閑話9;祭り(後片付け)
結局イシャーナの店に皆が入り浸って明け方近くまで飲み、そのまま店で寝てしまいました。
私はヴァーユに唆されてやったあの行いを忘れたくて大分飲んでしまいましたね…
あの驚いた様子のゼロ様の顔が忘れられません。絶対に少し引いていました。
そしてさらに辛かったのが、ゼロ様のお近くににずっとナーサとダスラがいたらしいと言う事です。
あの二人はゼロ様の専属なだけあって私たちでも詳しい能力は分かっていません。
他の十二天もブラフとイシャーナ以外は気付いていなかったそうです。一体どれ程の<気配遮断>能力だと言うのでしょう…
おっと、今は片付けの時でした。ゼロ様がお手伝いして下さっていると言うのに私が手を止めてはいけません。
軽い二日酔いで痛む頭を我慢しながら装飾を外す仕事をします。
するとラクシャが近寄ってきました。
「なーなー、プリトゥ」
「何ですか?口ではなく手を動かしなさい。これから戦争が始まるのですから切り替えなくてはいけませんよ?」
「わかってるさ。でも、どうしても確認したい事があるんだよ」
「?」
「結局、どのチームの勝ちなんだ?」
忘れていました!!!
「そ、そういえばそんな話でしたね…」
「なんでちょっと動揺してんだ?」
「しかし、全ての出し物をゼロ様と見た者はいません。客観的にゼロ様のご様子を見た者がいないなら自分が一番だ!という水掛け論になるのでは?」
「い〜や!ゼロ様の笑顔の程度の違いは分かる!俺の屋台の飯を見た時の笑顔が一番だった!」
この馬鹿はまた大きな石を投げ込みますね…
ほら、皆集まってきました…
「何言ってんの!チャンとアグニンが用意したお神輿見た時のご主人様の顔見たらそんな事言えないはずだよ!」
「ヤマの格好を見た時のゼロ様の表情は忘れられない…」
「それは意味が違うでしょ!アンタ達が振り回した後に連れて行った私たちのお店でご主人様はすっごくリラックスしてたよ!」
「な、ならば私たちと遊んでいらっしゃった時のゼロ様はとても幸せそうな顔をしていらっしゃいました!」
「騎馬戦は苦笑いだったねぇ…」
女子が姦しく言い合っています。男は男で話し合っていますね…
「皆さん。お仕事はどうされたのです?」
そう冷たい声がして振り向くとそこにいたのはダスラだった。
ナーサとダスラは見た目が殆ど一緒で見分けがつきにくいがダスラの方がクールな気がする。
「ゼロ様を一番喜ばせる事ができたのは誰かって話をしてたの!」
「チャンドラ… まったく愚かな事を。ゼロ様があなた方に優劣をつけられるわけないでしょう。全員がそれぞれ違った祭りを用意した事にゼロ様はお喜びでしたよ?イシャーナとスーリヤもそのお話は聞いていたでしょう?」
「うむ」 「まぁね〜」
「ゼロ様はあなた方が用意した”祭り”その物を楽しんでいらっしゃいました。祭りに優劣はありませんよ?勝敗などと下らない事を言ってないで仕事をして下さい」
そう言って仕事に戻るダスラ。なんか負けた気分だ。
「あ〜あ。まぁ、こんな結果になると思ってたけどね」
「楽しかったから良しとしますか…」
「そう言えば初めてナーサとダスラの戦闘っぽいの見たねー」
「あれ、私たちと同じ位強そう…」
「まぁ、ゼロ様の専属なら当然でしょうけどね」
結局仕事をせずにナーサとダスラの話で盛り上がる。
そして話で盛り上がっている私たちの目の前を袋片手にゴミ拾いをするゼロ様に遭遇した。
「お、皆楽しそうだな」
「ちょ… ゼロ様!何やってるんです!」
「え?後片付けを…」
「主がゴミ拾いなんてダメです!絶対ダメです!」
「主が一番仕事するのは当たり前じゃないのか?」
「すでにゼロ様は一番働いていらっしゃいます!」
「え… そんな事無いと思うけど…」
「あぁ… 主にこんな仕事をさせてしまうなんて…」
「いや、気にしないでくれよ… じゃあ、皆適度に頑張ってなー」
そう言うとゼロ様は袋を持って行ってしまった。
その姿を見て固まる十二天。
「私たちがくだらない言い争いをしている間に主にあんな事をさせてしまうなんて…」
「そうだよ!誰が一番とかじゃないよ!皆でゼロ様のお役に立てればいいんだ!」
「そうだ!頭にあんな仕事させちゃいけねぇ!頭ぁ〜、その仕事を俺に!」
こうしてゼロ様は私たちに最も大切な事を教えて下さったのです。
私達の忠誠は更に上がり、十二天の絆も深まったのです。
そこ、茶番とか言ったら殺しますよ?




