4793/4799
8-156
「明かり、ですか」
「ああ」
俺は、しかりといった感じで頷いてから、
「五十もいれば松明の列とか……」
スウェンは、さらりと、
「それも、無理だったでしょう」
と、言った。
「……」
俺は、またしてもスウェンの次の言を待った。
スウェンは、肩をすくめた。
「あの霧です」
言われてみれば、その通りだった。
(霧……)
見れば、壁の外は、白い靄に覆われている。
霧は、ただ白いだけではなく、どこか鈍く光を吸い込むような質を帯びていた。
その場に居座るように、沈殿している。
壁の向こう側から、鼻を突く湿り気と、微かに土の匂いを含んだ冷気が、胸の奥にじわりと入り込んでくる。
昨日は、こんな感じもなかったような気がする。
だとすれば、夜半から急に立ちこめたのだろうか。
重く湿った霧だ。





