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真理の探究者  作者: しま
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皇国散策

朝。その日のうちにカリノフが到着するとカリノフについているヴァルナの配下から連絡が来たので一足早くイグノーやゲイルと会う事にする。


メンツは俺、フェリス、エストリー、ナーサとダスラだ。

ナーサとダスラはメイド服である。


フェリス以外は空中移動が出来るのでフェリスを抱えて地上に降りる。コイツにも空を飛べるようになってもらわなければ。

前の日に戦闘はそれほど出来ない給仕係のメイドを十数人送ったので生活面は大丈夫なはずだが。

城の前につくと数人のメイドが出迎えてきた。


「ゼロ様、お待ちしておりました。お客様は城の応接室でお待ちです」


「そうか。案内してくれるか?」


「はい」


メイドさんの後をついて歩く。この城には壁をぶっ壊してしか入ってないから分からないんだよね。

いくつかの部屋を素通りして一つの部屋に通される。

そこには懐かしい顔と、師匠がいた。後他にも3人程。


「おぉ!ゼロ君!君は何というか… 途轍もない奴だったんだな!」


「勝つだろうとは思ったけど、本当に神を連れてくるなんてな!」


「お久しぶりです。イグノーさん!今回はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。ゲイルさんも。大丈夫だったでしょ?」


二人の前にあるソファに座って取りあえず談笑を始める。

二人とも驚きすぎて自分でも何を言っているのか分かっていないのだろう。しかし、まぁ口が動きまくっている。

まぁ、神を見たんだ。そりゃ冷静でいられるわけが無いか。


ひとしきり言いたい事を言って疲れたのかお茶を飲む二人。

そこで一つどうしても言いたい事があったので本題に移る前に話す事にした。


「イグノーさんには一つ謝罪をしないといけないんです」


「ん?何だい?」


「最初にお会いした時、僕がインペラの騎士の息子みたいな風を装ったでしょ?その事について謝罪をさせて下さい」


「なんだ!そんなこと謝る必要ないよ!仮に今回見せてくれた真実を言われたって頭のおかしい子どもが何か言っているとしか思わないさ」


「イグノーさんの勘違いを利用したのはやっぱり悪い事ですから。謝らせて下さい」


「分かったよ。謝罪は受け取る。 で、これからの事なんだけどね?」


「はい。僕もそれを話したくてここに来たんです」


ニッコリ笑う俺と頬を引きつらせるエストリー。


「取りあえず頭になる連中を根こそぎ殺し尽くしたので、頂点をたてないと行けないわけですが、僕がここを支配したので今後種族による差別は禁止します」


「あぁ。私もそうした方がいいと思う」


「なので、頭にはその象徴を据えます」


「つまり、人間以外を王にするのかい?」


「はい」


「目星はついているのかね?」


「えぇ。目の前にいますよ?」


「んん?」


「もしかしてこの吸血鬼の嬢ちゃん…か?」


「That’s right!」


「そうらしいですよー…」


「ゼロ君… それは流石に…」


「こいつはこんな見た目してますけど、1,000年以上行きてる吸血鬼です。で、コイツに政治をさせるつもりは無いです。政治担当者は他に用意してもらいます。まずはイグノーさんにこの国の宰相にでもなってもらおうかと」


「え! そ、それこそおかしいだろ!」


「いえ。種族差別が根強い国で差別をしない人が必要です。なのでホウガンに住んでいる人が適任かと思われます。もう組合長はいないので、そうするとこの国について深く知っていて思慮深いのはイグノーさんでしょ?別にイグノーさん一人に任せるわけじゃありません。ご自分で力になってくれそうな人を呼んでくれると嬉しいですね。エストリーは抑止力です。こいつには暴れる奴がいたらそれの掃除を任せようかと思っています」


「うーん… 色々と言いたい事があるんだが…」


「そんな難しく考えないで下さい!僕からの要求は、エストリーを王にする。差別を撤廃した国作り。他国とも仲良くする。こんなモンですよ」


「それが難しいんだが…」


「あ、敵の大将の一人、デルニオーラも政治に参加させますのでそのつもりで。彼は亜人が差別されるこの国を変える為に皇国と手を組んでたそうです。悪い奴じゃないですし、そもそももう戦えませんので、害はありません」


「うぅ! また頭の痛くなる注文を!」


「取りあえず言いたい事はそれです。アレナの王であるカリノフさんも来たら互いに協力関係を築いてもらえるようお願いしますから!エストリーと少し話してみて下さい!じゃあ僕は街を見てくるんで!」


「あ!ちょ、ちょっと!」


「ゼロ君!」


エストリーはともかく、イグノーやゲイルには追いつけないスピードで部屋を出る。

フェリス、ナーサ、ダスラもついてきていた。


「あ、よろしくね!おじちゃん!」


「マジですか…」


そんな二人の声は届かない。


カリノフが来る間の暇つぶしという事で街を散策する。

ヴァーユとヴァルナのせい…おかげで人間がかなり減った。騎士は人間しかなれない制度だったらしい。


別に街は一切破壊していないので市民の生活が大きく変わっているわけではない。

しかし、教皇が魔法を落とそうとした貧民街の様な場所が気になったので足を運んだ。

奇麗な町並みからうっそうとした場所に入る。

喧嘩を売られると面倒ので<無限の罪>を持って歩く事にした。これを目にした奴は結構いるからな。


「あ、アンタ! 教皇を殺した人か?!」


声のした方を向くと粗末な布を纏ったおっさんが話しかけてきた。


「あぁ。皇国に戦争を仕掛けられたゼロと言う。教皇を始末したんでこの国は俺の物になった。よろしくな」


「噂は本当だったのか!おい、皆!救世主様が現れたぞ!」


そう大声で叫ぶと沢山の人間以外の種族が集まってきた。

一気にもみくちゃにされる。


鬱陶しいので<無限の罪>を地面突いて軽い衝撃波を発生させ離れさせる。


「何なんだ?さすがに鬱陶しいぞ」


「す、すみません… 貴方が城でこれから差別をする事は禁止すると言ったのを聞いたので本当なのか確かめたくて」


「それは本当だ。これからこの国は俺の部下で1,000年の時を生きた吸血鬼が王になるしな!」


「おぉ!この国は暮らしやすくなるのですか?!」


「保証しよう」


「人間が反乱を起こさないですか?」


「そう言う奴には国を出てもらおう。この国はもう神が俺の国として認めたんだ。その決定を変えるには俺を殺すしか無いんだが、出来る奴はいるのか?」


「い、いません!」


あちこちで歓声が上がる。


「ちょっと教皇との戦闘があった場所だから気になって寄ったんだが大丈夫そうだな。

これから人間が住むとこに行って宣言してくるから。あ、差別がなくなったからってお前らが人間を虐げるのはダメだぞ?やり返したい気持ちも分かるが、それじゃ立場が変わっただけで根本が何も変わらないからな。納得できなくても理解できるだろ?」


不満そうな表情をしている奴らに申し訳ないという表情をしてその場を去る。


「フェリス。やっぱりイグノーさんとエストリーだと色々と齟齬が産まれる可能性があるからお前戻って間を取り持ってやってくれないか?」


「え〜?! めんどくさっ!」


「頼むよ」


「う〜… 分かりましたよ〜。なんか美味しそうな物買ってきて下さい」


「城にいくらでもあるだろ…」


城に戻るフェリスを見送って、<韋駄天の下駄>で上空から首都を見渡す。

ある区画に豪勢な家が並ぶ地区を見つけた。


「よし。ブラフ。ちょっと音を響かせる魔法を頼む」


そう言ってその地区に移動した。

そこにも中央広場の様なモノがありそこには奴隷に荷物を持たせる奴や、殴っている奴がいた。

その中央にあるマークスの銅像を砕いて着地する。

その場にいたものは突然の俺たちの登場に目を丸くした。

そして<無限の罪>をもったまま俺は話しを始める。


「よく聞け!俺が教皇を殺し、これから新しくこの国を支配する事になったゼロだ!と言っても実質的にこの国のトップに立つのは俺じゃないが。これからこの国で人間は至上の種では無くなる。そのような差別を撤廃する事をここで宣言する。文句がある奴は兵でも率いて掛かってこい。昨日の軍勢を差し向けてやる。貴様ら人間の事は一番良く分かっている。だからお前らと話し合いをするつもりは無い。

従え。以上だ。おい、おっさん!俺に胸くそ悪いもん見せてんじゃねぇ!」


そう怒鳴って奴隷を足蹴にしていたおっさんを蹴りとばす。

鳩尾につま先を叩き込んで動かなくさせる。


「ナーサ!彼に回復魔法を」


「はい。 光よ 癒せ」


「明日から新しい国を始める。今奴隷を持っている奴は解放する事。何か言いたい事があれば王城へ来い。殺してやるから」


ちょうどカリノフが到着したようなので迎えに行く。

人間が住む場所とその他の場所を分けている門を心麗からそのまま頂いた<断界>で斬り飛ばす。

悲鳴が聞こえるが無視して進む。

同じ人間なので逆に容赦をしないゼロであった。


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