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竹刀の剣士、異世界で無双する 40 領都大会 予選リーグ 最終戦

40 領都大会 予選リーグ 最終戦


 予選リーグの初戦を全勝で飾ったが、中堅の村長がケガで離脱した。しかし、補欠のランスやティングが活躍し、予選リーグ2戦目、3戦目も全勝した。次は、最終戦だ。相手は領都ベナランのチームである。ダヒトの村チームとベナランチームは互いに全勝同士。ここで勝ったほうが予選リーグ1位となる。

 ベナランチームはさすがに領都のチーム。体格のいい5人全員が全身金属鎧に金属兜を装備している。得物は木剣や木槍であるが、防御力は随一と言っていい。実際、ここまでの試合でも、どんなに打たれても鎧や兜の防御で跳ね返し、相手が手詰まりになったところで打ち勝ってきている。現代剣道とは違い、どんなに打たれても、戦意を喪失しているとみなされなければ、負けることはない。そのルールを生かし、打たれても打たれても耐えて忍んで一撃にかける戦い方をしてきたのだ。

「さて、ベナランチームの堅い防御を相手に、どう戦いましょうか?」

俺は、左右のマーローさんとバルガスさんに聞く。

「初戦でボミデの村の大将と戦ったように、鎧の継ぎ目を狙ってはどうですか?」

と、バルガスさんが答えてきた。

「そうだね。基本はそれでいいと思うんだ。でも、ベナランチームもあの戦いは見ていたわけだから、対策はされているだろうね。こちらが鎧の継ぎ目を狙っているのが分かれば、ひじやひざの角度をちょっと変えるだけで防御できるのだから。」

俺は、心配していたことを話す。

「なるほど、確かにそうですね。では、竹刀の技を捨ててはいかがでしょうか?」

マーローさんが、頷きながら提案する。

「竹刀の技を捨てるとは、どういうことですか?」

バルガスさんが驚く。それはそうだろう。今までダヒトの村は竹刀剣道で勝ってきたのだから、竹刀の技を捨てるといわれれば動揺するだろう。しかし俺は、マーローさんの意見をもっと聞きたくなった。

「バルガスさん、落ち着いてください。マーローさん、もう少し詳しく話してください。」

「はい。今まで、うちのチームは竹刀の軽さを生かした鋭い突きや打ち込みで勝ってきました。しかし、ベナランチームは全員が全身金属鎧です。軽い竹刀では、どんなに打ち込んでも痛みを与えることは無理でしょう。」

その通りだ。関節の内側に打ち込んでも、相手が少し関節をひねるだけで防御できてしまう。軽い竹刀では、まったくダメージは通らないだろう。

「その通りですね。それで、どうしますか?」

俺は、マーローさんに続きを促す。

「はい。この状況を逆手に取ります。こちらがどんなに打ち込んでも、相手は全く痛みを感じないでしょう。それでも打ち込み続ければ、相手は、こちらにはほかに手が無いのだと思い込み、油断するでしょう。その油断に付け込んで仕掛けます。」

「ほう、何を仕掛けるのだ?」

バルガスさんも、マーローさんの考えに興味を持ったようだ。

「はい。うちの技は、竹刀の打ち込みだけではありません。体当たりや足絡め、竹刀の柄を使ったひじ関節極めなどの体術もあります。ああ、密接戦にして、柄で相手を殴るのもいいですね。」

マーローさんの話を聞いて、バルガスさんもなるほどと頷いた。

「しかし、そうなると相手との体格差が問題ですね。うちにはリーファやティング、ランスと言った子どももいますし、メリサさんは力のない女性ですし。」

俺は、基本的にはマーローさんの意見に賛成だが、心配な面もある。子どもや女性ではベナランチームの5人には力で劣るのだ。

「大丈夫ですよ。リーファはスピードに特化しているので体術は向きませんが、ランスは年齢の割には体が大きいですし、ティングもやや小さいとはいえ、十分な力があります。稽古の中でメリサさんも体術を伸ばしてきましたよ。」

マーローさんはニッコリとして太鼓判を押した。

「分かりました。みんなを集めて、作戦を伝えてください。布陣は先鋒メリサ、次鋒ランス、中堅ティング、副将シラック、大将グリッツにします。私は審判に布陣を伝えてきます。」

俺は、マーローさんに後を任せて、審判に話に行った。


 試合は、マーローさんの読み通りだった。先鋒のメリサさん、中堅のティングは果敢に相手に打ちかかり、無駄打ちを繰り返すことで相手の油断を誘い体当たりや足絡めを使ったが、残念ながら力が足りず、引き分けに終わった。しかし次鋒ランスは恵まれた体格を生かして、相手を体当たりで崩した後、足を払って背中から落とし、勝利を決めた。シラックさんは足を使ってさんざん相手をほんろうし、相手の重心が崩れたところを右からの体当たりで吹き飛ばした。グリッツさんは相手に打ちかかって防御された瞬間に鍔迫り合いに持ち込み、ひじ関節を極めた。3勝2引き分けで、予選リーグを1位で勝ちぬけた。

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