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005 古強者の去り際

Old soldiers never die, they simply fade away.


って、知ってます?


日本人にとっては、進駐軍大元帥として有名なダグラス・マッカーサーが引退する時の言葉ですね。


元々は、イギリスの風刺歌の歌詞で、若い前線兵士の不満をあらわしてたらしい。


つまり、年寄りの将校とかは、後方の安全なとこにいて、順番に退役していなくなっちゃうわけで、要するに──


「死ぬのはいつも、俺たち若い兵だけだよな」


という不満を歌ったらしいんだよね。マッカーサーも若い頃、これを歌ってたんだろうなと思う。


自分がOld soldierになった時に、どう感じたのかな?やっぱり、上官の立場の重さを感じたかな。若い兵士を死地に向かわせる判断をせざるを得ない葛藤も感じたんじゃないかな?


現場トップとして、部下の兵士たちの命を守ることを最優先に考えるってのが、彼の信念だったと思う。


兵士の命を守るために、圧倒的武力をもって、戦争を一刻も早く終わらせる。そのためには、原爆の使用も辞さない。


うん、べつに、それを賛美するわけじゃないし、もちろん、賛否はあると思うよ。


でも、現場ってそういうもんだと思うんだ。目的のために使えるものはなんでも使いたい。


現場リーダーってのは、それを上と交渉するのが仕事だよね。


即決が必要な場面では、責任をとる覚悟で、現場判断する。それが現場のリーダーだと思う。


で、結局、そういう判断や意見が時代に合わないってことで、クビになっちゃうんだけどさ。


そりゃ、第三次世界大戦にしてソ連と核を撃ち合うわけにはいかないわけで、政治としては妥当なとこだよね。


Old soldiers never die, they simply fade away.


クビになって、退役するときの発言。どんな意味で言ったのかなぁ?皮肉だったのかなぁ?


それとも、本当にいま伝わってるような意味だったのかなぁ?


これがホントに出来てりゃ、マッカーサーがsimply fade awayできてれば、もっとカッコよかったと思うんだけどな。


クビになっても、納得いかずに、政治家になってなんとかしようと頑張っちゃった。とても残念だけど、引き際を逃しちゃったと思う。


---


さて、ここは、信枚関連のあれこれだな。なんでもいいからとは言え、脱線が過ぎるかな?


とりあえず、冒頭の英文を和訳すると──


「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」


1612年頃の信枚と安儔の会話ってので、こんな会話を考えた──


「安儔はさぁ、いつも裏方で、騙し討ちとか、どっちかと言えば、損な役まわりばっかりさせてさぁ、なんだか、いつも悪いなぁと思ってるんだ」


「いいえ、そんな事はございません。お屋形様のお役に立てれば、この安儔、本望にございます」


「そうなの?」


「はい。お屋形様の理想とする、すべてを包み込み、戦いのない時代を作るには、それまでの過程で必ず汚れ役が必要になります。


表舞台は、お屋形様や奥方様、それに、服部康成様、松野大学様、杉山源吾殿など、素晴らしい方が揃っています。


拙者には、彼らのように、表立って、人を引っ張っていくような才覚はございません。


平和な世の中が来た暁には、拙者のような武辺のものは、黙って新世代に跡を託すのが摂理にございます」


「え? 建広義兄もそんなこと言ってたけど。もしかして、安儔もおんなじようなこと考えてるの?」


「いえ、建広様とは、比べようもございません。


建広様のような優れた才能もない拙者は、次世代の糧となり、いかなる泥をかぶっても、そのための礎となれば、それで大本懐と考えます。


ただ、お屋形様の、『絶対に生きよ』とのお言葉は、身に染みて、我が矜持としてございます」


「『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』。だね?」


「よい言葉ですな。


そのような機会に巡り会うことができればと願うところです。 


その際にはぜひ、お屋形様にもご協力をお願いしたいです」


「あはは、安儔にはまだ早いと思うよ。まだまだ若いじゃん。しばらくはしっかりと働いてもらうからね」


「はい。もちろんでございます。まだまだ、健在なうちは、津軽家の汚れ役となり、お屋形様のお心をお守り申し上げます」


「うん。ありがとう」


──なんだけど、


安儔って、無口やん? どーやって、こんな長台詞を喋らせりゃいい?


というわけで、考えたんですけど、代わりに気持ちを代弁する人を用意すりゃいいんだなと思いついた。


「相変わらず、言葉足らずなヤツだな。『お屋形様が大好きです!』と言えばよいではないか!ガハハ」


松野大学にガハハと笑わせる。


「やれやれ、松野様にかかれば、乾殿もかたなしでございますな」


と、まあ、康成は呆れ感を出すかな。


「乾様のお考えは、おそらく──


と、実際に解説してくれるのは、几帳面な有能・源吾だと思う。


んで、


「──って、源吾が言ってたんだけど、そうなのかな? 於辰はどう思う?」


「はい。お兄さまのおっしゃる通りだと思います。乾様は信枚さまを信じ、信枚さまの理想の実現のために──


「ちょっ、ちょっと待ってよ。俺の理想って?なんのこと?」


「信枚さま……」


あ、やっちゃった?


えと、よく考えろ、俺! 俺の理想、俺の理想……


「その……みんな、仲良く……とか?」


「まあ……ひとまずは、それでよろしいとしましょうか……」


ていうか、なんで、俺のことのはずなのに、俺より於辰の方が知ってるわけ?


「うふふ、そうでなくては、信枚さまの妻はつとまりませんので」


てな感じのは、近々、なんとか書けるかな?


いや、実は、今回考えて書きたかったのは、このシーンじゃなくて……


「なかなか本題に入れないのが、私の文章の特徴(笑)」と、001に書いてるでしょ?


本題は、安儔が言ってた「そのような機会」つまり、船橋騒動(1634-1636)です。


002では、以下のように書いてる──


---


船橋騒動は、必要な改革をするための古参の既得権益層の粛正劇だったと思うよ。本気で止めなきゃって思ってたら服部康成だって中立なんて決め込んでないし、満天母さんだって諌めるでしょ。


信義は若くてちょっとやり過ぎちゃって、結局、古参の既得権益層だけじゃなくて、新参の改革支持派の船橋とか、最後までやんちゃに付き合ってくれた乾安儔も巻き込んじゃった。


信義にも責任の一端はあるはずだと思うけど、全ての罪を安儔が被ってくれて、信義は助かった。津軽家も無事に存続。新参も処分されたけど、狙いだった古参守旧派も粛正できた。


乾安儔の去り方がとにかくカッコいい。


当時50代かな?60歳超えてるかな?いずれにしても、当時としては、まあまあ高齢だね。


古き武人は、役割を終えたら何も言わず静かに去るのみ。


あとのことは、信義や信英のコンビに任す。


---


──ね?安儔は、ちゃんと、simply fade awayできた人だと思うんだよね。


 だからこそ、かっこいい!


しかも、しっかりと、後進に背中をみせて、無言の引き継ぎができた。


若かった信義は、この時の経験から、いろいろ学んだと思う。


家臣に罪を被せて失脚させてしまった反省は、自分自身が矢面に立って、全てのヘイトを集める役割を担う覚悟を、信義に持たせたんじゃないかな?


信義には、江戸藩邸で一緒に育った兄弟たちがいる。ともに満天母さんや、あるいは、藤かあさんに教育された信頼できる兄弟だったと思う。


優秀で人望あるひとつ下の弟の信英(次男、史実としては満天姫の実子)がいる。あるいは、久太郎(九男?諸説あり。のちの乾安俊)がいる。


信英は、強硬な信義への風当たりを和らげ、不満分子の拠り所になり、反乱分子の炙り出しにも一役買ってくれる。


万が一、自分が失脚しても、信英になら任せられると考えたんじゃないかな?


跡継ぎ(のちの名君・信政)が生まれたあとは、兄弟たちが信政を支えてくれると信じたから、自分はいろんな無茶が出来たんじゃないかな?


安儔から学んだのは、泥の被りかただけじゃなくて、重要なのは、あとを託せるものを見定めて、後ろ姿で語りながらも、黙って去る点じゃないかと思う。


自分は自分で精一杯に生き、その後ろ姿を見せる。


あとのことは、次の時代の問題だから、もう口はださない。


破天荒に生き、酒を浴びるように飲み、51人もの子をもうけて(!!)、信義は、数え37歳の若さで亡くなっちゃう。


風当たりの強い、ストレスフルな激しい人生だったのだと思う。


信義が亡くなった時、4人(〜10人、諸説あり)の家臣があとを追ってる。


これも、あんまり賛美しちゃいけないと思うけど、都谷森甚之丞が母に対し──


君の後を追いかけ、三途の川の瀬踏を覚悟し、


── 冥途で会うつもりでいると伝え…… なんだよね。


なんかね……


「俺たちの役割は終わった。


あの世では俺が殿様を先導して、泥にまみれない道を歩いていただく!


泥を被りながら改革を成し遂げた主君には、もう二度と泥道を歩かせない!」


って読めちゃうんです。


(つづく?

というか、信義で長編書きたい。

前置きが、めっちゃ長いわりに……)


あとがき


どうも筆者です(^^)/'


とりあえず、いろいろ考えたり、調べたりしてること、書いちゃってることをバラバラでもなんでもいいから、書いて残しておこっていうコーナーです。


なんかツッコミどころがあれば、いろいろ教えてください。


もしよろしければ、今後ともご愛顧のほど、何卒、どうぞよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m


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