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 ただ、それだけの動きだ。


 それなのに、だ。


 視線は、自然とそこへ引き寄せられる。


 そうさせられている。


 飾り立てた豪奢な装束ではない。


 シンプル、質素とさえ言えるローブである。


 しかし、そうでありながら、不思議と安物には見えなかった。


 長い年月を共にしてきたかのような落ち着きがある。


 着る者の風格によって、一着の価値そのものが引き上げられている、とでも言うのだろうか。


 風は、少女の髪をさらりと撫で、炎色の髪が陽光を受けて煌めく。


 燃えているわけではない。


 当たり前だ。


 だが、燃え盛る炎を連想せずにはいられなかった。


 まるで、火そのものが、人の姿を借りて立っているようだった。


「……」


 続きを、口にすることができない。


 否定したかった。


 そんなはずはないと笑い飛ばしたかった。


 だが、それは難しかった。


 目の前にいる少女を見れば見るほど、その考えは揺らいでいく。

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