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真理の探究者  作者: しま
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アレナでの戦争

十二天が格好よく戦う場面は今の段階では用意しません。

格好良い戦いは蹂躙ではなく命を賭けたギリギリの物にこそあると思うので。

一瞬で終わったホウガンの戦闘。今ラクシャ達は首都に向かって移動中である。

一人神がどうこう言って特攻してきた奴がいたが、ラクシャの目身見えない程早い動きで首をへし折られ死んだ。それ以降上から配下に見張らせ、きびきび歩いている。

ホウガンにはゼロが後で来ると伝えたので街には入っていない。イグノーは呼んだが。


「おい、ゲイルとか言ったな。お前、頭と知り合いみたいだが、どんな関係だ?」


「えっと… 恐れ多いんですけど、一応師匠やってました」


「マジか!頭も色々大変でいらっしゃったみたいだし、お前が頭を支えてくれたんだな!」


「いや、どっちかって言うと支えられてましたね… 今回もまた命救ってもらっちゃいましたし」


「頭はお優しいからな!今回も敵を殺すなって言われたからあんなめんどくせぇ方法取ったんだしよ」


「二人しか殺さないなんてビックリだよ!てっきり煽られてキレて皆殺しにするかと思ったのに!」

本当に意外に思っていたラバナが感心して言う。仕事が減ったのも嬉しい誤算だった。


「頭を馬鹿にしたらそうするかも知れねぇけどな。あと、一番煽り耐性ないのはあの爺さんだ。一番キレたら怖いくせに頭を少しでも悪く言った奴は俺たちでさえキレられるからな」


「あ… 確かにそうっすね… ヴァーユさんのとこが一番敵多いみたいですし… 絶対すげー死にますよ。兄貴」


「絶対そうなるな…」



彼らの予想はズバリ的中し10万近い騎士のほぼ全てを殺してしまい、戦争終了後ヴァーユとヴァルナはゼロに少し怒られてしまうのであった。


———————————————————————————————————


場所は変わってアレナ共和国。カリノフは今自警団を中心として作った国軍をグラジオラスから少し離れた場所に配置していた。

ゼロの手紙には戦う必要は無いと書いてあったがだからと言って、はいそうですかと何もしないわけにはいかない。

しかし圧倒的に人数が足りない。やはりゼロの援軍頼みになってしまうのは避けられないが、それでも出来る限りの事はやろうと思ったのだ。ガルバルも隊長として立派にやってくれているし、テイニーも最近はしっかり自分の考えを述べるようになった。

ゼロからの手紙を二人に見せた時、二人は呆れていた。

そして、何もしないわけないだろ!と怒ったのだ。これ以上おんぶに抱っこでいいはずが無いと。


兵を配置して数日、もう既に敵が現れてもおかしくないのに一向に皇国の騎士が見えない。

カリノフはおかしいと感じ、足の速い密偵を数人皇国に向けて出発させた。



3人の密偵はアレナの砂漠を走る。コイツらは戦闘能力はあまり無いが足の速さだけは他に並ぶ者がいない程の実力者だ。以前ゼロがシェリルと辿った砂漠を半日で走り抜け既に見晴らしの良い草原に入ろうとしている。

そして一陣の風が草原を吹き抜けた時、密偵は微かな血の匂いを感じ取った。

しかし目に見える範囲には何も見えない。不思議に感じて足を止める密偵たち。


「おい… 血の匂いがしないか?」


「あぁ。俺も感じた。しかし何かの死体は見えないぞ?」


「この先に大量の皇国兵の死体があって、その匂いがこっちに流れているんじゃないか?」


「馬鹿か。ここに出てくるのはせいぜい盗賊くらいでモンスターだって出て来やしない。何万の大群が簡単にやられてたまるか。さっさと行くぞ」


そう一人が笑い飛ばし再び走り始めた。

しかし走るにつれ血の匂いは強くなっていく。これは本当に皇国の兵に何か大きな災害でも降り掛かったのかと普通ならあり得ない考えを持ち始める。

そして10分程走った所で、彼方に真っ赤な草原が出現した。


「おい… 何だ、アレ」


「見渡す限り血と肉片が散らばってやがる…」


「悪夢だ… どうする?近づくか?」


「化け物の姿は確認できないし。きっと皇国の奴らだ。見に行く以外ないだろ」


周囲を警戒しながら死体の絨毯に近づいていく。

そして全容が見えた時、3人は言葉を失って立ち尽くした。

たっぷり1分程も視界いっぱいに広がる死体の山を見渡し、ようやく一人が呟く。


「一体何が起こった…?甲冑は全て皇国の物だ。やっぱりコイツらは皇国兵だぞ」


「何人死んでるんだ?2、3万じゃきかないぞ…」


「それより死に方がおかしい。やっぱり人がやったんじゃない。殆ど全員鎧ごと砕けてやがる…」


「まるでドラゴンの大群にでも襲われたみたいだ…」


「いや。ドラゴンなら火を使う。どちらかと言えば龍だろ」


「龍なんて現れたらそれこそ神の怒りが落ちたって事だぞ?」


「まさか… あの闘技大会の優勝者が…」


「おいおい… それは流石に無いだろ」


「取りあえず、これをカリノフ様にお伝えしなければなるまい。今後の対応も含めてな」


「今後って… 攻めて来るはずの皇国兵が皆殺しになってるんだぞ?この後攻めて来るのはコイツらをこんなにした化け物ってことだ。勝ち目なんか無い」


「そんなこと言っている場合じゃ無いだろう!!早く戻るんだ!!」


こうして密偵は再びアレナに向けて走り始めた。そんな時、彼らの遥か上空、雲の上から数匹の龍が彼らを見つめていた。ヴァルナの配下である。

龍は言葉を話す種であり、QTではヒトよりも高位な位置づけだ。今回の戦争の話はゼロから直接聞いているので敵味方も自分がすべき事もヴァルナ以上に理解している。


『さぁ、保護すべき国の斥候が状況を確認し戻ったようだ。ヴァルナ様に報告するか…』


そう考え、ヴァルナに念を飛ばしたのだった。


————————————————————————————————————


取りあえず密偵の結果待ちで今日も特に何もないままカリノフは自分の屋敷に戻り自室に入る。

自室の扉を開けたところ、そこに一人の老人と少女が立っていた。

老人はカリノフを見ると軽く微笑み「そなたがカリノフじゃな?」と問いかけ、少女は「ちはー」と気の抜けた挨拶をしてくる。


カリノフはゲイルと同様にその二人が神である事を悟り、騒ぐ事無く話しかけた。


「はい。私がアレナ共和国王のカリノフ=ラクローサでございます。あ、あなた方は神でいらっしゃいますか?」


「左様。許しも得ずに勝手に部屋に入って申し訳ないの」


「い、いえ!それは別にいいのですが… あ、申し訳ございません!神とお話をさせて頂くのは初めてでして… い、今何か飲み物をお出しします!!」


「いらんいらん。誰にも見られ無いように入ってきたのに茶など入れさせては意味が無かろう。すぐに帰るから何もせんでいい」


「は、はい。で、では… あなた方は一体… もしやゼロ君のお味方ですか?」


「左様。我らはゼロ様に仕える僕よ。このアレナに侵攻する者を無力化する命を受けておった」


「!! か、彼は本当に神を従える者だったのか!」


「それでのぉ?ここに来る敵なんじゃが… すでにいない」


「と、言いますと?」


「ここに来る途中で見つけての。最初は兵を引くように言ったんじゃが儂らを神を騙る悪魔などと意味の分からぬ事をまくしたて、仕舞いにはあの愚かな司令官、主を侮辱しおった…」


「だから、殺しちゃった。み〜んな」


「み、皆殺し… ですか?」


「我らを侮辱したからの。数は10万程か。のうヴァルナ?」


「うん。そのくらいだね!一応死体は残してるよ。さっき貴方が送った部下がその死体を見つけたみたいで今急いで戻ってるらしいよ。それで報告すると思うから、その間に私たちで死体焼いちゃうね!いきなり死体が消えてても驚かないで。でも、じいちゃん。主様に絶対に怒られるね」


「あぁ… 後悔はしていないが反省はしている、というヤツじゃな。ついカッとなっての。でも兵だし抵抗してきたから問題はそれほど無いと思うがのぉ… 一応お主も兵を用意したようじゃがもう不要じゃ。お主の国の戦争はもう終わっておる。お主達はこれから敵の城に我らと向かってもらうぞ」


「敵の城… グルガストにですか?」


「左様。今敵の城には主と他の僕が向かっておられる。儂らがつく頃には城も落ちておるじゃろう」


「…もう、何が起こっているのか。私のキャパシティーを完全に超えてしまっています」


「取りあえず今日はもう遅いので明日、最低限の兵を引き連れここを出発する。儂らも一緒に行くので心配はせんでいい」


「よろしくお願ーいしまーす」


「では明日、城の前にいてくれ」


そう言うと窓が突然開き風が入り込んできた。咄嗟に腕で目を覆い再び前を見ると既に二人の姿は無かった。



翌日、朝早くに密偵が戻り草原で見た物を報告してきた。

事前に本人から教えられていたので逆に密偵を落ち着かせる。

さらに最低限の30人程の兵を城の前に召集しこれからインペラ皇国に行く事を告げる。


「おいおい。カリノフ様よ。何考えてるんですかい?30人で皇国とか意味が分かりませんよ!しかもシェリル様も動向させるなんて!」


そうもっともな意見を言うのはガルバルだ。


「大丈夫だ。我々にはゼロ君が寄越してくれたこれ以上ない頼もしい味方がいるのだ」


「あの獣人のお嬢ちゃんですか?」


「いや、それ以上だ」


「はぁ?それ以上って。想像つかないんすけど…」


そう話していると街が騒がしくなった。声に気付いて街の方に目を向ける城の前にいる者達。

そこにいたのは龍の集団だ。


「龍だ… 本当に龍がいる」

そう密偵の一人が呆然と呟いた。


そしてそんな一行の目の前に昨日の二人が飛び降りてきた。


「おはよーござーまーす」

「おはよう。準備はよろしいか?」


「お、おはようございます!準備はできております!皆!出発するぞ!お待たせするな!!」


カリノフが今までで一番大きな声で部下を急かす。

突然の神の出現に意識が飛びかけていたガルバル達は勢い良く返事をした。


今までの皇国との戦争を思って感じていた緊張よりも味方である神が現れた事の方がずっと緊張することであったのは言うまでもない。



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