帰ってきました
自分としてはここまで来るのがとても長かったです。
前話が一応の区切りと思って書いていました。
でも今年中にあと一つ投稿しようかなって思ってます。
約13年ぶりに帰って来たギルド。見た目は何も変わらず美しい。俺が攻め落とした時と同じだ。
街並みはダンジョンのときから変えていない。
丘に立つ自分の城を見上げてふと思った事を口にした。
「鐘が鳴らないな…」
俺は城に鐘を付けている。というのも、このギルドは雲の上にあるので基本的に攻められる事はない。そして、気付かれもしないのだ。
流石に存在を認知されないのは寂しいのでド級アイテムの鐘を設置したのである。
効果は聞いていて心地よい、あと凄く遠くまで響く。である。
このギルドが多くのプレイヤーに知られる事になったのはとある事件がきっかけだ。
しかし、俺が浮遊島にギルドを持っていると知られても、雲の上にあるギルドを見つけて攻めるのは不可能に近い。だから俺はこのギルドの位置をわざと知らせる為に鐘を置いた。
最初この鐘を鳴らしたらその音に興味を持った奴がギルドに来て設置したNPCに蹴散らされた。
そして、ここがダンジョンだと勘違いした奴らが大群で攻めてきて俺が蹴散らした。これが一回目の襲撃だ。
そして、ここが俺の支配するギルドと分かると更に大量の軍勢で攻めてきたのだ。
至上最も人数差のあるギルド戦争だった。プレイヤー比が2000:1。ものすごい有名なギルドがいくつか同盟を組んで攻めてきたので相当熱い戦いになった。激闘の末勝利を勝ち取ったときは実況掲示板でもお祭り騒ぎだったな。
それからこの鐘の音は恐怖の象徴になる。この鐘の音が聞こえるという事は近くに俺がいる事を示すから。
「そういえば、他の十二天はどうした?」
「それが、城が封印されていて開かないのです。私以外は城におりましたので一緒に封印されているのかと」
「そうか… ずっとプリトゥがここをまとめてくれてたんだな。本当にありがとう」
「い、いえ!ゼロ様に一番の忠義を尽くす者として当然です!」
「じゃあ、まず城の封印を解こうか… 他に封印されている所はある?」
「はい。それは…」「ゼ、ゼロ?」
プリトゥが喋ろうとした時懐かしい声が聞こえて来た。
声の主は俺がずっと探して来た母親だ。
「母様。ご無事でしたか。本当によかった。探したんですよ?」
「私だって… 私だってこんなわけ分かんないとこにいても必死に探したよぉ〜」
そう言って泣きながら俺に抱きついて来た。
「あぁ!ゼロ!本当にゼロなのね!無事で良かった!」
「心配かけてごめんなさい。不安にさせてごめんなさい。時間をかけて全部説明しますから。 プリトゥ、城に向かうぞ。後ろの乙女共もついてこい」
「はい」
泣いて抱きついた状態で離れないニーナをくっ付けたまま城に向かう。フェリスとエストリーは街を口を開けて見ていて何も言葉を発さない。
「で?他に封印されている所はどこ?」
「戦闘街の全てが封印されています。入る事ができません」
「攻められたりしなかったか?」
「魔境ではドラゴンが何回か攻めてきましたがこちらを脅かすような戦力ではありませんでした」
「街に問題は発生しなかった?」
「はい。平和そのものです」
「それは本当に良かった…」
城に続く階段を上り門の前に立つ。
「わぁー。凄い!お城だー」
「俺の城だぜ?」
そう言って門に触れた。すると城が眩い光に包まれアナウンスが流れる。
『ギルド ボヘミアの封印を解除しました』
城の光が広がりギルド全体を包んだ後、俺が最初に気になった鐘が鳴り響く。
あとでイグノーに聞いたのだが、この鐘の音は遠くインペラ皇国にも響いていたらしい。流石遠くまで響くと謳っているだけある。
少し待っていると内側からメイド服を来た見た目がよく似た女性が二人で両方の扉を開き頭を下げた。
「お帰りなさいませ。ゼロ様」
「ただいま。長い間待たせて悪いね」
「いいえ。主人が待つ事を望んでいるのであればそれに従うだけです」
「どのくらい待った?」
「一月程でしょうか…」
「ふ〜ん。思ったより短い… 時間の流れが違うか止まってるかしてたんだな」
そのまま城に入る。入り口から玉座の間までは紅い絨毯を敷いている。壁は白を基調にして細かな装飾を施してある。目指すは玉座の間だ。
そこに他の十二天がいるはず。まぁ、一番慣れ親しんだ場所に行きたいのが本当の理由だが。
城に配備した使用人や兵がお帰りなさいませと言って膝をつく。
俺はただいまと言いながら玉座の間に向かう。
ニーナは既に俺から離れていて城の光景を驚いて見ている。
「プリトゥ」
「はい」
「やっと戻ってこれたよ…」
「我々もゼロ様のご帰還を心待ちにしておりました。ゼロ様もギルドを探されていたのですね」
「あぁ。神様に奪われちゃってね。産まれ直させられたんだ。まぁ、楽しい事もいっぱいあったし奇麗なお母さんを与えられて幸せな部分もあったけど。でも俺の居場所はここなんだなって今改めて感じるよ…」
「これからゆっくり何があったのかお聞かせ下さい」
「あぁ」
こうして玉座の間につく。城の中で一番大きな扉だ。ここは俺が近づくと自動的に開くようになっている。
俺が前に立つと扉がゆっくりと開いた。
目の前には水晶の様に透き通った玉座があり、その脇には100を超えるモンスターが列を作ってかしづいている。そして玉座に一番近い所にいる異常な存在感を放つ11人の男女。
皆個性的な格好しているが強いというのが遠目から見ても分かる。
「三人は少しここで待っていてくれるか?」
震えているフェリスとエストリー、ニーナを残して俺はプリトゥと共に玉座を目指して歩く。
左から数えて10番目、優しげな顔をした男と元気いっぱいに笑顔を見せている少女の間にある人が一人入れるスペースにプリトゥが入り膝をついた所で俺は玉座に座った。
「皆。顔を上げてくれ」
そう言うと前から順に顔を上げていく。
「ブラフ。お前たちはどのくらい城に閉じ込められていた?」
そうプリトゥの隣の優男に聞く。
「34日間です」
「そっか… お前たちが34日と感じていた間、俺と街にいた者達は13年の月日を過ごした。
俺は神に力を封印され産まれ直すことを強要され、後で紹介するがニーナ モーガンという女性の元に生まれ、吸血鬼になったんだ」
一番右にいる銀髪で白いドレスを纏った少女がピクリと反応した。
「俺は力を取り戻す為に頑張ってね… 今やっとギルドに戻って来たんだ。長い間待たせて済まなかった。細かい話はおいおいするとして、今俺は大きな事件に巻き込まれている。それにはお前達の力も使って対処するつもりだ。さて、これより我らは戦争に入る」
その言葉で一番前にいる特に男達が驚きと楽しみを混ぜたような笑みを浮かべた。
「我らボヘミアはインペラとパニッシュというギルドに宣戦布告を受けた。俺が帰還して最初の命令はその戦争で勝利を収める事だ!今まではここを戦場として守る戦いだけだったが今回はこちらからも討って出る!戦いたいだろう?強者との戦いを望む者は今ここで叫べ!我らの武力を思い知らせてやるぞ!!」
ウオォォォォォォ!!!
一匹で十分皇国を滅ぼせる者達が集団となって声を上げる。
よし、士気は高いな。
空気が落ち着いたところで事務連絡をする。
「細かい事を話すので十二天は食堂に移動してー。他の者は後で自分の管理者から話を聞く事。じゃあ移動しようか」
そう言って玉座から立ちフェリス達の元に向かう。
「お待たせ。大丈夫か?」
「……なんなんですか、今目に映ってる方達… ガルーより強い奴しかいなくないですか?」
「まぁ、今のガルーじゃ敵わないかな」
「こんなのあり得ないよぉ… 世界のバランスが崩壊しちゃう。強いとかそんな言葉じゃ片付けられないよぉ」
「まぁ、そうだな」
「ゼロ… 一体どうしてしまったの?」
「ちゃんと説明します。安心して下さい。敵じゃないから」
「ゼロ様」
先ほど扉を開けたメイドさんが声をかけて来た。ちなみにコイツらは十二天の次くらいに強かったりする。
「ん?」
「会議にはこちらのお嬢様方も参加されますか?」
「そうだね。同席してもらうよ」
「承知致しました」
そう言って頭を下げて準備をしに行くメイドさん。
「さぁ、自己紹介の場を設けた。皆、しっかりお話ししましょう」
この世の終わりみたいな顔をしている3人をつれ会議室に向かう。
食堂は長いテーブルが置かれたシンプルな作りだ。今テーブルには様々なお菓子が並んでいてティーポットを持ったメイド達が壁に控えている。
椅子の前には十二天が6人ずつに分かれて立っていた。
俺は3人を連れて上座に行き、俺に近い位置に3人に座ってもらう。
その行為に微かに眉をひそめる者も何人かいるが俺の行動に文句を言う奴はいないし、ちゃんと説明すれば分かってくれる。
俺が座ると十二天が座った。そして少し遅れて三人がバタバタと座る。
皆が座ったのを見てメイドさん達が紅茶を次いでいく。
全員が次いでくれたメイドに礼を言い紅茶を一口飲んでから俺は口を開いた。
「さぁ、なにがあったのか細かく話そう」
こうしてこのギルドの中心が集まった会議が始まったのだった。
次はドバッと増えた新キャラの大雑把な紹介です!
これから最後までつき合っていく仲間ですので一度に増えましたが話数が増えれば見分けられるはず…?




