36.イベント2日目
ライブは無事、成功に終わることができた。SNSでエゴサをしてみるとハッシュタグをつけてたくさんの感想や写真などをあげてくれたおかげでトレンドにのることができた。
感想を見るとVtuberのライブの凄さを語っているものが多かった。
というのもみんなVtuberのライブはリアルの人がライブをやるわけではないのでただ映像を見るだけだと思っていた人がほとんどだった。
だがそれに関してはVtuberがライブをするという前例がなかったためそう思うのも無理はない。
でも実際は1枚のモニターに映っているのに背景の奥行きやステージの再現などがきちんとされており本当に目の前のステージに立ってライブをしているように見えるのだ。
細かい動きもアバターに反映されていることでダンスのキレが伝わりやすくなっている。
それに一瞬で衣装が変わるなどのVtuberのライブだからこそできる演出がありただの映像と見くびっていた人たちの認識を変えたのだ。
そのためみんなのダンスや歌などの感想は勿論、演出やライブのクオリティーの感想も多かった。
[ダンスや歌のレベルが高くみんな可愛いかったです!ですが何よりライブのクオリティーが高いことに驚きました!3Dの技術のレベルが上がっており、ここまでリアルになっていることにびっくりしました!]
[初めてライブに行きました!こんなにも一体感があってみんなで楽しめるのは現地ならではだと思います!初めてのライブがこのライブで良かったです!ありがとうございます!また機会があれば行きたいです!]
[推しが琴莉ちゃんなので琴莉ちゃん目当てで行きましたがライブを見て箱推しに変わりました!これからは琴莉ちゃんだけじゃなくいろんな子の配信を見ていきます!]
いろんな人が携わりこだわって作り上げたライブがこうして評価されたり誰かの記憶に残ることで頑張って用意したかいがあるしまたライブができるように努力しようという気持ちになった。
そして今日は2日目、最終日だ。朝は昨日と同じように全員で集まり問題点があったかを話し合ったりスケジュールの確認などをした。
「今日も気を抜かず問題があればすぐ報連相をしてください。それじゃあ今日もみんなで楽しむぞー!」
【おーー!】
ミーティングも終わり次の場所に移動しようとした時だった。
「あの如月さん」
声をかけられたので振り返ると凛音だったのだが何故か浮かない顔をしている。
「どうしたの?」
「今日ってどこか時間が空いている所ってありますか?」
「ちょっと待ってね」
俺は自分のスケジュール表を開き確認した。
「そうだな、11時から13時と15時から16時なら空いてるよ」
「どっちか時間をくれませんか?」
「いいけど何かあった?」
「実は私の親が昨日から来ているんです」
「親御さんを招待してたんだね」
事務所のメンバーの関係者にはチケットを用意できるようになっている。
「はい。でお母さんが如月さんに挨拶をしたいと言っているんです」
浮かない顔をしていたのはこれを俺に伝えるのが嫌だったからだと分かった。
(まさか凛音の母親が俺に挨拶をしたいとは)
自分の娘がお世話になっている会社の社長に挨拶したいという気持ちは分かる。
それに若いのに起業して社長をやっているから本当にこの会社が大丈夫か俺を見て確認をしたいのだろう。親だから心配だと思う。
「やっぱり迷惑ですよね?親に話して断りますね」
「いやいいよ。11時くらいでいいかな?その時間なら確か控え室が空いていたはずだから」
「いいんですか?」
「せっかく来てくれているからね。僕からも挨拶したい」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ということで凛音の親に会うことになった。
予定の時間まで作業をしていたが緊張からか集中して作業が出来なかったので何かミスしていないか心配だ。
時計を見ると10時50分になったいたので控え室に向かうことにした。
時間を作っているのはこっちだが遅れる訳にはいかないので早めに作業を切り上げた。
向かいながら凛音に連絡をしたらもうすでにいるそうだ。
控え室に入る前に深呼吸をして心を落ち着かせた。
「すー、はー、すー、はー。よし!」
扉をノックして入った。
「お待たせしました」
「如月さんありがとうございます。こちらが私の母です」
「あなたが如月くんね!話は娘からよく聞いているわ」
「お母さん!如月さんに失礼でしょ!」
(この人が凛音の母親か。お姉さんの間違いじゃないのか?)
凛音の母親は凛音にそっくりで見た目も20代の綺麗なお姉さんという感じで凛音とは違い気さくな方だ。
(本当にもうすぐ成人する子の親か?美魔女ってこういう人の事を言うんだろうな)
「今回はわざわざお越しくださりありがとうございます。僕はswear社長の如月玲央と申します」
「礼儀正しいのね〜私は凪咲の母親の小鳥遊七海と言います。いつも娘がお世話になっているわね」
「こちらこそ小鳥遊さんにはお世話になっております」
「あら小鳥遊さんって。凪咲って呼ばないのかしら?私も小鳥遊なのだけど?」
「お母さん!」
凛音は普段おとなしいのにお母さんの前だと調子を狂わされている。
「あはは。じゃあ凪咲さんと呼びますね」
「私のことはななみんって呼んでね?」
「お母さん勘弁してよ」
(大変そうだな〜)
「それより昨日のライブはご覧になりましたか?」
「ええ。まさか娘があんな大きなステージに立ってライブをするなんてびっくりしたわ」
「凪咲さんたちの努力の賜物ですよ」
「それもあるのでしょうけど如月くんの経営手腕のおかげでもあるでしょ?」
「それほどもないと思いますがありがとうございます」
自分はまだまだだと思っているが素直に認めた。
「難しい活動だと思うけど昨日のライブを見て上手くやれているようで良かったわ」
「だから言ったでしょ。上手くやってるって」
「話で聞くだけじゃ分からないでしょ?」
「凪咲さんは何事にも妥協せず努力して常にいいものを作ろうという姿勢で取り組んでいるので尊敬してます」
凛音は俺から褒められたからか照れてそっぽ向いてしまった。
「あらあら凪咲ったら照れちゃって」
「うるさい」
「まぁこの子は昔から努力をすることが得意だったからここでも頑張れているようでなによりだわ」
(Noxlunarisの中でもお世辞なしで1番努力していると思っていたが昔からだったとは)
努力をすることは簡単なことではない。努力しても結果がついてこない場合もあるしそもそも続けるのが難しい。
それを小さい頃から続けれらるのは才能を超えて天才と呼んでもいいくらいだ。
「それに僕から見てグループの子とも仲良くやれているので安心して大丈夫だと思います」
「そうなのね」
七海さんはそれを聞いて安心したような顔をした。
「凪咲少し部屋から出てってくれる?如月くんと2人で話したいことがあるの」
「分かったわ」
さっきほどまでと違い真面目な顔で七海さんにお願いされたため凪咲は部屋から出ていった。
そして何故か俺は七海さんと2人きりになってしまった。
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