14、筋肉こそ正義
ルアは疲れていた。表面上は人気俳優、しかし裏ではお姉ちゃんを救う為に「仮面ワンダー」として戦っていたのだから。
「どしたん話聴こか?」
姉の惨状を見つめて泣いていたある日、部屋に「魔女」が押し詰めてきた。軽い態度で隣に座るけど意味が分からない。どこから?何者?
「まぁまぁ飴ちゃんでも食べて落ち着いて」
魔女は手提げの紙袋から箱を取り出して、中にある小さなガムを手渡す。
「ってこれガムや無いかい!!大阪のオバチャンムーブ下手か!!!」
(なんなの…この人…)
「ついでにこれも渡しとくわ!恥ずかしいし帰るわ!ほな!!!」
ほぼ一人で完結して消えていく魔女。なんだったのかと消えていく影を眺めているとその魔女の本物の「影」が、少し笑った気がした。
ガムが入っていた箱には仮面が「二つ」入っていて、説明書には「きらびやかな仮面を貴方に」という文言が。確かに輝く仮面と、不安そうな顔をした仮面がある。私は輝く仮面を装着してみた。
辺りが光り、私はまるでお姫様のような姿になった。鏡を見て唖然とするが、急な睡魔に襲われてそのままベッドにダイブした。
そこからだ、私が夢の中で「戦う」様になったのは。
「え!?イヌタロウ死んだの!?」
「え!?なんで生きてるの!?」
「煩いワン」「純粋って良いワン」「ウメ達の仕事ワン!」
煽るように生存確認するシュクに純粋に何故を問うグレーテル。そして三匹の白い犬がイヌタロウにべったりとくっついていた。人(と動物)が多くて部屋が狭い。
「仮面にも色んな力があるんだな…イヌタロウは特殊すぎるけど」
「蘇生なのかよ俺の能力…強くなりたかったのに」
落胆するイヌタロウだが、十分に最強能力だろ。
「あんまり仕事増やされても困るワン」「手続き結構大変ワン」「安心して死ぬといいワン!」
耳の垂れた一匹だけ言ってることが怖い。
「そもそもイヌタロウは十分強いワン ウメたちは尊敬してるワン」
「尊敬…俺を!?」
確かにイヌタロウの腕は俺に比べて、鍛えているのがすぐにわかる位にはカチカチだ。俺も筋トレ始めようかなと二の腕をぷにぷにしているとシュクも触ってくる。やめて怖い。
「鍛えた筋肉は無駄じゃ無いんだな!俺はこのチームの盾として守ってみせる!」
「おー…」
犬達とグレーテルが拍手する。イヌタロウは両腕をあげてクイズに正解したようなガッツポーズを決める。
「そういえば…もう一人には誰か会ったの?」
グレーテルは思い出す。黒を迎えに行くと言っていた事を。シュクは俺の腕にぶら下りながら、真面目な顔で話す。
「シエラさんは…きっと仲間になってくれるよ」




