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真理の探究者  作者: しま
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首都 グルガスト

先行隊が出発して二日、既にグルガストは眼前に迫っている。


「よし、では始める。前に行った通りグルガストに入ったらボヘミアが皆に見える高度まで下がる。飛行魔法が使える奴は中に入ってくるかもしれないがここに残っている奴らで対処しろ。ここにいれば楽だと思った奴〜。一番重要だからね?さぼってここ傷つけたら… わかってるよね?」


ヤマとチャンドラが目を逸らした。


「ご心配なく。ヤマの能力に抵抗出来る者がいるとは思えません。最早戦闘街の入り口にヤマだけ置いておこうかと思っています」


「ふざけんなよ!!」


「うお!ヤマ!そんな大きな声出せるのか!」


「戦闘街から敵を出す事はありませんのでご安心下さい。皆で迎え撃つつもりです」


そう言ったのはプリトゥだ。皆で迎え撃つの?ヤバない?


「頼もしいな。じゃあ俺たちの名を轟かせてやろう!!」


この天空都市が高度を下げるというのはQT史上初めてのことだったりする。

出来るのか俺も分からなかったのでブラフに聞いたら出来るって言われたのでやってみることにした。


「おーおー。初めて首都に来た訳だが、そんなに奇麗じゃないな」


「はい。街の者の目に活気が全くありません」


「酷いなー。こんな国に加担するんじゃなくて一緒に滅ぼした方が絶対よかっただろうに…」


そうデルニオーラに対して呟く。


「さぁ!俺たちは王城に直接出向く。インドラは街で力を見せつけてやれ。神々しく派手にやれよ?フェリス、エストリー、イシャーナは俺についてこい」


「はい!」「頑張るぅ〜」「主の仰ったそこそこの強者との戦闘…期待している」


「イシャーナ!自分の楽しみよりゼロ様の安全を優先しなさい!」


「主は我より強者だ。弱者が強者の心配をするなどそれこそ礼を失した行いである」


「ゼロ様のお力は万全ではないのですよ?!お姿も変わられているのに」


「まぁまぁ。俺は大丈夫だ。イシャーナには約束を守ってくれれば自由にしろと言ってあるから」


「ゼロ様がそう仰るのであれば… ご無理は決してなさらぬようお願い申し上げます」


「あぁ。大丈夫だよ。それよりここの守り、しっかりな。じゃあ行ってくる」


行ってらっしゃいませ!ご武運を!


そう皆の声を聞き両方に乙女共を抱えて走り出す。ちなみにイシャーナの移動は空間魔法による瞬間移動なので動いてない。


「さぁ、戦争だ!初めての攻めだぜぇ!ワクワクします!」


「ヒャッホー! 敵はクズばっかりに決まってます!」


「こんな凄い事に参加するなんて長く生きてて良かったよー!」


相手の本拠地どころか天守をまず落としに掛かる作戦だ。相手は何も出来ないはず。気をつけるのはギルド武器だけだ。マークスは死んでいるので向こうのギルド武器は使えないはず。デルニオーラのギルド武器も大したこと無いし。<無限の罪>を使わなくて済むんじゃないか?


———————————————————————————————————


「た、大変です!謎の巨大な浮遊物が空から出現しました!!」


戦闘がアレナで行われこちらには一切被害が出ないと思って油断していた首都の上層部は最初その言葉の意味が分からなかった。だって敵は個人のガキと国としての体を成していない国なのだ。楽勝だと思うのも分からなくはない。


「巨大な浮遊物?何を言っているんだ?どこに見えたのだ」


「グルガストの端です!そこですらしっかり見えるので相当の大きさがあると思われます!」


「何だ?アレナにそんな物があったのか?」


「違う…」


そうデルニオーラは呟く。


「これはアレナの物じゃない。ゼロだ… ゼロが直接首都に攻めてきた!!」



どんどんこちらに近づいてくるにつれ浮遊物の正体が分かってきた。

アレは街だ。城がある事から国なのではという声が上がる。


「ど、どういたしましょう?!」


「狼狽えるな!今すぐ迎え撃つ準備だ!鐘を鳴らして戦場になる事を知らせろ!兵を集めるんだ!くそ、一体何なんだ!あんなモノがあるなんて聞いていないぞ!」


会議場が軽いパニックに陥っている中デルニオーラはため息をついた。


(なんて事だ… これが彼の余裕の正体か… まるで神の居住じゃないか。あんな規模の国ならギルド武器を持っているはず… 勝てるか…?)


「早速危機的状況になったので僕の切り札を持ってくる」


そういって周りの者を押しのけ会議場を出る。恐らくゼロは自分の城の上から攻撃を加えるはずだ。被害が広がらない内に対処しなければならない。


———————————————————————————————————


デルニオーラが勘違いをしている間、ゼロはひたすら街の上空を駆ける。

街の住人には何も見えていない。そんな時大きな鐘の音が鳴り響いた。


「か、鐘の音が聞こえる気がしますー…」


風纏の速度に最近慣れてきたフェリスがそう言う。


「攻められた事を察知して街の住人と騎士に伝えてんだろ。遅すぎるんだよなぁ…」


城に近づくにつれ沢山のドクロマークが浮かんでいる場所が見えてきた。


「お!殺害対象発見!そのままダイナミックおじゃましますかますぞ!」


「なんですか、それ?」


そうフェリスが呟いた時、ボヘミアの方で雷がゴロゴロいう音が聞こえた。

思わず停止して後ろを見る。


そこには沢山のペガサスに引かれた戦車とそこに乗っているインドラ、その部下が現れていた。

インドラの配下は全て見た目が神々しい者をチョイスしている。

ようは何かかっこいい感じだ。普通はこれを見たら敵わないと思うはず。雷使うしね。


「おぉ… ハルマゲドンって感じ…」


そう呟くエストリー。


「コレ見て敵対する奴は相当根性あるぞ。まぁ、行くか」


また城に向かって走り出す。

数十秒で例のドクロマークが密集しているところの壁が迫った。


「そろそろ放す。すこし浮いててくれ」


そう言って二人を放し、装備を潰命に変える。

風纏と下駄の速度で潰命を振りかぶって壁に叩き付けた。

ものすごい爆音と破壊をまき散らし、近くにいた数人は水風船のように弾け飛ぶ。

瓦礫に巻き込まれて死んだ者もいる。しかし多くはまだ生きていた。


「ハロー。皇国のお偉いさん方。私が貴方の敵の総大将、ゼロです」


こちらを呆然と見るしかない連中に俺はそう告げた。



———————————————————————————————————


神を怒らせてしまったのか?

教皇である私は恐怖に包まれていた。


この国はマークス様によって成り立っている国だ。彼がいなくなった今こんな状況を打破出来る者など存在しない。

皆勝手に騒いでいるだけで具体的な策などは一切出ない。

そんな時雷の音が響いた。なぜだ。今は雨など降っていないのに…


外を見ると思わず口が大きく開いた。

そこにいたのはまさしく神が遣わした者達だった。光り輝く戦車に乗った美しい神。そしてそれを取り巻く神の軍勢。


誰もが言葉を失う中、一人の騎士が叫んだ。


「何かがこちらにものすごい速さで近づいてきます!」


そう叫んだと同時に壁が砕け、何人もの部下が吹き飛び命を落とす。


「ハロー。皇国のお偉いさん方。私が貴方の敵の総大将、ゼロです」


そう今出来た穴から声が聞こえた。

そこに立っていたのは少年だ。肩には死の象徴のような真っ黒なドクロの武器を担いでいる。


あぁ… 死神がやってきた。なんて者を敵に回してしまったんだ…

いまさら痛烈に後悔したがそれはもう遅すぎる。


「あれ?!もしかしてアンタ教皇か?」


そう少年が私に聞いてきた。


「あ、あぁ」


「なんてこった… こんな形で再会してしまうなんて。あの時は悪かったな。こんなことやったら楽しいんじゃないかなーって思って魔王より先に殺しちまった。若気の至りってことでどうか一つ許してね。よし、フェリス。このおっさんと、壁にいる幸薄そうなあの兄ちゃん以外は狩猟対象なので殺せ。エストリーは… ちょっと待機で」


「はーい!」  獣人の少女が返事をして走り出した。


(ちなみにゼロが言っているのは[教皇殺しの犯人]という称号を公式から送られたときの事件を思い出していった事だ。ようは、前に殺した教皇がこの人だったってこと。なんでここにいるんだろう)


彼は私の前に座り微笑んでいる。


「待ってくれ!なにも全員殺さなくてもいいだろう!」


「いーや。コイツらは結構な罪を犯している。ソイツらは神の名の下に裁きを下す必要があるだろう?」


「黙れ!邪教に染まった異端が!」


そう叫んだのは宰相だ。


「お!おっさん。元気がいいな。邪教って… お前らはギルドを認定したりする神を認めていないのか?」


「な!あのお方は人族の味方をなさっている尊い方だ!貴様の使う神の皮を被った獣とは違う!」


「あぁ? お前… 神がいるこの世界で何言ってるわけ? まさか、その声だけの奴が唯一の神で他は違うなんて思ってるんじゃないだろうな?」


「その通りだ!神は本来我々の前に姿を現す者ではないのだ!」


「うわー。ここでも人間ってそういう感じなんだ… 今度会ったら心麗(みれい)に苦情言おう」


「貴様!皇国に攻めるなど女神様の裁きが下るぞ!」


「やってみろや!あ?その神は今お前を救ってくれんのか?おい。お前死にそうだぞ?」


そう言って見た事の無い筒状の武器を宰相に向ける少年。


「私は女神様に守られている!邪悪な物から与えられた武器で殺せるはずが…」 

ドッオオオン!!


宰相は何も言わなくなり後ろに倒れた。額に小さな穴が空き、そこから血が流れている。


「人に喧嘩売っといてまた売ってくるとか何考えてんだよ… まぁこれは戦争なんだ。多少の犠牲は仕方ない」


「終わりましたー」


その少女の言葉で首を動かす。辺り一面血の海だ。

私も覚悟を決めるべきか…


「君はこの国を滅ぼすつもりかね?」


「いや。そんな事はしないよ。新しく作り替えるくらいはするけどね」


「私は殺すかね?」


「そうだな。マークスもいないんだし、大将の首はアンタになるだろうな」


「……マークス様がいないと何故知っているのだ?まさか、本当にアレナにいるのか?」


「あ?俺が殺したから知ってるに決まってんだろ?本気でアレナが関係してるって思ってたの?」


「なんだと!?や、やはりマークス様は…」


私は咄嗟にマークス様より譲り受けたギルド武器。<魔の短杖>を出した。


「えぇ?ギルド武器?なんでアンタが持ってるんだ?」


「マークス様に使用権を譲渡されたのだ!そのときマークス様は亡くなったのではと思っていたが、貴様が殺していたとはな!」


「先に襲ってきたのはあのおっさんだ。俺は悪くない。ヤダヤダ。また[教皇殺しの犯人]になっちまうじゃねぇか…」


その時扉が勢いよく開かれデルニオーラと一人の女性が入ってきた。

吸血鬼のお姉さんの頭上に浮かぶ結晶はピンクから灰色に変わっている。デルニオーラのギルド武器で支配されているからだろう。結晶に鎖が纏わり付いているのは相変わらずだ。


「なにが起こったのです!?」


「おー。デルニオーラ。元気か?やっぱり吸血鬼のお姉さんをギルド武器で従えてたのか…悪い奴だなー。

イシャーナ、あのお姉さんがお前の相手だ。でも命令通り殺すんじゃないぞ?」


「御意…」


ゼロの隣にはいつの間にか一人の男が立っていた。


「さぁ、俺たちも始めよう。戦わないとね」


こうして首都グルガストでの戦闘が始まった。


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