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真理の探究者  作者: しま
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閑話8;祭り(後編)

良い話っぽくまとめたかったけど纏まらなかったよ

「お帰りなさいませ!」


古風な日本家屋に入ったら中がメイド喫茶でした。

しかし見た目は一段高い畳とちゃぶ台という店作りだ。そこに控えるメイドさんたちのミスマッチ具合が半端ない。


「どうなっているんだ…」


「さぁ!こちらへどうぞ!」


頑張ってハイテンションを保つプリトゥに手を引かれ席に着く。


「こちらがメニューになります!本日のオススメは『ご主人様ランチ』ですっ!」


「プリトゥ… どうしたんだ?」


「どうかしましたか?ご主人様?」


おかしい。普段真面目な連中が斜め上のパフォーマンスを披露してくる。何があったんだ?

ここは何も指摘しない方がいいのか?そうに違いない。


「じゃ、じゃあ『ご主人様ランチ』とあ、『あちゅあちゅてぃ〜』を貰おうかな…」


「はい!少々お待ち下さい!ご主人様!」


そう言って奥に消えていくプリトゥ。俺は壁で応援している他のメイドの一人を呼び出した。


「ゼロさ… ご主人様、お呼びでしょうか?」


ご主人様縛りなのか…


「一体ここで何が起こってるんだ」


「え? ご主人様の故郷の喫茶店を再現しておりますが…」


「無いとは言わないけどこっちは少数だぞ?なんでこんな物知ってるんだ?」


「ヴァ、ヴァーユ様の提案でして…」


「ヴァーユ何やってんだ?! おい、ヴァーユは何処だ?」


「オーナーは裏で指導を…」


「店長を出せ!!」


その叫びに反応したのか裏からヴァーユが出て来た。


「ゼロ様、いかがなさいました?何か問題でも?」


「問題はない。しかし、違和感しかない!なんでこんな落ち着いた雰囲気の店でメイド喫茶なんだよ?!」


「ゼロ様はお若いですから枯れた雰囲気はお気に召さないかと思いまして」


「だったら内装も変えない?」


「若者が行く場所は分かりません故…」


「この世界にもこんなメイドさんがいっぱいのお店あるの…?」


「ございますよ?」


「マジかよ!!」


ちょっと行ってみたいなんて思って無いんだからね!


「お待たせ致しました〜」


普段はクールで笑顔も殆ど見せないプリトゥがニッコニコでプレートとお茶を持って来た。


「こちらが『あちゅあちゅてぃ〜』です!今日の茶葉はキャンディになります!」


「あぁ… あれ、セイロンの中でも飲みやすいよね… そこはマトモな物用意するんだ…」


ただ名前が可愛いから用意しただけだったりする。


「そしてこちらが『ご主人様ランチ』です!萌え萌えオムライスにとろとろチーズハンバーグ、きゅうりの浅漬けさん、メイドとプッチンなプリンです!」


「一つ超渋いの混ざってね?」


「キュウリでさっぱりするそうです! 萌え萌えオムライスにはご主人様の為に絵をお描き致します!」


「やっぱりやるんだ… じゃあ、十二天を描いてくれ…」


「…え?」


「十二天」


「この面積… いや!かしこまりました!暫くお待ち下さい!」


こうして無茶振りに答えようと頑張ってくれたプリトゥ氏。ハンバーグと浅漬けを食べて待つ事10分後に現れたのは一枚の芸術だった。

このオムライスの上に描かれた今にも戦いに向かいそうな十二天を見て俺は感動する。


「凄いな!お前、天才だよ!」


「お褒めに預かり光栄です!」


「もったいなくて食べられないわ」


「いや!そこは食べて下さい!私、ゼロ様に食べられちゃうんですね… うふふ…」


「まぁ、頼んだんだから食べないとダメか」


こうして美味しく食事を頂いた。メイドさんとのゲームもやったがゲーム内容が金比羅船々と投扇興だ。これはメイド喫茶でやるゲームではない。お座敷遊びと言うのだ。

そんなヴァーユとの時代のズレを感じつつも楽しい時間は過ごせた。


「ありがとなー 楽しかったよ」


メイド喫茶((いにしえ))を出る。


「二人ずつに分かれて出店をやってるんだな。じゃあ後行ってないのはスーリヤ、イシャーナの所とラバナとヴァルナの所か…」


そう言って見上げた空に二匹の龍が幕を持って飛んでいた。

そこに書かれていたのは


『戦闘街に集合!』


だった。


全員が新しい十二天の動きとその垂れ幕に興味を示す中、ラバナの声が響く。


『皆さん、お祭り楽しんでいますか?!これより皆さんで参加できるイベントを行いたいと思います!その名も喧嘩祭り!喧嘩しましょう!』


(あぁ… 十二天の中で一番暴力が嫌いな子がこんな事になってしまった… 俺がいない間に何があったのか)


『といっても十二天が喧嘩するわけにはいきませんし、殺し合いなんて以ての外!なので、今回のチームから部下を4名選出して騎馬戦やります!』


「はぁ?騎馬戦って… 盛り上がるのか?」


『場所は戦闘街の闘技場!逃げるなら逃げても良いですよ!僕たちの不戦勝ですから!これで勝利すればゼロ様に褒めてもらえるでしょうしね!』


そんなゲリラで惹かれないイベントに誰が集まるんだ?そんな安い煽りに反応する奴いないだろ。

俺は誰も来なかった時に二人を慰める為に闘技場に向かおうかと考える。

しかし…


「舐めんなよゴラァァァ!」


「先ほどの失敗を回復するチャンス!」


「ヤマ!それ脱ぎなさい!急ぎますよ!」


「燃えるぜぇ!!」


どいつもこいつも闘技場に向かって走っている。


「なんだ、これ?」


そう呆然と呟く俺に腹をパンパンにした乙女共が現れた。


「ご主人様!面白そうです!私たちも出れませんか?!」


「エストリーと姐さん、それにお兄ちゃんのメイドさん二人で行けるよ!」


「お前らもやりたいの…?」


「「はい!」」


「じゃあ、お願いしてみるか… ナーサ、ダスラ!!」


「「はい」」


「うわ!いつの間に!」


「俺の為に騎馬戦に参加してくれるか?チームは目の前の乙女共とだ」


「「かしこまりました」」


「ラバナに俺がチームを出すと伝えろ!これくらいのサプライズがあった方が盛り上がるだろ!」


と言う事で俺たちも闘技場に向かう。

闘技場にはボヘミアの殆どの連中が入っている。どんだけ盛り上がってんだ…

俺はラバナに近づいていき話しかける。


「おい。ラバナ」


「あ!ゼロ様!これから盛り上がる死闘が始まりますよ!」


「その死闘、俺のチームも出してもらいたい!」


「え…?誰が出られるんです?」


「ナーサ、ダスラ、フェリス、エストリーだ」


「ふむ… ゼロ様が出ないのであればかまわないですかね… 面白そうですし、なによりゼロ様が参加されると盛り上がりますし!ナーサとダスラが戦っている所を見た事が無いんですけど、どれほどの強さなんです?噂によると十二天に匹敵すると聞いた事があるんですけど…」


「問題ない。オシトヤカな子達だ」


「わ、分かりました…」


こうして始まる騎馬戦。俺が参加するとあって更に盛り上がる会場。


『さぁ!始まって参りました!己の自慢の配下を選出しての騎馬戦大会!勝者は…栄光を手に入れる事でしょう!ルールは簡単!上の騎馬係を地面に落としたら勝利です!皆さん地に足つけた戦いをして下さいね!あと、騎馬係はスキルを使って浮いたり瞬間移動しても地面に落ちたと見なしますよー。それでは出場者は前へ!観戦者は席へどうぞ〜。実況はヴァルナ、解説はラバナがお送りします!』


こうして始まった騎馬戦大会。周りの奴らと俺のテンションの差がヤバい。

十二天が集まっている場所に俺も行く。そこにはイシャーナの姿が無かった。


「あれ?イシャーナは?」


「いつご主人様が来られてもいいように待っているそうですよ?」


「そうなの?」


「はい」


「じゃあ、ここの決着ついたら行こうかな… 今度は案内してくれるか?」


「はい!」


『それでは皆様、騎馬は組みましたね?!それでは… 始めぇ!』


うおぉぉぉぉぉぉ!

ぶっ殺せぇぇぇぇ!!

伯爵をやれ!

おい!あいつ沢山のコウモリに分かれたぞ!あれ反則だろ!

っく!防御魔法で近づけない!あれも反則だろ!

飛び道具使ったら騎馬戦の意味ないだろ!

おい!あいつ戦車に変化しやがった!そういう競技じゃねぇから!



そんな、勝てばよかろうなのだ!の精神でメチャクチャな騎馬戦。

あ、上に乗ってるナーサが戦闘装束に変えた…

ダスラも自分の武器を装備しやがった… 相手は十二天じゃないんだから死んじゃうぞ?



もはやただの戦場と化した正に喧嘩祭りと呼ぶに相応しい光景を見ながら俺はスーリヤに話しかける。


「スーリヤ… ちょっと、疲れたな…」


「では、イシャーナの所にご案内します…」


本気で部下を応援している他の十二天を置いてその場を離れる。

そしてスーリヤに案内されて向かった先は城だった。中庭近くに見た事の無いこじんまりした小屋が設置されている。


「アレです。少しお待ち頂けますか?」


「あぁ。分かった」


城の上から祭り会場を見下ろす。もう暗くなっていて提灯の淡い光と戦闘街からの火災が奇麗に光っていて幻想的だ。火災を起こすんじゃないよ。ボーッと見ていると声がかかる。


「お待たせ致しました。ゼロ様」


後ろを見るとネタじゃない品のいいメイド服に身を包んだスーリヤがいた。


「似合ってるな。お前が給仕さんのか?」


「はい! どうぞこちらへ!」


招き入れられて入った場所は小洒落たバーだった。

バーテンのような服に身を包んだイシャーナがフライパンを振っている。


「いらっしゃいませ。主。どうぞカウンターへ。スーリヤ、これを頼む」


「おう。落ち着く雰囲気だな」


「他に無い出し物を用意しました。ご注文は?」


「おまかせで頼む。イシャーナが出す物に外れはないだろ。飲み物と軽い食べ物をいくつか。なんか落ち着くものがいいな」


「かしこまりました」


すぐに用意されたのは葉野菜のサラダと生ハムだった。そしてショットグラスに酒が注がれる。


「酒… 初めて飲むな。なんか消毒液みたいな匂い…」


「ふむ。初めてでしたか… では、カクテルにしましょう」


そう言ってシェイカーを出し色々な飲み物を入れてシャカシャカするイシャーナ。

超カッコいい


こうして不思議な色をした飲み物と共に俺は生まれて初めて晩酌をした。

静かな空間でゆったりとした時を過ごしていると遠くから歌が聞こえてくる。


「闘技場の連中が歌っているようですね」


「ふ〜… 今日は一般的な祭りから始まって学園祭に体育祭に最後は合唱祭か。みんな色々な祭りを用意してくれたもんだ」


「楽しんで頂けましたか?」


「そりゃもちろん。普段見れない皆が見れて俺は幸せだったぞ?」


「それは皆喜んでいるでしょう」


そういえばブラフに貰った景品とやらを開けていなかったな。

俺はポケットに入れた小さな包みを開く。

中に入っていたのは一発の弾丸とメモ用紙だ。


『この銃弾は転移弾です。今後の戦闘にお役に立つのではと思いましたので送らせて頂きます』


「は…?」


祭りなんだからもっと祭りっぽい下らない景品かと思ったら本当に使える物を送ってきやがった…

やっぱり皆戦うの大好きなんだな、そう思いつつ、イシャーナやスーリヤと会話を楽しんでいると店の扉が勢いよく開いた。


「ご主人様発見!」


フェリスを先頭に十二天にエストリー、ニーナが入ってくる。

一気に騒がしくなりイシャーナがイラッとした顔をするが俺はこれもこれで楽しいと思う。


初めて人間らしく話すコイツらと出会ったが愉快な性格でよかった。

これなら今後の戦いでも上手くやっていけるだろう。これ以上の仲間を見つける事なんて絶対にできないな…

そんな事を思いながら酒を飲み、再び歌ったり楽器を演奏しだした仲間を見て微笑んだのだった。


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