閑話7;祭り(中編)
新しくブックマークして下さった16名の方、本当にありがとうございます!
各々が自分たちの出し物の為に準備を進める。
しかし、祭りは全体を彩る装飾が必要だ。提灯とかぶら下げて太鼓と笛の音が鳴らないと雰囲気がでない。
その事に気付いたラクシャはまずブラフに連絡を取る。そして十二天に連絡を入れて再び集まる事になった。
「で、装飾ですか…」
「そうだ。それは派閥関係無しで祭り全体を盛り上げる為に必須だ。各自装飾要員を出してもらわないと」
「私に配下はいない」
「イシャーナさんお帰りで〜す!」
「私のお友達はみんな龍だけど大丈夫?」
「手先が器用な龍は…?」
「重い物とか持ってもらいましょう」
「基本プリトゥさんと僕の配下を使う事になりそうですね…」
「細かい所はそうなるかも知れませんが大雑把な仕事は大丈夫でしょう。ではそちらの現場監督にはネロとビアンカに任せましょう。任せましたからね」
「えぇ!?」「お任せ下さい!」
「では各自装飾の仕事に向いていそうな者をここに派遣する事」
こうして必要な事があれば集まり準備を進める。
「準備は進んでいますか?」
「ダスラ… ゼロ様は今ご歓談中ですか?」
「今ゼロ様は城の中を新たな仲間に案内しています。先ほどまではご自分のお部屋でお茶を飲んでいらっしゃいました」
「! 私も部屋に入れて頂いた事が無いのに!」
「これからはその機会が頻繁に訪れると思いますよ?ゼロ様はお戻りになられてからお変わりになられました。貴女も感じたでしょう?」
「えぇ… 不遜な言い方だけれど私たちの場所まで下りてきてくださった感じがするわ。今までは一つ上の世界に存在されていた、という感じだったけれど」
「そう。それです!」
「私たちと同じ場所で同じように喜んで下さるのが嬉しくてたまらない。もうすぐ皆の準備も終わるはず。そうしたら遣いを出すから」
「分かりました。お願いします」
ダスラが一礼して城に戻る。
あの二人はゼロ様の専用護衛兼世話係だ。ぶっちゃけ羨ましすぎる。それは皆が思っている事なのだ。
「さて、そろそろ良い時間ですし。仕上げをしましょうか。ヴァーユ!ここの言い方ですが…」
皆が自分の出し物に忙しくて他の連中が何をしているのか見ていない。
全員が他の奴らは何をするんだ?というワクワクを抱きながら、それでもゼロが一番感動してくれるのは自分たちと信じて仕上げを進める。
最初に集まった場所に再び集結した十二天。というのもゼロが全員噴水の前に飲み物を持って集まるよう言ったからだ。ナーサとダスラ、それに新しい仲間の3人もいる。
ここにいないのはゼロだけだ。
少し待っていると上空からゼロが降ってきた。そして空中で止まり乾杯の音頭を取って祭りが始まった。
皆が準備に走るのをゼロが期待を込めて見ているのが分かる。
(き、緊張してきますね… そういえば他のチームが何をしているのか全く見ていませんでした)
ゼロが最初に向かったのは予想通り噴水に一番近いラクシャの出店だった。
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祭り開催の挨拶も終わったので俺も祭りを楽しむ事にする。
フェリスとエストリーは人ごみの中に突入しておりニーナと二人で行動する事になりそうだ。
「では母様、行きましょうか。絶対に楽しいですよ!」
「こんな変わったお祭り見た事無いわ… 賑やかで美味しそうな匂いが立ちこめてる」
「じゃあまずはその匂いの元へ行きましょう!」
ニーナの手を取って屋台を目指す。すれ違う奴らから「おかえりなさい!」と言われるので「ただいま!」と元気よく返事をして歩く。そしてラクシャの前に来た。
「頭!ようこそ俺の屋台へ!何でもありますぜ!」
「おぉー!懐かしい匂いがする!これぞ祭り!って感じだな!」
「ありがとうございます!ご注文は?!」
「じゃあ、それぞれ一種類ずつくれるか?出来た物から食べていく」
「お一人分で?」
「そうだな。母様と分けるよ」
「分かりました!おい!頭がいらっしゃった!俺たちの料理を全種類ご所望だ!」
ありがとうございます!!
息の合った大きな声が響く。
数分待って抱えるのが大変な程の料理を渡された。
「ありがとな!ラクシャ!頑張ってくれ!」
「はい!」
屋台飯を食べながら歩く。
ちょっと落ち着ける場所が無いかと思っていると遠くから大きなかけ声が聞こえてきた。
ずいぶん遠くだが何か大きな絵がこっちに向かって進んできている。
「あれは… ねぶた、か?」
青森の有名な祭りの名前を思い出す。
気球みたいな物も浮かんでいて大小10を超える神輿?がこっちにやってきた。
なんか十二天や俺のデフォルメっぽい見た目である。
ひと際大きい神輿に乗るのはアグニとチャンドラ。
俺を見つけると飛び降りて俺の前に来た。
「ご苦労様です!頭!!」 「チャン達の御神輿凄いでしょ!?」
「おう… すげぇな…」
「頭の神輿に頭も乗って下さい!」
「一番力入れて作ったんで〜す!」
「面白そうだ!」
ニーナを抱えて俺の神輿に飛び乗り歓声の中人ごみを進む神輿。
「おい!インドラ、マズいぞ!もっていかれちまう!」
「オッケー!こっちもやるか!」
神輿で揺られていると目の前の空に一筋の煙が立ち上る。
「次はなんだ?」
ッドォォォォォン!と凄まじい音と共に色とりどりの光の花が咲く。花火だ。
「おぉ!花火だ!ここで攻撃以外の爆発が見れるとは!」
その後も次から次に花火があがる。一体幾つ用意しているのか。
「あれは… インドラの出し物か… 凄いな」
「凄い… こんなに奇麗な物見た事ないわ…」
ニーナも見入っている。
花火を見ながら街の端まで行き、そのまま地面に降りてアグニとチャンドラを褒めてまた街に戻る。
その先には出店の食べ物を口にも両手にも持ったスーリヤがいた。
「あ、スーリヤだ」
「あ!ご主人様!」
「楽しんでるか?」
「それはもう!ちょっと一緒に回りませんか?!」
「いいぜ」
「わ〜い!」
スーリヤも加えて祭りを見て回る。
「そういえばスーリヤは何かやるのか?」
「はい!イシャーナと一緒に準備しましたよ!」
「イシャーナと。それはまた変わった組み合わせだな。どこで何をやってるんだ?」
「秘密で〜す!ご自分で探してみて下さい!ヒントは… 祭りの喧噪にお疲れになった時に行きたい場所です!」
「ふむ… マッサージとかかな?」
「どうでしょうか?!」
「じゃあ言われた通り疲れたら探してみるかな… でも大体の場所教えてくれないか?探して疲れちゃったら元も子もないだろ?」
「確かに… あっちの方です!」
「なるほど? 絶対に行くよ」
「お待ちしています! あ、ここ入ってみましょうよ!」
「ん?なんか怪しいな…」
スーリヤが指を指した場所は黒い天幕にが被さったテントだった。
それをくぐって中に入る。すると転移魔法が発動した。
「ここは… 学校? ブラフの魔法か…」
前の前の光景は学校だった。廊下がまっすぐ何処までも伸びている。
ブラフとヤマの配下が道を行き来していて俺に挨拶をしてくる。
「なんですか? ここ」
「学校って呼ばれる場所だ。学び舎だな」
「勉強させられるんですか?」
「祭りの中で補習とか泣いちゃうな」
「ようこそ!ゼロ様!あ?スーリヤも一緒ですか?」
俺たちの目の前に突然現れたのはブラフだ。
「やっぱりここはお前が作ったのか」
「はい!ヤマとの合作です!テーマは学園祭! ご存知ですか?学園祭」
「あぁ。懐かしいな… 逆になんでお前が知ってるんだって疑問があるが」
「では、これを」
そう言って一枚の小さい紙を渡してくる。そこには線で4つに分けられた紙とそれぞれに行く場所を指定する文句が書かれている。
「スタンプラリーにしか見えん」
「その通りです!さすがゼロ様!私達の出し物はこの転移魔法が大量に設置された空間で4つのスタンプを見つける事です!見事全て見つけると!?」
「見つけると?」
「外に出られます」
「監禁された!」
「冗談ですよ。素敵な贈り物を用意させて頂いております」
「3人分〜?」
「最初はゼロ様だけに送る予定でしたが、ちゃんとお二方にも用意しますよ」
そう言って更に紙を二人に渡す。
「では、お楽しみ下さい!」
そう言って消えるブラフ。
「じゃあ、スタンプ見つけますか。え〜っと、最初の場所は… 『恐怖の館』?」
「まずそこに行きましょう!」
「え?私そんな場所指定されてないわよ?」
「「え?」」
3人の紙を見比べると指定されている場所が違うではありませんか。
「じゃあ、別々にやりますか」
「えぇ?!ゼロ、私を置いてっちゃうの?」
「まぁ、見た目怖い奴多いですけど大丈夫ですよ。これもゲームの一環ですから。ね?」
「むー…」
納得いかなそうなニーナを説得して別々に歩く。
部屋ごとに看板が出ているので何処で何がやっているかは分かる。
「じゃあ、スーリヤ。取りあえず恐怖の館とやらに行ってみるか」
「はい!」
スタンプラリーに無いからと言って行かないのもどうかと思うので一つ一つ見て回る。
4つ程見たら恐怖の館とやらに着く。
「じゃあ入るか…」
「はい!」
扉をくぐると転移魔法が発動。光の先はマグマが溢れる石造りの要塞だった。
「……クッ○城にしか見えない。ある意味恐怖の館だな…」
目の前の溶岩から幾つもの火の玉が出ている。完全に狙っているな。
おそらく進んだ先にスタンプがあるのだろう。ゆっくりやる事でも無いのでサクサク進む。
なんか上からヤマの部下が頭を下げながら鉄球とか落としてくるんだが。止めて欲しい。
スーリヤも最早死んだ目で進む。
すると遠くに緑色の何かが見える。
「おいおい… 勘弁してくれよ…」
そこにいたのは緑色の亀の着ぐるみを着たヤマだった。
もはや何も言うまい。後ろのスイッチを踏めばこの橋が落ちるのですか?
「がおー… 私を倒せば貴様らの望む物が手に入るであろー」
「「……」」
「スーリヤ」
「はい」
「俺のカード渡すから押して来てくれ」
「続けるんですか?」
「流石にやりきらないと可哀想だ。部下が…」
「確かに…」
もの凄い疲労を感じつつもスタンプラリーはクリアしてやった。
ブラフが考案したであろう3次元の巨大なパズルみたいな物は面白かったが、ヤマのセンスは残念と言わざるを得ない。スーリヤにマグマに突き落とされた時も右手でbを作って沈んでいった。
「おめでとうございます!一等賞です!」
全てのスタンプを集めた俺になぞの袋を渡して来たブラフ。
ちょっと開ける気にならなかったので礼を言って外に出る。
「どこかで休みたい… スーリヤのとこに行ってみるか…」
スーリヤが指を指した方向に向かって歩く。
1分程歩くと目の前に懐かしい日本家屋が見えた。
「あれか?」
そう言って中に入るとメイドさんが大量にいた。
『お帰りなさいませ!ご主人様!』
建物の見た目とのギャップ、キツすぎませんか?




