度を1度単位で調整する私の魔法により、衣が「カリッ」と音を立てる黄金色の唐揚げが次々と揚がっていく。
「完成よ!!」
私たちが円卓に山盛りにされた角煮と唐揚げを並べ終えた、まさにその時。 パァァァァァッ……! ミーアが炊飯器の蓋を開けた瞬間、立ち昇る真っ白な湯気。 その湯気の向こうには、一粒一粒が真珠のように白く輝いてピシッと立っている、完璧な銀シャリがあった。米の甘い香りが部屋中に広がる。
「おおおおおおっ……! 光ってる! 飯が光ってるぞ!」
クロードが目を丸くして歓声を上げる。 「さあ、みんな食べてちょうだい!」
私たちは炊きたてのご飯に角煮の濃厚なタレを絡め、唐揚げとともに一斉に口に運んだ。
「――ッ!!」
全員の動きが止まる。 お米の自然な甘みと、角煮の濃厚な旨味が口の中で絶妙に絡み合い、噛めば噛むほど多幸感が溢れてくる。
「う、美味すぎる……! 飯を食う手が止まらねえ! アイラ師匠、みんな、最高だ! おかわり!」
クロードが感極まって泣きながら、あっという間に茶碗を空にしていく。
「唐揚げの衣の音がたまりませんね! 筋肉の隅々までタンパク質が染み渡ります! これなら、高位悪魔とも三日三晩戦い続けられそうです!」
セリアも筋肉を喜ばせながら、次々と唐揚げを口に放り込む。
「ふふっ、最高ね。ジュリアン殿下も、遠慮せずにもっと食べてくださいね」 「ああ。君たちのチームワークが詰まった料理は、いつも驚きに満ちている。この『米』という食材、これほどまでに奥深いものだったとは……」
ジュリアン殿下も、上品な所作を保ちつつも、確かなハイスペースでご飯を平らげている。
「……僕の計算した黄金比と、皆さんの完璧な魔法制御の結晶ですね。非の打ち所がありません」
ノアも眼鏡を曇らせながら無言で角煮を堪能している。
「私の炊飯器、完璧に機能しています……! 皆さんのお役に立てて、本当に嬉しいです……っ」
ミーアが感動の涙を流しながら、自分で炊いたお米を噛み締めていた。
美味しいご飯を頬張りながら、私は仲間たちを見渡した。
世界の危機を救うような壮大な戦いもいいけれど。
「やっぱり、私たちにはこういう『証拠を集めて悪党を論破し、みんなで美味しいご飯を食べる』やり方が合ってるわね」
私が笑いながら言うと、みんなが口々に同意してくれた。
「ええ、お姉様との探偵活動、とっても楽しかったですわ! また色々なものの記憶を覗きたいです!」
リリアが物騒なことを笑顔で言う。
「ロジックで相手を追い詰めるのは、悪くない気分でしたね。次も書類作りは任せてください」
ノアが口元を拭いながら微笑む。
「次は、私も水鏡でバッチリ証拠を掴みますからね!」ミアも力強く頷いた。
世界の危機ではなく、人間の悪意を暴き、美味しいご飯を守るため。 私たち『最強の探偵チーム』の活動は、まだ始まったばかりだ。
*
ヴァリエール王国王立学園の敷地に、春の桜桃の魔力樹が満開の花を咲かせる季節。 私たち『最強の6人組』は、ついにこの日を迎えていた。
「お嬢様方、ご卒業おめでとうございます。本日は一段と美しゅうございますよ」
アルジェント公爵邸の私の自室。 完璧超人メイドのマリー姉ちゃんと、天使シュシュエルが間借りしている専属侍女のエマが、私とリリアの学園の制服に最後の手直しをしてくれていた。
「ありがとう、マリー姉ちゃん、エマ。……三年間、あっという間だったわね」
「はい、お姉様。色々な事件がありましたが、毎日が本当に楽しくて、美味しくて……」
私が鏡の前で銀糸の髪を整えていると、リリアが少しだけ寂しそうに微笑んだ。 悪魔教団の陰謀を叩き潰し、他国でのクーデターを解決し、魔導具で食の革命を起こした三年間。私たちの学園生活は、控えめに言っても「神話レベルの嵐」だった。
「アイラお姉様! リリアお姉様!」
「ふふっ、アイラちゃん、リリアちゃん。卒業おめでとう!」
部屋の扉が勢いよく開き、天使のハーフである妹のセナと、五千年前から生きる異次元の魔女・エレノワールお姉様が飛び込んできた。 セナはすっかり成長して美しい少女になり、エレノワールは相変わらず若々しい姿で、今日はおめかしをしている。
「ありがとう! セナもエレノワールお姉様も、今日は美味しいご飯を期待しててね!」
私がウィンクをすると、エマの瞳が一瞬だけ金色に光った。
『……ふぁぁ。人間界の学問ごときに三年も付き合わされるとは思わなかったが、まあ、退屈はしなかったぞ、魔女ども』
「シュシュエルも、いざという時のサポート助かったわ。さあ、行くわよ!」
私たちが部屋を出てエントランスへ向かうと、そこにはすでに「この世の終わり」のような顔をした男たちが待っていた。
「うおおおおん! 私の、私の愛しき娘たちが、今日で学生を卒業して、大人になってしまうぅぅ!」
「アイラ、リリア! 学園を卒業したからといって、すぐに王室へ嫁ぐ必要はないのだぞ!? あと十年……いや、五十年は公爵邸で暮らそう!!」
レオンハルトお父様とセオドアお兄様が、ハンカチをびしょびしょにして血の涙を流している。 お父様もお兄様も『黒魔法剣』を極めた王国最強の戦士だというのに、娘(妹)のこととなると相変わらずの親バカ&シスコンである。
「お父様、お兄様。重い、暑苦しい、離れて。ドレスにシワが寄るから」
私は容赦なく二人を押し返し、馬車へと乗り込んだ。 さあ、いざ最後の戦場(学園)へ!
*
学園の巨大な大講堂は、卒業生と在校生、そして保護者たちで埋め尽くされていた。 しかし、今年の来賓席・親族席は、過去の学園の歴史において最も「権力が密集したブラックホール」と化していた。
最前列の中央には、国王陛下と王妃様、そして第一王子のジュリアン殿下と、第二王子のエドワード殿下。 その隣には、親バカ全開のアルジェント公爵親子、近衛騎士団長とカイル、宮廷魔法師団トップのリュカ。 さらに、教国からはるばるやってきた教皇セレス(相変わらず16歳の少女の姿)とサミュエル特使。
「……私の計算が正しければ、あの来賓席に隕石が落ちたら、この大陸の国家機能は完全に停止しますね」
卒業生席で、首席クラスのローブを纏ったノア・ウィンザーが、胃を押さえながら冷静な分析を口にした。
「ハハッ! 違いねえ! 俺たちの卒業式に、すげえ面子が揃っちまったな!」
巨大な魔剣ヴァルムを背負ったままのクロードが、ニカッと笑う。
「あ、あの、私、あんなに見られていると思うと、また緊張が……っ」
前髪をピンで留めた絶世の美少女、ミアが少しだけ身を縮めた。
「ミアさん、深呼吸です! 緊張した時は、筋肉に力を入れて大胸筋を意識するのです!」
教国の聖女でありながら、完全に武闘派に成長したセリアが力強くアドバイスする。
そして、司会の声が講堂に響いた。
「これより、卒業生代表による答辞を行います。首席卒業生、アイラ・アルジェント」
「はいっ」
私は席を立ち、堂々とした足取りで壇上へと上がった。 数千の視線が私に集中する。国王陛下はウンウンと頷き、お父様たちはすでに号泣し、ジュリアン殿下は極上の腹黒い微笑みを向けてきている。
「在校生の皆さん、並びに諸先生方。本日はこのような素晴らしい式を開いていただき、ありがとうございます」
私はマイク(魔導拡声器)の前に立ち、用意していた原稿を……無視して、自分の言葉で話し始めた。
「思い返せば、この三年間、私たちは多くのことを学びました。古代魔法の歴史、魔力の制御、そして……困難にぶち当たった時、それを物理と魔法で強引に粉砕する力と、美味しいご飯の素晴らしさを」
会場の教師たちが「えっ?」と顔を引き攣らせたが、私は構わず続けた。
「身分も生まれも違う私たちが出会い、ぶつかり合い、共に地獄の特訓(カロリー消費)を乗り越えた絆は、どんな悪魔の陰謀よりも強固です。これから私たちは別々の道を歩むかもしれませんが、同じ釜の飯を食った仲間であることは一生変わりません。……どうか在校生の皆さんも、よく学び、よく食べ、よく筋肉を鍛えてください! 以上!」
「「「おおおおおおっ!!」」」
クロードやセリア、そして後輩のミーアたちが立ち上がって割れんばかりの拍手を送り、それに釣られて講堂全体が歓声に包まれた。
「……アイラらしい、食欲と筋肉に満ちた素晴らしい答辞だな」 ジュリアン殿下が、肩を揺らして笑っていた。
*
卒業式が終わり、中庭は卒業を祝う生徒と保護者たちで大パニックになっていた。
「アイラ! リリア! 私の誇りだ! うおおおん!」
「よくやった! 今日はお前たちのために、王都中の店を買い占めよう!」
お父様とお兄様が私たちに飛びついてきて、私とリリアはもみくちゃにされた。
そこへ、王族の一団が優雅に歩み寄ってくる。
「おめでとう、アイラ。これでようやく、君を王宮に迎え入れることができる」
ジュリアン殿下が私の手を取り、熱を帯びたエメラルドの瞳で微笑みかけてきた。
「……もう、卒業早々お姑さんみたいなこと言わないでください。王宮の厨房の全権限、約束通りもらいますからね?」
「ああ、望むままに。君の胃袋は一生私が面倒を見るさ」
隣では、エドワード殿下がリリアの手を両手で包み込んでいた。
「リリア嬢……いや、リリア。君が卒業する日を、ずっと待っていた。すぐにでも式を挙げたいくらいだ」
「エドワード殿下……っ、私もですわ!」
相変わらず、あちらのピンク色の空間は他者を寄せ付けない。
「ふははは! 卒業おめでとう、アイラ! リリア! 今日は祝宴じゃな! 私も混ざるぞ!」
少女の姿の教皇セレスが飛び跳ね、その後ろからサミュエルが「セリア! 兄としてお前の成長を誇りに思うぞ!」と妹を抱き上げている。
しかし、平和なのは私たちの周辺だけではなかった。
「ノ、ノア様ぁぁっ!! ご卒業おめでとうございます!!」
「私の実家へ、ぜひ!!」
「いいえ、私との愛の数式を解いてくださいませ!!」
少し離れた場所では、三年生になっても「超・優良物件」として狙われ続けたノアが、何十人もの令嬢たちに包囲され、絶体絶命の危機に陥っていた。
「ひぃっ!? 僕の計算では、卒業式は速やかに撤収する予定だったのに……っ!」
「おいおい、ノア! モテる男は辛いな!」
クロードが爆笑していると、そこへ宮廷魔法師団のリュカが黒いローブを翻して現れた。
「そこを退きたまえ、ご令嬢たち。……ノア・ウィンザーの頭脳は、明日から我が魔法師団の専属となる。彼の貞操と脳みそは僕が国を挙げて保護するから、諦めなさい」
「リュ、リュカ先生ぇぇっ!!」
ノアは涙目でリュカのローブにすがりついた。
さらに、クロードの元へは、近衛騎士団長とカイルが歩み寄ってきた。
「クロード。伝説の剣聖の末裔にして、魔法剣士であるお前を、明日から近衛騎士団の特別遊撃隊長として迎える。心して来い」
「カイル様と一緒に、王国のために剣を振るうのですね! クロードさん、すごいです!」
ミアが嬉しそうに拍手をする。
「おう! 任せとけ! 悪魔だろうが害虫だろうが、全部ぶった斬ってやるぜ!」
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その日の夜。 アルジェント公爵邸の巨大なパーティールームは、完全に「神話級のたまり場」と化していた。
「さあ! みんな食べてちょうだい! 今日は私とミーアが共同開発した最新の『魔導自動調理フルセット』で、王宮のシェフたちと一緒に作り上げた究極の卒業記念フルコースよ!!」
私の号令とともに、巨大なテーブルに並べられた料理のカバーが一斉に外された。 完璧な焼き加減の極厚ローストビーフ、限界まで煮込まれた豚の角煮、魔導オーブンで焼き上げた雲のようにふわふわの特大スフレパンケーキ。そして、魔導炊飯器でツヤツヤに炊き上がったエルフィア王国産の「銀シャリ」の山。
「うおおおおっ! 飯だ飯だーっ!!」
クロードが真っ先に飛びつき、角煮をご飯に乗せて猛烈な勢いでかき込む。
「美味しいです……! アイラ様たちの卒業祝いに、私がお手伝いした魔導具で作った料理……最高ですぅ!」
魔導具技師としてアルジェント家(王家)専属となったミーアが、感動の涙を流しながらパンケーキを食べている。
「うむ! このソースは絶品じゃな! 王様、そっちの肉も取ってたもれ!」
「おお、セレス殿! 遠慮せずに食べるが良い! セナちゃん、イチゴを『あーん』してあげよう!」
教皇セレスと国王陛下が並んで肉を喰らい、国王夫妻は相変わらずセナを溺愛してスイーツを餌付けしている。
「エレノワールお姉様、こちらの異次元風の味付けはいかがですか?」
「ええ、リリアちゃん! さすが魔女の血筋ね、魔法の循環が料理の味にまで影響しているわ!」
先祖の魔女と双子の魔女が、魔法理論について楽しそうに語り合う。
「ふぁぁ……。相変わらず、この屋敷の飯だけは天界を超えるな」
エマの姿のシュシュエルも、静かに、しかし凄まじいスピードでローストビーフを消費していた。
「……僕の胃腸の処理能力が、このカオスな空間と料理の美味しさにバグを起こしそうです」
ノアが眼鏡を曇らせてハーブティーを飲み、セリアとサミュエルの兄妹は「筋肉に乾杯!」とプロテインジョッキを打ち鳴らしている。
私は、愛する家族と、最高にやかましくて頼もしい仲間たちを見渡した。
「アイラ」
ふと、隣に座るジュリアン殿下が、私の手を取った。
「本当に、騒がしくて美味しい三年間だったな。……だが、これからは私の妃として、もっと王宮を騒がしくしてもらうぞ?」
「ええ。言ったでしょ? 私は美味しいご飯のためなら、王国のインフラだって変えてみせるって」
私はニシシと悪党のように笑い、ジュリアン殿下の頬に軽くキスをした。 お父様たちが「ぎゃあああ!」と悲鳴を上げているが、気にしない。
世界崩壊の危機も、悪魔の暗躍も、私たちの「食への執念」と「仲間の絆」の前には、ただのスパイスにすぎない。
「さあ! 宴はまだ始まったばかりよ! おかわりは無限にあるから、全員胃袋の限界まで食べ尽くしなさい!!」
私の高らかな宣言とともに、アルジェント公爵邸の夜は更けていく。
最強の探偵令嬢たちの学園生活は今日で終わりを告げた。 だが、私たちの「美味しくて、騒がしくて、最強の日常」は――これからもずっと、終わることなく続いていくのだ。
楽しんで頂けたでしょうか?
学園編を終わりにしました。
構想ではここでチート能力の修行は一旦、終わりです。
ここからは原点に返って、アイラとリリアの二人が探偵として活躍していきます。
他のメンバーは実家に帰り、そのうち登場することでしょう。




