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33.イベント当日

 ついにイベント当日だ。まだ開場前だが会場にはたくさんの人が来ている。


 俺たちは開場前に全員で集まってミーティングをしている。


「それぞれ役割があるので時間通りに動くようにしてください」

【はい!】

「最後に初めてのリアルイベントなので緊張もあると思います。もしかしたら失敗もしてしまうかもしれません。ですが誰かしらフォローするので気にしないで楽しんでいきましょ!」

【いぇーーーい】

「それじゃあswear行くぞー!」

【おー!!】


 景気づけのミーティングも終わったのでそれぞれ持ち場に向かった。




 開場してから3時間が経った。人が多いので規制しながら会場に人を入れていったので入場に1時間ほどかかってしまった。


 会場ではエリアを回っている人、ファン同士で集まってオフ会をしている人、コスプレイヤーの撮影会をしている人などみんなそれぞれイベントを楽しんでいる。


 エリアは人が多い所はスタッフが立って整理券を配ったり規制をして列を作ったりなどして対応してもらっているため今の所、問題は起きていない。



 Noxlunarisのメンバーは1日目は夕方のライブまで出番がないため控え室で過ごしてる。

 他のメンバーや俺はトークコーナーやイベントの特番配信などがあり、俺は裏方の仕事があるのでそちらに顔を出している。

 

 この控え室には会場の様子が映っているモニターが置いてある。


「すごい人の数ですね」

「ここに来ている人たちみんながVtuberが好きで来ていると思うと嬉しいですね」

「普段、配信している時にコメントを貰えたりするからファンがいるのは知ってたけど実際にこういう形でたくさんの人が来てくれると実感しちゃうね」

「そうだね!」

「みんな楽しんでいるかな?」

「調べてみるよ。お!もうSNSでイベントの写真を投稿してくれてるよ!」


 琴莉はみんなにSNSの投稿を見せた。


「え!ほんと!?うちも調べてみよ」


 それぞれスマホでSNSを開きエゴサをし始めた。


「ほんとだ!ハッシュタグをつけて投稿してくれているよ」

「みんな#Into the futureを使ってくれていますね」


 Into the futureとは今回のイベントのタイトル名だ。

 Vtuber業界の未来への新たな一歩という意味を込めてこのタイトル名に決定した。


「あのぬいぐるみの写真を撮れるエリアが人気みたいだよ」

「あそこは推し活にもってこいの場所ですから」

「凪ちゃん、あそこで写真いっぱい撮ってたもんね」

「私の趣味は推し活なので」


 凛音はドヤ顔で言い放った。


「「「「でしょうね(そうだろね)」」」」

 

 凛音が京凛のファンなのは周知の事実なのでみんな同じタイミングでツッコミを入れてしまった。

 まさかみんなツッコミを入れると思っていなかったのかお互い顔を見合わせて笑ってしまった。


「他にもハッシュタグあるね」

「そうだね。#みてみて琴莉ちゃんとか#みてみてすずちゃんとかみてみて系が多いね」

「ほんとだ。#みてみて翠ちゃんで調べると僕のパネルでぬいぐるみと写真を撮ってくれてるよ」

「こうやって報告してくれるの嬉しいよね!」

「私もありました。絵が上手いって褒めてくれています」

「だって凪咲ちゃんの絵上手いもん。なんで自信がないのか分かんない」

「ありがとう美礼ちゃん」

「てぇてぇですなぁ」


 最近、ファンの間でルミナスてぇてぇが流行っている。

 ルミナスは前世で琴莉と凛音のユニットだったのだが今世でも玲央が見たくて作ったのだ。


 仕事やプライベートの話をこの2人は雑談配信でするのだがその話の内容がファンには尊いと思えたらしくルミナスてぇてぇが流行っている。


「てぇてぇって私たちそんなにいちゃいちゃしてるかな?」

「琴莉ちゃんが凛ちゃんに積極的に絡みに行ってるからじゃないかな?」

「だって凪咲ちゃん可愛いんだもん」

「それだよそれ」

「それに凛音ちゃんも嫌がっていないでしょ?」

「嫌がる要素ありますか?」


 まさかの無意識てぇてぇだったみたいだ。


「みてみて!この子超可愛いんですけど!あたしのコスプレしてくれているよ。いいねしておこ」

 

 涼葉は自分のコスプレを見つけてテンションが上がっている。


「可愛い〜いいなーうちのコスプレをしてくれている人いないんだけど」

「私はいるけどコスプレしてくれてる人がボディービルダーみたいなムキムキマッチョの人だよ」

「どれどれ?な、に、こ、れ、あはははははぁはぁ」


 琴莉が見せてくれた写真にはマッチョの人が琴莉の初期衣装のゴスロリを着てポージングをしているが服がパツパツなのだ。

 涼葉はそれを見て笑いが止まらなくなってしまった。


「こ、れ、笑わせに来てるでしょあははははぁははぁは」


 笑いすぎて喋れなくなっているのに、また写真を見て笑い転げている。


「笑いすぎでしょ。確かに面白いけど」

「僕のコスプレしてくれている人もいる!顔とかの再現度が高いんだけど武装してる。でも嬉しい」


 翠のコスプレは髪型や化粧で本格的に再現してくれているが迷彩服に銃を持った格好をしていた。


「翠はFPSばっかり配信でやっているからネタにされているんだよ」

「だって歌枠や雑談配信よりFPSをやっている時の方が視聴率が高いんだよ。好きだからいいんだけど」


 翠はゲーム大会以来、FPS配信目当ての視聴者が増えて歌枠や雑談配信と比べると2倍くらい同接人数が違う。


「でもこれはこれでめちゃいいよね!コスプレならではって感じで」

「私もすごくいいと思います。いっそのこと次の新衣装こういうのにしてみたらどうですか?」

「確かにありかも。FPSやる時はこの衣装にしようかな」


 仮にもアイドルが衣装を迷彩服にするのはどうなのかという話は置いといて真面目に検討している。


「投稿を見ているとみんな楽しんでくれているみたいで良かったね!」

「そうだね!あとは私たちがライブでさらに盛り上げてみんなの思い出に残るようにしないとね」

「うぅあたし緊張してきた〜」

「昨日からずっと緊張してるじゃん」

「だってライブは1万人以上の人が来るんだよ?そんなの緊張するに決まってるよ。それに失敗したらって思うと」

「緊張してないって言ったら嘘になりますが私はどちらかというと楽しみの方が大きいですね」

「凪ちゃんも緊張しているの?」

「そりゃ私も緊張はしますよ。それよりもファンのみんなとリアルで盛り上がれると思うと楽しくなりませんか?」


 もちろん凛音も緊張をしているのだ。初めてのリアルライブで1万人を超えている会場で緊張しない方が珍しいのだ。


「それに如月さんも言っていたように失敗しても私たちがフォローしますし、もしものことを今から考えても疲れるだけなのでとにかく楽しみましょ」


 マイナスのことを考えても凛音が言ったように疲れるだけだがプラスのことを考えると気分が楽しくなるしいい方向に向かうから凛音の考えは的を得ている。


「そうそう。僕たちはこの日のためにたくさんレッスンを頑張ってきたんだから大丈夫だよ」

「うち達の中で涼葉が1番ダンスが上手いから大丈夫!」

「そんなことないと思うけど確かに失敗することを考えても楽しめないから成功することだけ考える!」

「あと5時間くらいかー早く経たないかな?」


 


 ライブ開始10分前になった。ライブ会場の席はほとんど埋まっており会場の熱気は上がっている。

 10分前になったのでライブが始まる前のアナウンスが流れるのだが今回はNoxlunarisが務めることになっている。

 文章が長いのでみんなで分担して読むようだ。

 

ピンポンパンポン


【おぉーーー!!!】


[本日はVtuberイベントInto the futureにご来場頂きありがとうございます]


【おぉーーー!!!】


[最後までライブを楽しんで頂くためにいくつかご案内させて頂きます]

[公演中の撮影、録音、録画機材の使用は固くお断りいたします]

[館内は禁煙となっております喫煙はご遠慮ください]

[万が一具合が悪くなってしまった場合は無理をせず近くのスタッフにお知らせください]

[過度なジャンプやステージに物を投げ込むなど周りに迷惑がかかる行為や公演を妨げる行為はいっさい禁止です]


【はーーーい!】


[また本公演は映像配信および写真撮影用のカメラが会場内に入り客席が映り込む場合がございます]

[映像や写真はプロモーションなどに使用される可能性がございますので予めご了承ください]


【はーーーい!】

 

[またライブのハッシュタグは#Into the future stage swearです]

[ハッシュタグをつけて感想などお願いします]


【はーーーい!】


[最後にswearでライブを盛り上げるのでみんなも私たちに負けないくらい盛り上がってくださいね!]


【うぉーーー!!!】


[せーの]

[[[[[Noxlunaris行くぞー!!!おーー!]]]]]


【おーーーーーー!!!】


 Noxlunarisのアナウンスのおかげでさらに会場のボルテージが上がった。


「既に会場の熱気がすごいね」

「私たちも負けないようにしないといけないですね」

「こんな大きいステージでライブできるなんてワクワクしてきた!」

「もう直ぐライブ始まるしNoxlunarisで円陣でも組む?」

「瑠奈、いい案じゃん!みんなで円陣を組も!」


 Noxlunarisで円陣を組んだ。


「誰がなんて声かける?」

「ここは発案者の瑠奈にお願いする?」

「えーうち?じゃあNoxlunarisの初ライブ!誰よりもライブを楽しむぞー!」

【おーー!】


 これでより一層気合いが入っただろう。


 俺は面白いことをやっていた琴莉たちに話しかけた。


「仲良いね」

「如月さん、見てたんですか?」

「まぁね。こういうのみると青春だなーって思うよ」

「おじさんみたいなこと言ってる」


 実際、中身は40を超えているおじさんなのでしょうがない。


「もう始まるからみんな行こうか!」

【はい!】


 1曲目はswear全員出演の全体曲。みんなでステージに上がり1曲目が始まった。


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